▼通常国会が24日から始まる。気になるのは国民の関心を「103万円の壁」問題に、集中させていることだ。
▼国民民主党が言い出した壁の引き上げを、自民党と公明党が合意したが、約束を反故にしたら予算案を成立させないという。
▼国民民主の主張は178万だ。これほど格差があれば、真ん中あたりで決まるというのが社会の常識だ。
▼国民民主もそんな単純な作戦で、大幅な金額を設定したに違いない。予想だが半分で「141万円」だ。
▼そこに玉木代表の不倫問題をちらつかせ、11万を差し引いて『130万円』で落ち着くのが、今の我が国の国会の常識ではないか。
▼要は国民民主を充分立て、公明と国民民主を取り組み『自・公・国三党体制』のイシバ政権続投に持ち込むのだろう。
▼だがもっと大事なことがある。今国会で『日本学術会議を特殊法人化する関連法案』が討議されるという。
▼この問題は元総理スガヨシヒデが、学術会議からの新候補6人を、任命拒否したことによることから発している。
▼学術会議とは科学者たちが戦争に加担させれたことを反省し、政府が設立した独立機関だ。近年の政府の『憲法改正』の政治方針に異を唱えるのが、学術会議の正統な在り方だ。
▼だが任命権者が総理となっている。人事案件は公表するものではないとか言って、スガはだんまりをこいた。珍しくずる賢い総理だ。
▼その中に東大で日本近現代史を講義する、加藤陽子教授がいる。教授の著書「それでもの本人は‟戦争”を選んだ」朝日出版社を読めば、スガが任命拒否した理由がよくわかる
▼さらに朝日新聞2023年4月7日付の、加藤教授へのインタビュー記事を読めば、スガ総理が、何が何でも任命拒否しなければならない理由がはっきり理解できる。スガでなくともキシダフミオでも拒否するだろう。
▼その内容は、2022年12月に「国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画」の「安保3文章」が閣議決定された。
▼そのことについて加藤教授は、この内容は日露戦争後の1907年に制定された「帝国国防方針」と酷似していると指摘しているという。
▼この国防方針は、ロシアと米国への戦争への体制整備なので‟身の丈を超えた軍事力を持とうとする”内容だったという。
▼今回の3文書にも、5年間で防衛費を40兆円超えにまで増額すると書かれている。「最小限度の戦力」とは程遠い、軍事国家への前進だ。
▼そして中国・北朝鮮・ロシアを「安全保障上強い懸念」と記述している。なのにイシバ内閣は、中国との外交を強化しているのは納得がいかない。
▼加藤教授は「米国と中国は、自国の領土で戦争しようと思っていない。両国が衝突したら『火の海』となるのは“日本”だと指摘している。
▼政府は今国会で学術会議を特殊法人にし、首相による会員の任命は廃止し、外部有識者でつくる『選考助言委員会』を新設するという。
▼これって「原子力規制委員会」と同じ体制ではないか。国の監視と圧力がかかる体制を堅持しようとしている。学術会議の「特殊法人化」は、戦争に反対する組織を根こそぎ潰すという法案だからだ。
▼戦争ができる国へと舵を切ろうとする、イシバ政権下では絶対通してはならない法案だ。科学者たちが『表現の自由』を奪われれば、国民などひとたまりもないからだ。
▼学術会議の問題は「戦争か平和か」という、二者択一の問題だ。そんな意味で政府の提案は廃案にしてほしい。
▼そして国民民主が、自民党が「103万円の壁」妥協したお礼に、学術会議の問題を成立させることがあっては、国民民主も『戦争賛成党』だ。