函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

安倍晋三で戦後は終わったのか

2024年03月05日 13時49分29秒 | えいこう語る
▼自民党の政治資金問題は、関係者への聞き取りで、幕を下ろしそうな感じだ。そのような気がする、主権者である国民の無関心さが気になる。

▼国民は政治家の金銭問題は、一般国民とはかけ離れているというのを、当たり前のことだと容認している感じがする。

▼安倍政治が9年近くも続いた。その非常識さを国民は、無関心さを装っているようで、実は呆れかえっていたのだ。

▼その晋三が総理の座を離れてすぐに「射殺される」という、歴史的テロ事件が起きた。だが国民は以外と冷静さを保っている。これが呆れかえっていた証左だ。

▼晋三の戦後最長の政権への内容を、国民は評価していなかった。「集団的自衛権行使容認」、コロナ禍での「五輪の強行開催」、「桜を観る会」、「森友・加計問題」など、戦後自民党の不祥事を、国民の前にさらけ出したお粗末さに、国民は本当は呆れかえっていたのだ。

▼晋三は「戦後レジームの解体」を政治目標とした。だが晋三も意図しなかった「戦後自民党レジームの解体」につながったのだ。

▼『ポスト・安倍』の国会は、今混乱している。出口が見えるようで、その出口は閉ざされている。

▼4日の参議院予算委員会での、自民党佐藤正久(防衛大卒、元自衛隊員)の防衛強化に対する、総理への質問だ。その発言は「憲法9条」を完全に無視した内容だ。

▼それを誰もが指摘しない。むしろ自衛強化や軍事予算の増額は、容認が当たり前の様な
今の我が国会だ。

▼いつ解散に打って出るか、今のキシダ総理なら『テロ解散』も辞さない状況だ。満州事変を強行する、関東軍参謀のような精神状態に思える。

▼「ポスト・安倍」の総括は、メディアもまだできていない。ここは思想史家であり政治学者、白井聡著「主権者のいない国」(講談社)から引用したい。

▼【安倍政権の超長期政権化を目撃し、そしてそれが単なる長期政権なのでなく「体制」である可能性が明らかになったいま、問題はより一層深刻に提起されなければならないだろう】。

▼【根本的な問題は「政治システム」にあるのではなく、戦後75年を経た日本人の精神の危機的状況にあるのではないかということだ】。

▼【これほどに腐敗し、政治の常識を破壊し堕落させ、法治主義を崩壊させ、三権分立を踏みにじり、嘘と欺瞞の上に開き直る権力。これに対して、積極的にせよ消極的にせよ、指示を与えてきた国民精神には、巨大悩みがある】と白井は指摘する。

▼この本は読み始めたばかりなので、まだ白井の核心には踏み込めない。だが戦後日本人は、安倍晋三の総括をしなければ、未来へ突き進むためには、大きな過ちを犯すだろう。

▼日本人は先の戦争の検証を曖昧にしたことで、安倍晋三なるるものを生み出した。そして『自衛のための戦争』という過ちを、再び繰り返そうという、現国会風景が生み出されている。

▼北海道も先日小樽港に、そして苫小牧港に、米ミサイル駆逐艦が続いて寄港している。さらに群馬県では、公園内の『朝鮮人労働者追悼の碑』が撤去された。

▼「過去の歴史を修正しようという意図はない」と、山本一太知事はいうが、戦争責任について「曖昧」にしてきたから、このような異常な事態を生んだのだ。

▼戦争に参加してきた、私たち親の世代。戦争について本質は語ることがなかった。語れば、自分の人間としての存在が、無と化すからだったに違いない。

▼国家により、国民が生涯『表現の自由』さえ奪われるというのが、戦争の本質だ。戦争は国家防衛のためだということではなく【殺人を国が認める】という『無法国家』の非人間的行為の現れなのだ。

▼思い出したが先日の国会で、自民党佐藤正久は、キシダ総理に「自衛隊トップの指揮官の総理が、一朝有事に、ヘルメットの用意もないのはおかしい」と質問していた。キシダ総理も、まんざらでもない様子だったのが気になった。

▼白井聡は今の日本を、法治主義が崩壊し、三権分立を踏みにじられていると指摘した。
フランス人権宣言「第16条」が浮かんで来た。

▼【権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていない全ての社会は、憲法を持たない】。今の日本は『憲法』さえ、効力を失ってしまったのではないか。

▼安倍晋三は戦後日本にとって、どんな存在だったのか、2024年、国民全体が自問自答する、テーマの一つではないか。

▼2024年「解散選挙」、さらに11月の「米大統領選挙」。そこに大きな影響をもたらした、安倍晋三という、日本憲政史上最長の総理。見過ごしてはならない存在だ。