▼戦争が当たり前のようになった、2024年の地球。函館周辺の山頂には残雪がみられ、冷たい風が街中に吹き降ろす。
▼とはいえ、市内の公園の桜が満開に咲き誇っている。春が今年も確実にやってきたのだ。会議の前にちょっぴり時間があったので、マクドナルド店に入った。
▼函館駅前近くの繁華街のマック。駐車場もたっぷりある。私が高校時代、この敷地には何件もの店が連なっていた。確か喫茶店もあった。
▼正午近くで店内は満杯だった。75歳の私は圧倒的な年上だ。ところが私の斜め前の席に、なんと80歳前後のご婦人が一人で居る。
▼その隣は高校生と思われる女性が一人、スマホを片手に、ポテトをつまんでいる。今時の高校生は、化粧もこなし春色のセーターもおしゃれだ。
▼だが、隣のご婦人のグリーに水玉のハーフ・コートが鮮やかだ。店内にピッタリマッチしている。そしてハンバーガーをがぶり。
▼この年齢でこの鮮やかな色の服を着るというのは、相当度胸がいるだろう。だがこのご婦人は全く違和感なく、店内に溶け込んでいる。
▼溶け込んでいるというのとはちょっと違う。ご婦人だけがスポットを浴びているように座っているのだ。それも若者に負けぬ、堂々としたオシャレ感に溢れている。
▼どんな人物か勝手に想像してみた。マック店に一人で入る。年齢から察して一人暮らしに思える。天気が良くなったので、久しぶりに外に出ようと思った。
▼通販で購入したのか、鮮やかなグリーン色の上着だ。思い切り着込んで家を出た。通り過ぎる人の目線も自分に向かっているようだ。
▼気分は若返る。そうだ「マックに行こう」と思い立ったのではないか。そして若者と同じくマックにかぶりついた。
▼もし私が、ご婦人の隣の席だったら、グリーのコートをほめたに違いない。それだけ、マックの店内の最高齢のご婦人は、かっこよかったからだ。
▼気分もよくなった私は、店を出てこんな標語を思い出した。国土交通省が子供から募集し、ポスタ―になったものだ。
▼『まちだって おしゃれしたいし 夢みたい』。たまにはおしゃれして、外に出て春の息吹を感じる。そして一人でマックへ。
▼この周辺は元関東以北最大の繁華街、函館大門地区だ。このご婦人も、その繁栄ぶりは目に焼き付いているに違いない。
▼だが現在の函館駅前周辺の凋落ぶりは、この界隈の昔を知っている者にとって、とても嘆かわしい風景になってしまった。
▼ご婦人はそんな昔をしのび、グリーンの水玉模様のコートで、この大門地区に現れたに違いない。
▼私は心の中で、ご婦人に対し万歳を叫んだ。函館市が少子高齢化が進み、寂しいまちになった。
▼まだまだ、函館のすばらしさを知っている高齢者が多い。その高齢者が生き生きできるまち、それを高齢者が盛り返す、そんなことを実感した、マックでの出会いだった。
▼函館市は世界に向かい、誇りのあるまちになってほしい。そんな素晴らしい歴史が随所にあるあるまちなのだ。
▼マックで出会った最高齢の女性から感じた、函館の未来だ。
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