▼私の地域には、住民も参加できる小中学校の公開授業がある。生徒数は小中合わせて50名に満たないようだ。学校と地域の連携事業の「コミュニティ-スクール」の委員をしている関係で、授業参観に出かけてきた。
▼小学校では3年生が、コンピューターを使い、私が小学生の時なら、絶対理解できないようなことを教えていた。やがてやってくるAI社会に対する準備なのだろうが、3年生はわずか2名なので、丁寧な授業が行われていた。
▼廊下には、戦前からの地域のまち並みの写真が貼られている。何度も見ているのだが、大きな熊が撃ち取られ、小学校の鉄棒にぶら下げられ、子供たちや住民が集まっている写真があった。
▼その中に私の母がいるではないか。私の家は学校まで歩いて5分ぐらいのところだが、熊の死体を見るに出かけるような母ではなかったような気がする。背が高く眼鏡をかけていた。私が思い出にあるちょっぴり強面の母の感じとは違い、笑顔の母親がいた。
▼近くに隣のおばさんもいたので、一緒に出かけたのかもしれない。女性の教師が近づいてきたので、母がいたのに今まで気付かなかったというと「お母さんはきれいな方ですね」といわれた。小学生に戻ったように、素直にうれしかった。
▼廊下には細字の書道の練習か「この道や行く人なしに秋の暮」とあったので、メモに書き留めておいた。先生に誰の句ですかと訊ねたら、生徒が「松尾芭蕉です」と答えてくれた。
▼次は中学2年生の歴史の授業だ。ちょうど私も読みかけていた「日韓併合」についてだ。一方的に先生が教えるだけではなく、つど生徒に質問しながら、生徒の考えも述べさせながらの授業内容だった。
▼終了後、先生に「公平な授業内容でしたね」というと「偏らないようにしています」との返答だった。子供たちは「韓国併合」については、一様に「日本が悪い」という認識を示していた。
▼日韓併合の教科書の隅に、石川啄木の「地図の上朝鮮国に黒々と墨を塗りつつ秋風を聴く」という句があった。黒板の横にあったこんな句も目に付いた。「老いたる馬は道を忘れず」出典「韓非子」。
▼子供たちも歴史に親しみ、次の時代も平和であるよう、正しい歴史認識を身につけてほしいと思った。
▼午後からは函館市内のホテルで、建設中の大間原発に対し、函館市が国に提訴してから5年目を迎えたので、担当弁護士による、初の説明会が開かれるので出席した。
▼函館市長も参加していたが、最後に会場から「市長自ら先頭に立ち、大間町で反対行進をしたら市民もついていく」という高齢者からの発言があった。
▼長い戦いになるという市長の発言に「自分の目の黒いうちに」という、市民のせつなる思いからだったのだろう。それに対し市長は「相手の事情も考えなければならない。自治体同士で喧嘩はしたくない」という答弁だった。
▼原発建設に対し、自治体初の国への提訴には、市長の手腕に拍手を送る。だが喉に引っかかるのは「私は原発反対論者ではない。大間原発に反対するだけで、よその原発は関係ない」と、当初発言していたからだ。
▼我が国の原発問題は、トランプ大統領がカギを握っているようだ。日米安保を見直してもいいという発言や、日米原子力協定も、米国が破棄すれば、日本は長崎原爆6000発分が製造できる量のプルトニウムが残ることになるからだ。
▼そうなればIAEA(国際原子力機関)の査察を受けることになり、北朝鮮以上の「核保有危険国」の烙印を押されてしまうだろう。
▼我が国は米国に運命を左右されているような気がする。トランプ大統領の再任が有利になってきたといわれている。そうなると、アベ総理の2021年以降も続投という可能性が出てくる。
▼「トランプとアベ」このコンビは、世界を不安定にするような気がする。もし私が地元の中学の歴史の先生なら「韓国併合」についてこう教えるかもしれない。
▼「徴用工の計画をつくったのは、アベ総理の祖父の岸信介だ」と。こんな授業内容だと萩生田文科相から、相当きつい指導があるのではないだろうか。
▼原爆を落とされた日本が、安全で安心でクリーンエネルギーと言われ「原子力の平和利用」で原発を推進してきた。それが日米安全保障や原発問題、さらに核保有まで関連してきた。なんという「歴史の皮肉」だろうか。
▼こんな現状にあって、アベ総理は「憲法改正」を政治の最優先課題に持ってきた。我が国の歴史は「韓国併合」あたりから、大戦へとアクセルを踏み込んだ。
▼そのあたりも、私が先生なら中学の授業で少し触れていたのだろうが、担当の先生は「これ以上は高校に行ってからもう少し深く勉強してください」と、授業を閉めた。
▼「日本会議」が11月3日の文化の日が、明治天皇の誕生日なので【明治の日】に変更するための署名「101万筆」を政府に届けたという。まもなく雪の季節が到来してきそうな昨今。
降る雪や明治は近くなりにけり
三等下
▼そんな戦争の寒い季節は、まっぴらごめんだ。