4日程海が荒れていた。昨夜も蒲団の中で図書館から借りた吉村昭の小説を読んでいた。
戦争中に或る小さな漁村で発生した行方不明事件が、時効後に死体が見つかり、その真相に迫る奇妙な殺人事件である。その小説の内容に臨場感をもたせるように、消波ブロックにぶつかる波の音が、絶え間なく枕元に響いていた。
翌朝新聞を取りに玄関に行くと、風もなく雨が静かに降っていて、海を見ると波はだいぶ静けさを取り戻していた。
新聞を広げると、山田洋行関連の記事が大きく出ていた。年間5兆円に及ぶ国民には使い道がよくわからない防衛予算の中で、この問題はロッキード事件より広がりを持った、大きな問題になる可能性もあるかもしれない。
しかし、この事件は日米の安全保障の壁に阻まれ、すでに水面下で落としどころが決まっていそうな気がする。
松岡農林水産大臣の自殺は、何年も前の事件ではない。つい数ヶ月前の出来事であるが、永田町ではまったくの解決済みの事例ではないか。
山田洋行事件も、生贄の候補がすでに名指しされているかもしれない。誰が命令を下すわけではないが、関係者の中では誰かが犠牲にならなければ納まらないと言うのを、暗黙のうちに了解しているに違いない。
こんなことを朝から考えるのは、昨夜の小説の影響が大きい所為かもしれない。
犠牲者の出ないような監視も必要に思う。
正午少し過ぎた時、ほんの10数秒だけど、大粒の雪が降ってきた。タイヤ交換の時が来たなと思ったら、バラバラと雨が落ちてきた。雨と共に雪はあっという間に消え、その雨もすぐに止んだ。
雨が止んだ後急にお日様が照りだし、雨に打たれ薄ぼけて枯れそうな庭のもみじが、とても赤く美しく輝いた。しかし一瞬の日差しも、まもなく雲に遮られてしまった。
ほんの数分の出来事が、不吉な事の前兆のように感じられたのは、やはり、昨夜読んだ小説の影響かもしれない。
それにしても真夜中の波の音は、効果音としては見事な演出であった。
戦争中に或る小さな漁村で発生した行方不明事件が、時効後に死体が見つかり、その真相に迫る奇妙な殺人事件である。その小説の内容に臨場感をもたせるように、消波ブロックにぶつかる波の音が、絶え間なく枕元に響いていた。
翌朝新聞を取りに玄関に行くと、風もなく雨が静かに降っていて、海を見ると波はだいぶ静けさを取り戻していた。
新聞を広げると、山田洋行関連の記事が大きく出ていた。年間5兆円に及ぶ国民には使い道がよくわからない防衛予算の中で、この問題はロッキード事件より広がりを持った、大きな問題になる可能性もあるかもしれない。
しかし、この事件は日米の安全保障の壁に阻まれ、すでに水面下で落としどころが決まっていそうな気がする。
松岡農林水産大臣の自殺は、何年も前の事件ではない。つい数ヶ月前の出来事であるが、永田町ではまったくの解決済みの事例ではないか。
山田洋行事件も、生贄の候補がすでに名指しされているかもしれない。誰が命令を下すわけではないが、関係者の中では誰かが犠牲にならなければ納まらないと言うのを、暗黙のうちに了解しているに違いない。
こんなことを朝から考えるのは、昨夜の小説の影響が大きい所為かもしれない。
犠牲者の出ないような監視も必要に思う。
正午少し過ぎた時、ほんの10数秒だけど、大粒の雪が降ってきた。タイヤ交換の時が来たなと思ったら、バラバラと雨が落ちてきた。雨と共に雪はあっという間に消え、その雨もすぐに止んだ。
雨が止んだ後急にお日様が照りだし、雨に打たれ薄ぼけて枯れそうな庭のもみじが、とても赤く美しく輝いた。しかし一瞬の日差しも、まもなく雲に遮られてしまった。
ほんの数分の出来事が、不吉な事の前兆のように感じられたのは、やはり、昨夜読んだ小説の影響かもしれない。
それにしても真夜中の波の音は、効果音としては見事な演出であった。