函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

ノーベル文学賞作品から見えた北海道の未来

2018年07月25日 08時57分56秒 | えいこう語る

▼この頃、北海道があわただしくなってきた。最初に動き始めたのが、我が国での新幹線開通から、半世紀以上経ってやってきた「北海道新幹線」だ。

▼かつては「夢の新幹線」と呼ばれたが、年月の長さに夢は薄らいでしまったようだ。それでも、札幌まで延伸させれば、新幹線は北海道の活性化の起爆剤と、政財界は夢を語り続ける。人口は減少し,地方は消滅の危機に瀕してきている現状でだ。

▼さらに、北海道観光の起爆剤になるだろうと期待させているのは、道内7空港の一括民営化だ。民営化は航空運賃が安くなる可能性や民間発想での型破りな企画ができる期待感はある。だが、入札には地元の共同企業体ばかりではなく、海外資本の参加もあるようだ。

▼その一つに、フランスの空港公団会社も参入してくるそうだが、そこに我が国の観光業界では異色な経営方針を打ち出す「加森観光」も加わるという。世界中から北海道に格安航空運賃で観光客を誘致し、統合型リゾート施設(IR法)を積極的に展開する計画ではないかと思う。

▼ラスベガスやシンガポールではない、北海道の大自然のの中で、世界最高レベルのカジノを中心とする統合型リゾート施設の建設を目指しているのではないか。クラーク博士がこの大地に残した「ボーイズ・アンビシャス」の精神とは、果たしてそんな挑戦を言うのだろうか。

▼北海道は、オスプレイも自由に飛び交い、やがて米軍の基地化が進みそうな気がする。イージス・アショアもそのうち配備されるかもしれない。港湾も深くし、大型クルーズ船の入港で、観光客の誘致を図るというのも、米空母が寄港できるための計画かもしれない。

▼妄想に過ぎないかもしれないが、アベ総理の極端な対米従属姿勢を見ていると「借金王国日本」に、お金の儲け方(ラスベガスのノウハウ)を教えてやろうというという、米国大統領の悪魔の囁きが聞こえて来る。賭博法だけに「トランプ法」と名付けたいものだ。

▼北海道の未来を考えたが良い案など浮かんでこない。だが、ノーベル文学賞受賞作カズオ・イシグロ著「日の名残り」の中に、こんな文章があった。・・・イギリスの風景を表現した件だ。

▼「イギリスの風景がその最良の装いで立ち現れてくるとき、そこには外国の風景が ─ たとえ表面的にどれほどドラマチックであろうとも ─ 決してもちえない品格がある。そしてその品格が、見る者にひじょうに深い満足感を与えるのだ、と。この品格は、おそらく「偉大さ」という言葉で表現するのが最も適切でしょう。今朝あの丘に立ち、眼下にあの大地を見たとき、私ははっきり偉大さの中にいることを感じました。この国土はグレートブリテンと呼ばれております。では「偉大さ」とは、厳密に何を指すのでしょうか。それはどこに、何の中から見いだされるものなのでしょう。私は、表面的なドラマやアクションの無さが、わが国の美しさを一味も二味も違うものにしているのだと思います。問題は、美しさの持つ落ち着きであり、慎ましさでありますまいか。イギリスの国土は、自分の美しさと偉大さをよく知っていて、大声で叫ぶ必要を認めません。(多少抜粋させていただきました)。

▼私はこの文章に感銘を受け【グレート北海道】にするためには、道民一人一人の品格が必要ではないかと考えてみました。だが、品格の中身を定義することが決して容易でないことも知っています。

▼ただ、「偉大な大地」・「品格の大地」というのが、北海道の未来のあるべき姿ではないのかというのは、私もちょっぴりではあるが、そんなふうに感じています。