Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

番外編82. 芸術工学

2012年01月22日 | Kyoto city
 S.ジョブスの2冊の伝記を読んでいたら、人文科学やデザインと技術の交差するところにMacがある、というのが彼の口癖であったことが書かれてあった。それはアート&デザインである芸術と工学とが交差する我が大学の芸術工学と同じではないか。
 MacとWindowsとのPCの仕様が、決定的に違うのもそこにある。コンセプトとデザインと技術とを融合させたプロダクトと、PCの外装というパッケージ・デザインだけの、WindowsPCのプロダクトとの違いは、一目瞭然だし、当然使い勝手も多いに違ってくる。だからWindowsPCに傑作というプロダクトが生まれないのも、そこに理由があるのだろう。
 こうした考え方を別の言葉で言い表せば、AXIS型のプロダクト開発ととLINEAR型のプロダクト開発である。AXIS型のプロダクト開発は、二つの異なる分野を融合させようとするのだから、そこに論理や体系があるわけではない。理性と感性を駆使して組み合わせて、新しい理論や体系を試論的に構築してゆくほかないのである。それだけにプロジェクト開発の場面においては、リーダーシップが必要になってくる。
 他方LINER型は、一直線だから論理化或いは体系化しやすいし、それ自体明確さもある。あるいは最初から既存の論理や体系を使うことだってできる。わかりやすさは、汎用性を産んでくる。したがって様々な機器に導入することが可能になってくる。
 芸術工学と看板をあげる私どもの大学では、当然前者の姿勢を教育理念としている。S.ジョブスのような統括的な視点と指導力を持った人材開発を目的としている。それは既存のデザインができなければとか、プログラミングができなければといった従来の硬直化して考え方とは別次元の世界である。それらはそこそこに知っておれば専門家である必要はない。むしろ高度な専門家にはなしえなかった、新しいジェネラリストを求めている。
 そうしたジェネラリストの方法として、プロデュースがあるわけだ。こうした方法によって、硬直化した人間の頭や社会の構造をクリエイティブにたたきなおし、新しいデザイン開発を促そうというのが、芸術工学である。
 さて、タイトルで私の本題が登場したところで、きりがよいから、このブログもしばらくお休みしようかなと思う。4年半も書いていると、少し休んで気分転換したい。とまあ、最近はそんな感じなのだが、でも実際には明日にならないとわからないな。

CanonEOS40D、EF100-400mm/f3.5-5,6
ISO400,焦点距離100mm,露出補正0,f4.5,1/640
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