Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

京都暮らし42. 知の整理学

2009年07月05日 | field work
 昨日は鎌田浩毅(注)の随筆を読んでいた。外山滋比古に続き知の整理学が続く。それは「東大生・京大生が読む」といった具合に帯のキャッチコピーが付けられて店頭に置かれていたので、つられて購入したにすぎない。それにしても、昨今何故知の整理学に、少し人気が集まるのだろうか。
 調度7月は、受験生に対して、全国の大学でオープンスクールを実施している時期である。そして8月にはおおかたの志願大学が決まるので、我が国の教育習慣かと類推したりもする。そのように類推したのは、先ほど高校の進学のための出前講義で使用する、レジメを作成し終えたところであり、今月は、なにかと大学受験というキーワードが目立つと感じたからかも知れない。
 さて知の整理学関係の本を読んでゆくと、ルーズリーフノートを使いテーマ毎にバァインダーにまとめ云々に始まり、文房具の効果的な使い方等や、勉強の仕方について微に入り細に入り紹介されており、私のような立場にとっては、まあそうだろうと思うことが多い。
 それよりも、我が国の人口の大半を占める文化系と理科系を専攻する人種は、大学の先生にでもならなければ、整理学で対象とするようなテキスト情報のクリエイションで、あらゆる物事を組み立てているんだと思い、唖然とした。彼らのコンテンツは一生これだけ。別の言い方をするマイクロソフトの「OFFICE」で大概の事が片づくようという、なんとも単純で簡単なツールで一生をすごしているわけだ。それで今の社会が成り立っている。
 私達の研究室の学生達が使用しているパソコンには、OFFICEはもとより描画系のイラストレーター、写真を扱うフォトショップ、それらを編集するインデザインはもとより、建築図面のCADソフト、それを立体化する3DCGソフト、そしてランドスケープソフトまで搭載しており、自由に使える環境にある。だから、芸術工学部の学生は、テキスト、設計図などをはじめとするあらゆる描き方のチャート、イラスト、写真や映像、そしてランドスケープといった具合に、文化・理科系卒業者の4倍のアイテムのクリエイションツールが使えるのだということに気がついた。
 武家の姿に例えれば、社会の多くの人間がテキストという脇差し1本 (まあ北辰一刀流ですかな!)でクリエイションして一生をすごすのに対して、私達の大学の学生達は、いまだ歴史小説にもコンピュータゲームにも登場したことがない、なんと4刀流のキャラクターなのだ!!!。少なくとも4つのクリエイションツールが使えるような、教育システムが存在している。それが文化系や理科系の大学では見られない、私達の大学の特徴なのである。
 出前講義のテキストづくりをしながら、他の大学と比較していたら、そんなことに気がついた。私流の知の整理学であろうか。

注:鎌田浩毅:一生ものの勉強法,東洋経済新報社,2009.
上高地田代沼・2009年
Fuji FinepixS5pro,AF-SNikkor16-85mm/F3.5-5.6ED
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