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函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

大人気のない話

2008年05月10日 12時03分27秒 | えいこう語る
昨日(9日)午後3時頃から、草刈機を使い今年初めての草刈を始めた。
庭木は外側に配置し、中央部分は雑草のスペースにしている。その雑草を機械で刈ると、まるで芝生を敷いた様な男前の庭になる。
所要時間は2時間だが、仕上がりを見ながら飲むビールが楽しみで、気合を入れて丁寧に刈り上げる。
たかが雑草の草刈だが、近所のお年寄りに「あんたが一番上手い」とほめられる。ほめられると、自分は草刈名人だと思い、刈り方にも心が入る。
いくつになっても、ほめられるのは嬉しいものだ。
しかし昨日の気候状態には、自分の中の動物的本能が反応を示した。外の風が寒いと感じていたが、動いているのに暖かくなってこない。この頃の風の寒さではないのに気づく。
永い間北国に暮らしているが、雪になりそうな冷たさだ。このまま作業を続けると絶対風邪を引くと思い、半分残して家に戻った。その事を妻に話したら、北海道の北の町で雪が降ったニュースが流れていたと言う。私の身体の危険予知能力は衰えていなかったと思ったが、それにしても5月のあの風の冷たさには、一瞬恐怖感を覚えたものだ。
夜のテレビで、歌手の小林幸子さんが母校である新潟の小学校を訪ねていた。
子供たちが小林さんにクイズを出した。
「新聞紙」を逆さにするとどうなるかと言うものである。小林さんは「逆さにしても(しんぶんし)と読むと答えた。
「ブブー、逆さにすると読みにくい」だそうである。子供に軽くあしらわれて、小林さんは笑っていた。
私は20年程前の小学生との会話を、思い出した。
私は地元の小学生や中学生によく話し掛ける。声をかけることにより子供たちの反応で、成長の過程が観察できるからだ。それとは逆に大人が子供から教えられる事もあるからだ。
小学校低学年に、私がクイズを出した。それには元気に反応していた。下校時その一団が私に近づいて来た。
「さて問題です。風邪はくしゃみでうつるけど、指でうつるものはなんですか」と、挑戦してきた。答えることが出来ないと子供たちに笑われる。そう思い真剣に考え込んで「指でうつるものは、写真だ」と、威勢良く答えてしまった。
答えることが出来ないだろうと思っていた子供たちは、顔がこわばり落胆した状態がはっきり顔に現れていた。
小林幸子さんは、地元では誰からも「幸ちゃん」と声がかかる。
どんな人にも同じ様にやさしい心で接しているからであろう。
20年前のあの時の大人気ない私の心は、草刈時の風のように、子供たちの純粋な心に冷たく吹いたに違いない。


居酒屋・軽四輪

2008年05月09日 13時22分08秒 | えいこう語る
「居酒屋・兆治」は、函館の造船会社を舞台とした、高倉健さん主演の映画の題名になった居酒屋の名前だ。
健さんの妻役を演じた、歌手の加藤登紀子さんが、一歩下がった女房役を好演していた。この主題歌を健さんが渋い声で歌っている。私も飲んだ時は、カラオケで歌いたくなる曲の一つだ。
私は木曜日の夜、函館市内でのサークル活動に参加している。月2度ほど終了後に飲み会があるが、その時は妻に運転をお願いしている。
その他に妻は1週間に一度、食材の買い物などで函館に出かける。家からは往復で100キロは走る。だからガソリン税の再値上げは、家計費を脅かす。
そこで我が家も自衛策を考えた。
毎週木曜日は、私のサークル活動と妻の買い物を一緒に済ますという、グットアイディアである!
昨夜早速第1回目が実行された。
私のサークルが終了する夜9時に、妻が車で迎えに来る。待ち合わせ場所はサークル活動の会場から近い、函館最大の繁華街五稜郭である。
ネオン一つも無い田舎に住んでいる私は、夜のネオンの煌きが、普段居眠りしている感性を奮い起こし、元気を与えてくれるから大好きである。
海の村で生まれた私は、中学生の夏に「夜間泳ぎ」の快感にはまったことがある。それは夜7時頃に一人で沖に向かって泳ぎ出す、秘密の夜遊びである。
昭和30年代、夏の太陽はギラギラに輝き、砂浜は素足で歩く事が出来ないほどの熱さだった。そんな夜の海は、冷たさをまったく感じさせなかった。
遥か沖から海岸線沿いに並ぶ村の灯りがとてもきれいだった。星座も今より間違いなく美しく輝いていた。大きな魚が足に喰らいつき、海中へ引きずりこまれないかとの不安も脳裏から離れず、そんな妙な快感に浸っていることが楽しかった。誰も実感できない、私だけの世界に酔いしれていたのである。
そんな経験から、ネオンの海で泳いで見たいということでもないのだが、とにかく「ネオンの海」が好きなのである。
車を駐車して、一杯やろうと思ったが、それではガソリン節約のアイディアが無駄になるので、まっすぐ帰るぞとの大英断を下した。
途中、函館で有名な焼き鳥が美味い「ハセガワストアー」に立ち寄り、缶ビール2本と焼き鳥5本を買って、車の中での小宴会になった。運転の妻には、サークルでの講義の復習をかね、私が妻に講義をする。
毎週木曜夜の車の中を「居酒屋・軽四輪」と名付けた。
妻も「炭火焼風の安上がりでいい名の居酒屋」だと言ってくれた。
運転する妻の横顔を見て、ふと考えた。
居酒屋を維持するには、妻のご機嫌を損ねたら、簡単に閉鎖に追い込まれるに違いない。
「居酒屋・兆治」は、健さんがいて、お登紀さんがいるのだ。
美味しいお酒を飲むためには、夫婦仲がよくなければならないと、昨夜あらためて感じた次第である。


