▼今日の表題は、母が私の子供の頃によく口にしていた‟呪文”だ。食料が少ない時代、近所からおすそ分けをいただくと、そう唱えていた。だから私は子供時代に‟呪文”だと思っていた。
▼76歳になった今、皆さんのおかげで生かされているのを実感する。『感謝』の気持ちは、高齢者になればなるほど理解を深める言葉だ。
▼ロシアの侵攻の「停戦」を呼びかけたのは、私とほぼ同年代のトランプだ。さすが米国の大統領だと思わせた。
▼しかし戦争で弱い立場にあるウクライナの大統領に、テレビの前で世界に向かって、米国に『感謝せよ』と強制した。
▼「感謝」は強制するものではない。普通の人間なら心の中で十分「感謝」していても、十分伝えることができないのが「感謝」という‟心”だ。
▼「感謝」を何度も繰り返させば「感謝」される人の心も「ありがた味」が失われる。なので「感謝」という言葉は「口に出さない」で、心で確かめ合うものだ。
▼ゼレンスキーは軍事支援をしてくれる米国が「停戦」を提案してくれることに対し、十分「感謝」しているはずだ。だから米国まで出向き、その心を伝えている。
▼だがトランプは「感謝」を物で返してほしいという。感謝するなら交換条件が必要だという。つまり「ディール=取引」だという。
▼ウクライナは「停戦」が成就したあかつきには、何かしらのお礼は用意しているはずだ。だが戦況が不利なところを突いて、先にお返しを強要する。
▼人が困っているところに援助の手を差し伸べ、その見返りに相手が大事にしているものを奪ってくるというのは、まったく外道の考えだ。
▼「感謝」は強制したら、感謝する気持ちにはなれない。これは私たち日本人が、昔から持っている「価値観や倫理観」だ。
▼日米が真の友達なら、一言注意してやるのが日本の役目だ。もしそんなことを理解しないなら、友達でいることが出来ないというのが、真の友達だ。
▼私も含め多くの日本人なら、今回のテレビ対談でこのように考えたに違いない。私の周囲の高齢者たちに聞いてみた。
▼「トランプなんて大嫌いだ」。そんな根性悪の大統領に。おべんちゃらを並べる総理は‟日本の恥”だ」とまで。
▼テレビでは、今回の討論会についてあれこれと専門家と称する人たちが解説している。だが、ちょっぴり古いタイプの高齢者と呼ばれる日本人は、人に「感謝」を要求する米国の爺なんて、まっぴらごめんだ。顔も見たくない。
▼今日はそんな日本の爺さんになって、トランプの「感謝」の意味が間違っていることに、ことのほか憤慨する。