函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

これが幸福な社会なのか

2024年07月10日 20時57分03秒 | えいこう語る

▼日本政治の、最大のイベントに数えられる「東京都知事選」。候補者56人という盛況ぶりだったが、祭りが終われば『大山鳴動して狸一匹』だ。

▼メディアも過ぎ去ったものには、興味がないようだ。そんな国に「真の民主主義」を考える‟ピント”が見えてこない。ピントボケの国家になってきているようだ。

▼そう感じていた時、9日の北海道新聞に「考えるピント」「真正性のない生成AI」という副題と共に【アトムこれが幸福な社会なのか】という問を投げかけたのが、明治大学教授の中村和恵だ。

▼学生が「生成AI」を使用し、レポートを作成した。引用したものは‟注記”せよと、学生には言っていた。

▼だが学生が書いた登場人物に「感覚なんてない。まして倫理や理想、共感の欠片もない。『それらしく見せる』のがうまいだけと感じたという。

▼そこで中村は、ロボットだったが人間らしくなりたいと望んだ「鉄腕アトム」を引き合いに出す。アトムは存在していれば72歳だという。

▼【アトムを見つめて育った世代は、便利で幸福で優しい未来が来ると、おおらかに信じていた。そして未来は現在になり、情報技術は信じられないほど進化し、人類史上かつてない‟便利”さが、大都会を覆っている。だが、これが科学の子の夢見た幸福な社会なのか】と中村は問う。

▼「生成AI」を擬人化し、これには意識があるという開発者もいる。だが中村は擬人化することに危惧を感じている。

▼情報技術による‟でっちあげ”の精度が上がって、人々は扇動されやすくなると同時に、「懐疑的」になってもいるという。

▼政治的な意図や個人的な怨恨など、多種多様な根から出たひどい嘘が、いくらでもネット上に流出し、信じられてしまう時代。本物はどこにあるのだろう。

▼世界的に有名な、メリアム・ウエブスター辞典が選んだ、2023年度の言葉は【真正性】だという。

▼国連事務次長で国連インターナショナル・スクールの理事長である中満 泉が、日本人の【批判的思考=思索型・探求型】は、大きく遅れているという。

▼この思考法は証拠やデーターを広く精査・分析し、異なる視点を持つ他者の多様な意見を聞き、議論しながら進めていく。

▼デジタル化が進み不正確な情報も蔓延する中、データーを「批判的」に評価し分析する能力は、不可欠になったとも中満は指摘する。

▼『大山鳴動し狸一匹』。狸しかいない我が国の首都。【アトムこれが幸福な社会なのか】と問う『批判的思考=クリティカル・シンキング』が、今の日本そしてメディアに、最も欠け始めている要素ではないか。

▼戦後の子供たちのヒーロ―だった、72歳の鉄腕アトムに呼びかける、明大教授中村和恵は「詩人」でもある。

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2 コメント

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Unknown (tamura_hkd)
2024-07-12 12:55:53
内田樹氏の都知事選に関する論考。かなりいいところを突いてると思います。
http://blog.tatsuru.com/2024/07/12_0846.html
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Unknown (かわぐちえいこう)
2024-07-13 08:05:34
>tamura_hkd さんへ
>内田樹氏の都知事選に関する論考。かなりいいところを突いてると思います。... への返信
武道家でもある内田さんの一刀両断は、贅肉を削ぎ“骨”を見せてくれます。良いブログを紹介してくれました。
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