露天風呂で国際交流

2008年05月08日 10時52分02秒 | えいこう語る
夕食前に温泉に行こうと妻を誘った。
自宅から車で30分程の、縄文時代の古墳群が近くにある、乳白色の硫黄温泉である。
先月行った時、地元の漁師のおじさんが、露天風呂の側にある桜の開花が、5月7日に満開になるだろうと断言していたので、露天風呂からの花見を楽しもうと出かけた。
温泉に入る前に縄文資料館に寄ってみた。入館者は私たちだけだったので、案内のおばさんが熱心に説明してくれた。
この地域は昨年国宝に指定された、中空土偶が出土した所だ。国宝になったので、展示する会館を5億円で建設する予定である。国道沿いに建てるので、道路特定財源が7割ほど投入されるらしい。
今まで予算の出所など聞いたこともなかったが、あまりにも問題視されるこの財源の事を調べたら、ここにも使われることが判明した。
どこの自治体も「情報公開」を条例に盛り込んでいるが、この条例の主旨は、差し障りのない事を公開することなのであろう。
今見学している資料館の周辺も立木が伐採されていた。すぐ上に新しい国道が出来るので、国の予算で公園化する予定だと説明してくれた。たぶんこれも道路特定財源が100%なのだろう。
地元の人が喜んでいるのに、予算の内容を話すのも無粋だと思い、それには触れなかった。
資料館には中宮土偶のレプリカがあった。3500年前の眠りから覚め、国宝に指定され、自分の住む家が5億円で新築される。「自然との共生」が縄文時代の生活信条である。土偶も複雑な思いでいるのではないだろうか。
谷間に流れる川沿いから、硫黄の匂いが春風に乗って流れてくる。青空の下、乳白色の露天風呂は身も心もときほぐしてくれる。漁師のおじさんの自慢の勘も、どうやら地球の温暖化に惑わされたらしい。
桜はたぶん1週間前が満開だと思われる状態になっていた。しかし周囲の新緑鮮やかさは、充分にそれを補ってくれる。
湯船に先に浸かっている男性は外国人だった。こんな田舎の温泉に来ているのだから、日本語は大丈夫だろうと話し掛けた。
「アイキャンナットスピークジャパニーズ」と返ってきた。困ったなーと思いながらも、今では小学生並の単語を思い出し、話を続けた。
フランス人で、九州・京都・東京・北海道と旅しているが、日本はとても素晴らしいと言う。私も新緑の今が最もいい季節だと話したつもりだ。桜は散りましたね、と言うようなことも彼は話したようだ。
最後に「どうも」と日本語が返ってきた。
湯船から出た彼の白い肌は、見事な桜色になっていた。
「楽しい旅を」と言おうと思ったが、なんと言っていいのかわからず、会話は尻切れ蜻蛉に終わった。
風呂から上がり、生ビールを飲んだ。
なんとなくフランスのビールのような感じがした。


