▼組織のトップが長い間君臨すると、必ずと言っていいくらい腐敗が起きる。例えば地方自治体の首長だが、長期政権になるとそのトップの道徳観まで変わるのを、身近で実感してきた。
▼将来自分の対抗人物になりそうな者は、人事で早めに芽を摘むということや、長期になれば、組織自体が‟忖度体制”となり、硬直化してしまう。
▼それを有権者は「安定」とみてしまっては、その組織は徐々に壊死してくる。それが長期政権の陥る定番だ。
▼ということは権力を有する「有権者」に,一番の責任がある。だが首長を腐敗させるのは組織に大きな責任がある。
▼組織こそが首長をコントロールし、有権者が安心した生活ができるような施策を、打ち出すような環境を維持しなければならない。
▼だが職員は30年から40年間、自分が同職場で勤務を続けなければならない。そうであればトップにすり寄る仕事を選ぶ。
▼それが自治体に活性化を生み出さない、最大の原因だ。なので私は自治体の首長は3期で終えるのがベストと考えている。
▼それが様々なモラル・ハザードを生み出す。フジテレビ問題は、そんな組織論の弊害が生んだ最大の例だ。
▼タレントの中居問題は、長期組織論から生まれた、モラル・ハザードに過ぎない。中居はそんな組織で泳がされた人物だ。
▼憲政史上最長と言われた、自民党元総理アベシンゾウ。そこで行われたのは自民党組織の強化政策だ。
▼「森友・加計問題」「桜見る会」「東京五輪問題」「政治資金問題」「憲法改正問題」すべて自民党組織が生んだ、国民軽視の流れだ。
▼さらに民間組織も自民党のような組織体制になったのが、フジテレビ問題だ。日枝という人物が40年以上もトップに君臨し、人事権の掌握で組織の維持に努めた。
▼シンゾウ政権の官房長官スガヨシヒデが、官僚の幹部職員の人事を「首相官邸」に持ってきたのと同様だ。
▼組織論に見える硬直性の始まりは、人事権の乱用にある。この乱用が激しい組織は、独裁体制下で営業成績は上昇する。
▼組織の論理が統一化され、組織が一体となり強力な組織と化すからだ。そこに「安定」が生まれる。
▼その安定が実は「組織の腐敗」を生み出す。これが大規模組織の特徴だ。フジテレビは日枝は社員上がりの、優秀な社員だったようだ。それがトップとして40年以上も権力をふるった。
▼役所で有能な人物と思われた者が、やがて首長となり、権力を維持するのと同様だ。組織を知り過ぎたゆえの落とし穴が待っているからだ。
▼長年慣れ親しんだ組織の変革など、出来っこないのだ。出来る範囲の小さな改革しかできない。本人がその組織で「組織論」を学んできたからだ。
▼一見フジテレビだけの問題だと思っているが、資本社会のすべての組織が持つ共通の「組織論」だ。
▼戦争に負け天皇制が廃止された。だが天皇は国民統合の象徴として憲法に書き込まれた。「国体」は水面下で維持された。
▼それと同様、フジテレビという問題は、日本社会を構成する「国家組織論」と、似ているような気がする。
▼フジテレビは大幅に人事が削進されたようだが「日枝流組織論」は、完全に払拭できないような気がする。それが日本社会そのもののだからだ。
▼なんだか「自分勝手論」を吐露したようだが、日本最大の広告D社の【鬼の10則】と言う「社内規律」を読んだことがある。
▼これは所属する組織を最高にする精神を述べたものだ。これは日本のあらゆる組織に共通する「組織論」だ。
▼D社はどんなに世間に叩かれようがくじけない。そしてコバンザメのように離れずに仕事を得る。
▼フジテレビも変わりようがない組織だ。それは日本社会そのものの『組織論』だからだ。それは『天皇制組織論』と言ってもいい。
▼『組織論』が悪いと言っているのではない。「組織論」を自分の利益とする『硬直的組織論』を維持する、そのように考えを否定したいのだ。
▼民主主義を教えてくれた米国が「自国第一主義」を宣言するトランプ大統領になった。彼のようなな国家論は長続きはしない。
▼多くの組織が「コンプライアンス」を守れれない社会になってきたからだ。一国のトップが自国の憲法を自ら破棄しようとするそんな国だから「コンプライアンス」などという口触りの良い言葉がはびこっているのだ。