函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

サッカーW杯も終了して

2018年07月17日 08時13分15秒 | えいこう語る

▼サッカーはルールもわからないので、ほとんど観ることは無い。しかし、今回のワールドカップの決勝戦に、見入ってしまった。大国フランス(人口約6500万人)VS小国クロアチア(450万人)だ。

▼大相撲の対決で言えば「小錦VS舞の海」というところか。
クロアチアは、旧ユーゴスラビアから独立し、まだ四半世紀しか経っていない。MVPに輝いたのは、身長172センチ・32歳の、チクロアチアの主将モドリッチだ。子供の頃、戦火の中でもひたすらボールを蹴っていたという。だれもが認めるMVPだ。

▼終了のホイッスルが鳴った時の、クロアチア選手の顔には『絶望』が現れていた。そこに、国を背負って戦うというサッカーの現実を目の当たりにする。サポーターたちも、国と国の戦いといった「戦闘ムード」さえ感じる。 

▼私は「ベルギーVS日本」の戦いもテレビ観戦した。高校時代の親友で、一昨年にベルギーに移住した友人、そして、先日、函館に住む友人を亡くしたからだ。二人が仲良くロシアで観戦しているのではないかと思い、私も同席したかったからだ。

▼この戦い、日本が2点先取したところで、私は、突然日本が負けるのではないかと感じた。「軍隊を持たぬ国は、防衛能力に欠けていて、W杯は何度参加しても生き残れないのではないか」という、ぼんやりとした予感を持ったからだ。

▼改憲論者たちが「国家のために命を捧げる国民でなければならない」というような主張が、頭をよぎった。日本が軍隊を保有したら、全員が主将モドリッチのような戦いぶりを見せ、やがてW杯で黄金のトロフィーを手中に納められるではないかという、ぼんやりとした希望?だ。

▼さらに、次期東京オリンピックが、あからさまな国威発揚を演出し、日本が再び「坂の上の雲」を目指すのではないかという、危険性も含めてだ。

▼W杯の間に、我が国は西日本の大豪雨で、死者が200名を超えた。その最中に、アベ総理と「坂の上の雲を目指す仲間たち」は、議員会館で宴会をしていた。

▼同席していた上川陽子法務大臣。翌朝、オウム真理教のアサハラとその幹部、計7名の大量死刑執行を前にしての、宴会だったというのは、身の毛もよだつ。災害の死者の中に、7名の処刑者も含めてしまおうという魂胆か。

▼さらに【森友・加計問題】も豪雨の中に流してしまい、22日で国会を閉会する。アベ政権とは、明治からの政治史の中で,どんな位置を占めるのだろうかと、考えさせられる。

▼W杯や五輪の側面には「集団意識の涵養=国威発揚」がある。そんな中で【9:11米国同時多発テロ】後の、米国の作家スーザン・ソンタグのこんな発言を思い出す。

▼「まず、共に悲しもう。だが、みんなで一緒に愚か者になる必要はない。テロ実行者を【愚か者】と批判するが、その言葉は彼らにではなく、報復のおそれのない距離・高度から殺戮を行ってきた者(我らの軍隊=米軍)の方がふさわしい。欺瞞や妄言は何も解決しない。現実を隠蔽する物言いは、成熟した民主国家の名を汚すものだ」。高橋源一郎著「僕らの民主主義なんだぜ」から引用。

▼こんな時、私は決まって思い出す言葉がある。【人間の魂は、かつて真理の国にいて、真理をはっきりみていたが、今や現象の国に生まれて、真理をはっきり見る目を失った】という、プラトンの言葉だ。