函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

総理襲撃事件より大問題

2023年04月19日 07時10分35秒 | えいこう語る
▼安倍晋三は射殺され、岸田文雄は難を免れた。共に総理なので、国家としては大問題だ。だが近年歴史に興味を抱く私でも、現実に起きた出来事であるにもかかわらず、歴史的に重く受け止めるという実感がない。

▼この二人、共に国家の基本秩序である憲法を改正しようとする、憲法破壊主義者だからだ。

▼一連の要人襲撃事件を踏まえ、国民への不信を募らせた政府が、警察権力の強化を図ろうとするに違い。「国民主権」から「国家主権」への台頭だ。

▼憲法を改正しようとする者は、国家秩序を破壊する人物だ。現憲法が“悪い”というのであれば、主権を回復した時点で改正すればよかったのだ。

▼しかしその時点では、現憲法で政府も良しとしていたからだ。だが「日米安保条約」があったため、その条約を強固にしながら今に至った。

▼改正派の主眼はもちろん「9条」だ。だがこの条文があったため、日米安保があっても戦争に参加しないで済んだのは、国民の広く知るところだ。

▼そうであれば安倍と岸田の二人の首相こそ、国家秩序を破壊させる危険人物として、治安維持のために監視しなければならないはずだ。

▼とはいうものの、田舎おやじの“戯言”とし、国家権力は「海中に放出されるトリチウム」ほどのものだと、一笑にふすだろう。

▼だが、日本有数の科学者210名の集まりである【日本学術会議】の発言なら、いくら政府でも直接的には反対はできないであろう。

▼菅義偉は6人の学者の任命を拒否した。学術会議法では、会員候補者の選考権を有するのは学術会議のみで、総理は任命する義務があり、会員を減らすことはできない。(学術会議法17条)。

▼さらに、総理大臣は会員に不祥事があり、学術会議の申し出があれば退職させることができる。つまり総理は会員を勝手にクビにはできないのだ。(16条)。

▼つまり学術会議の人事権に、総理は口出しできないという解釈だ。にも関わらず菅義偉は6名を任命拒否した。

▼これは官僚の人事を官邸主導にしたのと、同様にしようとする行為だ。つまり学術会議を政府の思うがままに操ろうとする、学術会議解体政策の前哨戦だ。

▼任命拒否の理由は、学術会議が政府の「安全保障政策」に反対しているからだといわれる。さらに自民党と関係が深い「統一教会」にも反対している。

▼日本学術会議の前身である、戦前の「学術研究会議」が、戦争動員された経験をふまえ、学問の自由を新しく規定した日本国憲法の下で、それを体現するナショナル・アカデミーとして誕生したからだ。

▼「9条」を改正しようとする現政権に苦言を呈するのは至極当然だ。国家から補助金をもらっているので、人事介入を当たり前と考えるのは、田舎の市役所的レベルの考えだ。

▼さらに政府は、学術会議の会員選考について、第三者機関『選考諮問委員会(仮称)』を設置する意向を示した。

▼その5人の委員会に、政府に理解を示す委員を送り込もうとする魂胆だ。そんな流れにさおさすのが、学術会議の5人の元会長だ。

▼2023年2月14日、岸田総理に対し「学術会議の独立性および自主性の尊重と擁護を求める声明」を発出した。

▼さらに17日には、ノーベル賞受賞者など8名が「学術会議改正につき熟慮を求める」という、声明文を出した。

▼これらの内容は、岩波書店の「世界5月号」に掲載された、京大法科大学院高山佳奈子教授の「日本学術会議法・改正案批判」という文章を参考にしたものだ。

▼この本は、私の高校の先輩が薦めてくれたもので、自分が購入し「先に君が読め」と貸していただいたが、あまりにも内容が充実していたので、私も購入した。早速本は、付箋だらけになっている。

▼だが気になることがある。高山教授は任命拒否問題の背景に、日本国憲法体制の廃絶を企図する、どこかの団体の主張があるのではないかと推測するとしている。

▼私はその団体が、日本最大の右翼団体とされる『日本会議』だというのは、容易に理解できる。

▼しかし法学者である高山教授までもが、その名を明記しないその奥には、日本国民統合の象徴が鎮座しているからだ。

▼だが天皇自らがその団体の奥に鎮座しているのではない。鎮座させられているのだ。天皇制なるものは戦前・戦後を通じて『使いかってのよい存在』として、君臨させられているからだ。

▼「日本学術会議」VS「日本会議」。何時かは国民の面前で討論できることを期待したい。日本学術会議を政府の監視下に置こうとすることに、戦後民主主義の最大の危機を感じるからだ。

▼ふと思い出した言葉がある。ドイツの哲学者ユンゲル・ハーバーマスの言葉だ。【行政組織による生活世界の植民地化】。

▼この言葉は地方自治体にも、無意識に浸透している。たとえば「無投票当選」が目立っていることもだ。民主主義の学校といわれる地方自治体が、機能低下しているからだ。

▼この無意識が「国民投票」に影響し【憲法改悪】につながる。批判精神なき国民は、国家主権を台頭させるからだ。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
楽しみは我と同じ気人を見るとき (陸奥の居候)
2023-04-20 08:00:47
 誰が認定したのかも不明の「日本一」「世界一」の桜便りも終盤。せめて「願はくは花の下にて春死なむ、、」の心境でいます。
 学生時代は、右手に「平凡パンチ」、左手に「朝日ジャーナル」を持ち、世の中を斜に眺めてきましたが、以来背骨までが左側に側弯したままです。つい先日も「ジャーナリズム」廃刊の報が届き、似非紳士の正体が見えてきましたし、既にバカリンピックでのスポンサー契約で嫌気がさしていたため半世紀以上にわたる購読とも縁を切りました。
 従って、楽しみにしているのは定期購読の「世界」のみとなりました。私の場合は付箋ではなく赤ペンでのサイドライン入れですが同志がいることを喜んでおります。
返信する
Unknown (かわぐちえいこう)
2023-04-22 19:09:56
安倍政権、以来変だと思うことが、まかり通る世に中になってきています。周囲も本質論を問わず、異論を嫌う世の中になっているように感じます。批判精神なき世の中が一番危険です。「世界」5月号は極めて内容が充実しています。こんな新聞であればいいのですが。
返信する

コメントを投稿