椿が薔薇に変身したとりとめのない話

2008年05月07日 11時25分22秒 | えいこう語る
ゴールデンウイーク最終日。
友人が東京都立美術館で開催された墨彩画展で新人賞を受賞し、函館市内のギャラリーに展示されているというので、出かけた。
友人の墨彩画は、活きのよい平目が美味しそうに描かれていた。刺身にし酒を飲みたくなるような作品である。建設会社に勤務している彼女は、いつも溌剌としジョークも飛ばす。女性でもハンサムな人がいるものだと感心している。
作品にも性格の素直さが表れ、新人賞を射止めたのだろう。
函館美術館が近いので寄ってみた。漫画のドラエモン展が開催され、子供連れの家族で賑わっていた。
「ドラエモンは、家族愛や友情を大切にしています」と説明にあった。
光母子殺害事件の犯人は「ドラエモンが何とかしてくれる」と供述した。
その言葉を聞いた時の、被害者のご主人の心境を考えると、胸が苦しくなる。
帰宅途中、高校時代の先輩宅に立ち寄った。椿がみごとに咲いているのでと、庭に案内され、枝をいただいて来た。
花瓶に入れテレビの上に置いた。枝にはたくさんの蕾が付き、花も数輪咲いている。部屋中がとても豪華な感じになった。
私はデビュー時から都はるみのフアンである。伊豆の大島には何度も遊びに行っている。椿の咲き誇る大島を思い出し、酒を飲んだ。
テレビを消し、音楽を聴く事にした。都はるみのフアンなのに、1枚のCDも持っていないのに気が付いた。
青春時代の懐かしい曲を聴きながら、同世代の妻と曲名や歌手当てクイズをして遊んだ。
酔いが全身にしみわたった頃、二人で見たクリント・イーストウッドの監督兼主演映画「マディソン郡の橋」のCDを聴いた。
映画の主題歌は、JAZZピアニストでもあるイーストウッド自身が作曲したもので、映画の中に流れるJAZZの挿入曲も、全て彼がセレクトしたものである。
映画の名場面が、次々連想される。部屋の灯りを消し、スタンドで椿を照らしてみた。艶めきのある濃い緑の葉に赤い花びら。
JAZZを聴いていたら、あんこ椿がいつの間にか薔薇に見えていた。
椿と薔薇を二種類飾ったようで、得をしたような田舎の静かな夜だった。
その静けさが突然引き裂かれた。消防署のサイレンがけたたましく鳴り響いた。外に出てみると風が少し強い。隣の町で住宅火災が発生したと言う。心配したがすぐに鎮火された。
数年に1度と言う田舎の火災のサイレンは、心臓によくない音の一つである。
薔薇に変身した椿の燃えるような赤が、隣の町に飛び火したのではと思ったが、
それはあまりにもばかばかしい考えなので、妻には話さなかった。


立派な顔した日本人

2008年05月06日 10時34分03秒 | えいこう語る
昨夜のテレビで、黒沢明監督の映画「野良犬」を見た。
後半から見たので、ストーリーがよくわからなかったが、復員してきた元兵隊が、戦後社会の混乱期を、殺人犯と刑事という、相反する運命を背負い生きるという内容である。
黒沢映画の特徴は、人物が強調される撮影方法を取っているところに、人間臭が出て、画面に迫力を増している。
終了後の解説で「立派な顔した日本人がいた」という言葉が心に残った。
監督の黒沢さん、三船敏郎さん、志村喬さんなどのことを言うのだろう。
昔の俳優の顔を思い浮かべてみた。片岡知恵蔵・月形龍之介・長谷川一夫・佐分利信・山村聡・市川歌衛門等等。画面を圧倒する立派な顔をしていた。
何れも戦争体験者であろう。戦前・戦中・戦後の激動の世を生き抜いてきた、魂の強さのようなものが、顔に出ていたのだろうか。
郷土を災害から守る消防団という組織がある。
今は常備消防の下で、大災害の時だけに活躍する組織になってしまった感じがある。以前は「郷土の守り」として、地域の期待も大きなものがあった。
火災はもちろんのこと、台風や海難事故、山での遭難には、消防団が活躍し、住民の生命・身体・財産を守ってくれた。
昭和最後の年代までは、消防団幹部に軍隊経験者がたくさんいた。
一旦制服に着替えると、旧帝国軍人の精神がよみがえり、団員の士気も高揚した。訓練風景を望遠レンズで撮影したが、どの顔も立派な顔をしていた。
若い時はお国の為に命を張り、今は郷土を守るため消防団員として若手を指導する。そんな気概の様なものが顔に現われていた。
「立派な顔をした日本人」という言葉を聞いて、即座に思い出したのは昔の消防団幹部の顔であった。
「いい男だね」と評判の、気風の良い男もいない様な気がする。
「いい女だね」と言われる、親切な女性も少なくなった様な気がする。
地域でも、酒の席で語り継がれるような人物も輩出しなくなった。また語ることの出来た人たちも次々世を去っていく。
車社会が進むにつれ、田舎も田舎らしさに欠けてきた様な気がする。行動範囲が広域化し、田舎の枠組みが取り除かれていくからだ。
そう言えば村の中にいる犬の顔も、都会風の顔が多くなっているようだ。
昔は番犬として堂々とした立派な顔の犬が、庭先に寝そべっていたものだが。