函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

好い加減の北海道

2016年11月24日 14時33分16秒 | えいこう語る

 

「いいかげんな奴」と言われれば、徹底しないこと。深く考えず無責任な人間という意味に使われる。だが「好い加減」とは、よい程あいという意味だ。それでも「好い加減な奴」と呼ばれても、平仮名の方の意味を意識し、言われた方は嫌な気分になる。温泉に入り「湯加減は」と聞かれ「いいかげんですよ」と答えれば、それは「よい程あい」の意味で通じる。決して、深く考えず無責任なことを言っているとは、思われない。

日本語を学ぶ外国人にとっては、非常に難しい感情だと思うが、このような難解な日本語が持つ魅力を理解できれば、真の日本の心に触れ、さらに学ぶ意欲も出てくるに違いない。九鬼周造著「(いき)の構造」には、民族の存在様態は、その民族にとって核心的なものである場合に、一定の意味として現れてくる。意味または言語は、一民族の過去及び現在の存在様態の自己表明、歴史を有する特殊の文化の自己開示にほかならないという。私たちは今日の文明社会にあって、日本語そのもの意味すら、間違った解釈をしているのではないだろうか。

北海道の鉄道に、存続の危機が迫っている。JRが維持困難とするのは10路線13区間の計1237キロで、多くは道東や道北の、旧産炭地だ。国策であるエネルギー政策により、整備された鉄路だ。国鉄から民営化されたが、高齢化や過疎化で消滅寸前の地方自治体の鉄路の廃止は、ライフラインを切断する過酷な仕打ちのように思える。

存続への様々な動きがあるが、要は「お金」の問題のようだ。そこでふと浮かんできたのが「好い加減」という言葉だ。先日テレビで観たが、中国のアフリカへの投資は、世界を圧倒している。だが闇雲に巨額な資金を使っているのではない。最も投資されて発展している、エチオピアの政府要人の声だ。エチオピアは、アフリカで初の新幹線を開業した。「私の国は、日本の立派な技術での、時速300キロの新幹線は必要ない。中国は120キロの新幹線を提供してくれた」からだという。

この言葉に、北海道の鉄道問題を考えさせられる。今年の3月、北海道に新幹線がやってきた。マスコミの報道は、歓迎一色であるが「これから人口が減る北海道に、新幹線が必要なのか」という、声無き声も少なくない。私も、1964年の日本初の新幹線は、日本の未来を約束する存在に思えた。だが、北海道新幹線は、高額の建設費がかかる。札幌までの延伸は、不採算在来線の廃止につながるだろう。JRも、営業は新幹線のみで、在来線の存続は自治体負担なら運行するという姿勢になるに違いない。

自治体任せではなく、道の積極的関与が叫ばれるが、その道も、先行き困難な鉄道の存続には、手を出せないだろう。日本初の新幹線は、どうやら我が国を高速で短時間に結ぶことが経済振興だという、あまり正しくない神話を吹聴したようだ。ちょっと話はそれるが、原発にも「安全・安心神話」を吹聴した。その原発に、高速という言葉を持ち込んだから、増殖炉は失敗した。どうも、我が国の国柄からして、高速という概念は、民族を崩壊させる要素を含んでいるような気がする。

日本の中の北海道は、進化し高速化する東京と真逆な発想か、もしくは「好い加減な北海道」という、ちょっぴりスローなテーマが必要な感じがする。もしかして「北海道には新幹線はいらない」という斬新な発想が、豊かな自然の中で人間性を快復できる、健全な大地北海道の、近未来のような気がするが。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
好い加減 (志村建世)
2016-11-24 23:17:04
「いいかげん」でなくて「好い加減」になるといいですね。
返信する
Unknown (かわぐちえいこう)
2016-11-25 15:34:48
国会での総理と蓮舫さん。総理の答弁は答弁ではありませんね。それでも国民は自分を支持しているという、傲慢さだけ見えます。
返信する

コメントを投稿