作品紹介
一番近くにいたはずの人が、一番わからない――。20年前に母が他界、気づけば父80歳、私は40代半ば。いまだに家族は増えていない。会えばギクシャク、一時は絶縁寸前までいった父と娘だけれども、いま父の人生を聞いておかなければ、一生後悔する――。戦時中に生まれ、戦後社会に出て必死で働いた父。母との出会い、他の女性の影、全財産の喪失……。父の人生と心情に迫る、普遍にして特別な家族の物語。
読書備忘録
重いのかなー・・・と思って読み始めたら、なんか爽やか
親子の縁は切れないけれど、いろいろあって親と子
お話聞くのはいいことだわ、と父はとっくに他界しているし、母は聞かなくてもべらべらしゃべるからなんだか頑張っているんだなぁと、感心した。
H氏がお母さまの退院時に訪ねてきてなかなか帰らなかったって話の続き、そのH氏から聞いたのは、お母さんはいつも凛としていて、人前でお父さんに甘えるような人ではなかったのに、あの夜、お母さんはお父さんの膝の上に乗って、甘えていたと・・・
なかなか夫婦が人前で甘えることなどないなぁと思って・・・ウルウルした。
お父様の主治医から、自死を選ぶこともある精神状態だから誰かが必ずそばにいてと言われ、忙しくてなかなか一緒にいられないところ、苦渋の決断で「あの人」に電話をした。件で、そっか、一人っ子だったんだっけね。
でも親戚はずいぶん協力してくれていたから、人は大事。
家族の数だけ特別な家族の物語があるのよね。