▼アベ総理の憲法解釈がおかしいといと指摘する学者が多い。国民の常識でいえば、自分の考えが学者におかいいといわれれば、自分の考えが間違いだと思うのが普通の人間だ。だがアベ総理、我が国の憲法学者の7割からも、変だと言われても意に返さない。それどころか、憲法学者の解釈が杓子定規だとも言い張る。そうなれば、国民だって変な総理だと考えていいのではないかと思う。
▼憲法学者の長谷部恭男氏が「理解不能な発言をする表現の自由も現行法によって保証されているが、理解不能な話にもとづいて憲法を解釈すると、憲法自体何を言っているのかわからなくなってしまうので、止めておいたほうがよいであろう」と、その著「憲法とはなにか」に記している。つまりアベ総理は、立憲主義にもとづいた正確な理解ではなく、自分自身に都合のいいように憲法を解釈をして、憲法を混乱しようとしているのではないか。自民党には「改憲インフルエンザ」が蔓延しているようだ。その閣僚の発言もなんだかおかしい。おかしいままでほっておくと、おかしいのが慣れっこになる、国民が増えてくるのが心配だからだ。
▼だが、心配はすでに現実味を帯びている。学者におかしい総理といわれても、内閣支持率が50%を超えているからだ。さらに心配は我が国ばかりではない。同盟国の米国が、なんだか変だ。大統領予備選で、これまた憲法など勝手に解釈してしまうようなトランプ氏が、有望視されている。トランプ氏とアベ総理がタッグを組んだらと思うと、背筋が凍る思いがする。世界最強の極東最大基地に、我が国を変身しそうな気がする。沖縄から北海道まで、ずらりと核ミサイルを並べ、世界中を威嚇する。そんな悪夢を毎日見そうで、椴法華村と同緯度にあるニューヨークの方を見つめながら、トランプ氏の落選を、神仏に祈っている毎日だ。
▼ところで今日の話題は、総務大臣の高市早苗姉御だ。自民党議員の育児休暇での不倫騒動も、清原問題以上に世間を呆れ返させているが「政治的公平性を欠くと判断した場合に、放送局に電波停止を命じる可能性がある」と言及したからだ。それに対し、兄貴分のアベ総理は「憲法第21条には表現の自由が保証されているので、早苗姉御の言い分は一般的だ」と、色をなして野党に食いつく。野党が表現の自由をかざすなら、自民党にだって表現の自由はあるはずだという、単なるそのへんのおやじのケンカだ。しかし、憲法学者の見解は「放送による表現の自由は放送局自身が行う“倫理規範”」というのが通説だという。
▼高市早苗・稲田朋美・丸川珠代といい、自民党は啖呵を切る姉御たちがいて、いやに威勢がいい。島尻安伊子沖縄・北方担当大臣などは、北方領土の「歯舞」が読めなかったぐらいは、愛嬌だ。沖縄の地名はもっと難解だ。沖縄は、米軍基地問題で裁判が行なわれているので、間違ってはいけないので、地元の島尻お姉様を大臣にしたのだろう。ほとんど返還の予定のない北方領土は、よくわからなくてもいいのだ。それに対し、我が北海道のはるみ知事が小姑根性を発揮する。「何回も言って覚えて」なんて苦言を呈しているが、富山県出身のはるみ知事だって、多分知事になり始めは「妹背牛」や「椴法華」などという地名は、読めなかったはずだからだ。
▼早苗姉御の「いうことをきかなかったら、電気を止める」というのには、野党議員も全員で「お代官様勘弁してくだせえ」というぐらいの、ジョークが必要だ。まるで時代劇を観ているようで、笑いがこみ上げてくる。そのうち、アベ総理が、神主で白装束を着て、早苗姉御、朋美姉御と珠代姉御、そして島尻お姉様を官女として従え、靖国神社参拝をしそうな気がしてきた。
▼今日の表題の「片手落ち」とは、遠藤い話となってしまったが、野党が表現の自由が許されているなら、自民党だって同じ表現の自由があるという、あまりにも稚拙なアベ総理の憲法解釈が笑い草だと厳しく書く予定でいたが、なんだかそんな指摘もする気力がなくなったので、時代劇風な落ちにしてしまいました。私のは「片手間の落ち」と言ったたぐいのものでしょうけど。