EwanとJess Holt夫妻は娘Maggie の子育てのため、そして作家志望の夫の創作活動を支援するため、Jessの祖父の遺産でアパートから一戸建ての家に引っ越す決意をする。不動産屋に案内された邸宅は、Vermont州のBartleby郊外にある住民からBanebery Hallと呼ばれている邸宅。周囲を3メートルの塀で囲った広大な敷地に建つ3階建の古い豪邸。どう見ても彼等が考えていた予算の倍以上の価値がある邸宅、訝る彼等に不動産屋は、この物件が訳あり物件であることを伝える。この家の代々の所有者に悲劇的な出来事が起きていて、近隣住民からこの家は悪霊が棲み付いている家と言われ、買い手がつかないため彼等でも買えるほど売値が格安に設定されていた。夫妻は、念願の子供部屋や書斎、豪華な家具があることに惹かれて、過去に起きた出来事は気にしないし調べないことと2人で約束し、その家を購入する。
しかし、家に引っ越してくると、消したはずのシャンデリアが点灯していたり、誰もいない部屋でレコードが鳴っていたりする不可解な現象が起こる。さらに、夜な夜な娘の寝室にやってくる娘にしか見えない幽霊、娘が幽霊のせいだと主張する屋内を徘徊する物音。身の危険を感じた彼らは20日後、身一つでその家から逃げ出す。
作家志望のEwanはその邸宅の恐怖体験を実話小説として出版する。彼が実話だと言い、実際に起こったことを書き記したと主張する小説は大ベストセラーとなる。
25年後、古い家のリフォームの仕事をするMaggie Holtは父親が亡くなりBanebery Hallを相続する、彼女は父親が書いた小説の中で幽霊が見え、幽霊に怯える娘と描かれていて、多くの人が彼女をそのように見ていることに苛立ちながら半生を過ごしてきた。彼女は、幽霊や怪奇現象などは信じていなかった。豪邸に戻った彼女は、父親が書いた小説は真実とは認めず、なぜ、一家は慌ただしく家を去ったのか真相を探ろうとする。だが、家に戻った彼女は、小説に書かれていた怪奇現象に遭遇、父親は書いたことは実際に起こったこと、幽霊など存在しないという確信が揺らぎ彼女は不安にかられる。
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玄関や窓の鍵はしっかり閉めてあり外部からの侵入はありえない状況で、誰も居ない部屋でレコードが鳴り出したり、シャンデリアが突然点灯していたり、まるで密室ミステリーのよう、さらには娘には3人の幽霊が付きまとっている現象をどう説明してくれるのか、手品の種明かしを待つ気分で楽しく読めた。
そしてもうひとつの謎、何故、突然、両親は家を去ったのか?物語中盤からある程度、どういう結末になるか予測していたのだけど、見事外れ!、すごい捻りがあって面白かった。
Kindle版 ★★★★ 340ページ 2020年出版 130円(2021年2月)
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