▼いまだに米軍の占領下にあるかのような沖縄の基地問題の現状を、私たち国民は他所事のように考えているのではないか。これは福島県の原発事故で、終息の目処も立っていないのに、福島の惨事を忘れているのと同じ感覚だ。自分のところで問題が起きない限りは、一般の国民は真剣に取り組まないのだ。こんな国柄なので、自民党の戦争ができる憲法改正が、間近に迫りつつあるというのに、危機感さえ持たないのが今の大半の日本人だ。
▼テロの脅威も、だんだん我が国に向かっているというのを感じるこの頃だが、テロが起きてみないと実感が湧いてこないようだ。以前、アベ総理がイスラム国に対抗する国に支援すると公言したことは、テロの標的にされることを、自ら進んで手を上げたということだ。もし東京でテロがあった場合、オリンピックどころの騒ぎではない。そんな思慮にかけるアベ総理だから、安保関連法の制定後、日米両軍の強化のために、沖縄の次に北海道を実戦基地にしようとしているのではないかと心配になる。
▼私が最近知った情報でも、札幌市の近郊の恵庭市という自衛隊のまちには、富士山麓にいる自衛隊の特殊部隊が移動してくるという。先日、空砲での訓練で実弾を撃って負傷した隊員が出たのも北海道だ。間違ったというが、実弾での訓練が始まっていると理解したほうが間違いではないようだ。日米合同訓練も実弾での訓練が増えてくるのだろう。その場所は、やはり広大な大地北海道しかないだろう。先日、遠軽町という自衛隊の基地があるまちで街頭行進をした時、隊員が機関銃などの武器を持ってまち中を行進したという。沿道では、市民1000人が日の丸の旗を振り歓迎したという。町長が率先したということは、町内会も旗振りに参加させられているのだろう。
▼もし函館の自衛隊が、銃器を持っての街頭行進をし、市長を通じて町会連合会に応援を頼まれたら、どのような対応をするのだろうか。函館市から補助をもらっている関係で、断れないと判断するのだろうか。先日、市町連が行う例年の大会での、講演の内容や人選を募集したので、私も「函館市議会報告・安全・安心なまちづくり」というテーマで、申し込んだ。その選考会議に出席したが、提案されたのは3つしかなく、私の提案は入っていない。私の提案とは、安保関連法について、函館市議会が賛否の決議をした。15対14という僅差で、安保関連法は容認されたのだ。なぜ戦争ができる法案を支持したのかというのを、議員報告ということで聞いてみたかったからだ。
▼私の提案は政治的だとし、上層部で私の提案だけを外して会議にかけたのだ。もちろん私は猛烈に抗議した。今日の参議院選挙結果で、与党が3分の2の勢力を確保したら、憲法改正の国民投票へとつながる。国民が、憲法改正についてよく学び熟知していないと、世界に誇れる戦争放棄の憲法を、改正してしまいそうな流れになってきている。市民の最大組織である町会連合会が、安全・安心なまちづくりを活動の基本とするなら、憲法についての市民の理解を深める運動をしなければならないと私は考える。だが市町連は「政治的な問題は持ち込まない」と、理由にもならぬことを主張する。
▼私は、政治的な問題を取り上げることこそ、市町連の使命だと考えている。こんな体制側にべったりな、市町連こそ“ぶっ壊さなければならない”と思っている。そんな私の意見を「あなた個人の考えを主張してはだめだ」と上層部は言う。私の考えではなく、誰の考えでいえばいいのかと反論した。国は政治に無関心な若者に関心を持ってもらうために、18歳以上に選挙権を引き下げた。大人の集まりである町会連合会は、政治に関心を持つなという。こんな大人が多くては、日本の将来がますます心配になる。私も高齢者と呼ばれる部類に属すが、私たちの生活のすべてが、政治的をなことから逃れられるものはないと、自覚している一人である。
▼「自民党改憲草案と日本国憲法」選挙が終わったら、早速国民に学ばせることを推進してもらいたいものである。国民主権が国家主権になるということは、日本が「安全・安心な国」にはならないからである。