▼コロナウイルスの感染拡大は、初期対応のまずさが指摘されている。それに総理が閣僚にも相談せず、学校の閉鎖を単独で行ったことでの混乱も糾弾されている。「国家の大事」に関わるような問題に、総理が一人で決断するということがあるのだろうか。
▼だが、これらのことを踏まえ、現行の「新型インフルエンザ等特別法」を改正し、総理が「緊急事態宣言」を出しやすいように、改正するという方向に進んでいるようだ。しかし問題がある。野党に対し【事前報告は受け入れない】というからだ。
▼これではナチスの「全権委任法」に、限りなく近づくのではないかと危惧される。なぜこんな、姑息な手段を使い法律を改正するのかと言えば、「国の危機」に際し、国民の言動を制限し、政府の考えを推進しやすくするという考えが、根底にあるからだろう。
▼アベ総理の支援団体は、日本最大の右翼団体と各国のメディアも認める【日本会議】だ。それに並ぶ団体が【日本会議国会議員懇談会】だ。現閣僚の中には「懇談会」のメンバーがたくさんいる。
▼アベ総理は2012年12月16日が、衆議員選挙開票日の2日前に、日本国憲法を【みっともない憲法】と、動画の中で発言している。その2日後の、自民圧勝を確実視しての発言だろう。
▼学校でも憲法遵守の精神を教えているのに、我が国の総理が発言する言葉だろうか。自分の考えを生徒に押し付けるには【教育基本法を改正】すればいいというのが、総理の単純な考えだろう。
▼さらに現閣僚の衛藤晟一は「日本会議」の主力メンバーだ。2014年に雑誌「日本の息吹」11月号で、このような発言をしている。【アベ内閣は憲法改正のために成立したといっても過言ではない】と。
▼東京五輪を成功させれば、第4次アベ内閣もアリだという、自民党幹部の発言もある。アベシンゾウを神輿に据え、憲法改正するのが、今の自民党の最大目標なのだろう。
▼だが、憲法改正派は「米国が押し付けた憲法」なので、自主憲法の制定をしなければならないというが【対米中毒】のアベ総理が、それを成し遂げられるのだろうか?。トランプが「憲法改正」を許してくれるというのだろうか。
▼と考えれば憲法を改正するには「自民党憲法改正草案」を、すでに米国に相談し、許可を得ているのではないかと推測せざるを得ない。アベ総理の言う自主憲法の制定とは、実は「対米従属」をさらに強め、日米安保の強化で「世界の警察」の再現が目標ではないだろうか。
▼天皇を国家元首とし象徴とする【神国日本の復活】により、世界に君臨する国づくりを目指すということではないか。令和の元号もアベ総理が天皇に働きかけたという感じがしている。国賓の設定もアベ総理が主導しているような気もするからだ。
▼アベ総理の支持母体【日本会議】の六項目の目標だ。1美しい伝統の国柄を明日の日本へ 2新しい時代にふさわしい新憲法を 3国の名誉と国民の命を守る政治を 4日本の感性をはぐくむ教育の創造を 5国の安全を高め世界への平和貢献を 6共生共栄の心でむすぶ世界との友好を・・・山崎雅弘著「日本会議戦前会議への情念」より。
▼アベシンゾウという人物は、もしかして天皇と同等の地位にならんとしているのではないか。あるいは【天皇制を復活】して、三権の全権を掌握しようとしているのではないだろうか。などとこの頃のアベ総理の言動を観察していると【妄想】だけが跋扈してしまう私の混乱する頭の中だ。
▼こんな世の中にあって、とても心が洗われる出来事がある。アベ政権の内側を直撃した映画【新聞記者】が、日本アカデミー賞の最優秀主演の男優と女優賞を受賞した。
▼私も妻と映画を観たが、もし「自民党憲法改正草案」のように、憲法が改正されたら、このような映画は絶対つくれないと思う。主演女優のシム・ウンギョンさんは韓国生まれだ。若干25歳ながら日本の政権批判の映画の出演し、相当な圧力を感じていたに違いない。
▼受賞のコメントの時に泣きじゃくった。涙があふれ出て言葉が出なかった。そのことが、映画の素晴らしさと、役者としての使命を果たしたことの証であるのを感じた。主演男優の松坂桃李さんと共に、これからの性格俳優としての活躍を期待したい。
▼と同時に、やはりこの政権での「憲法改正」は、絶対させてはならないと、実感した映画だった。