▼31日の衆議院予算委員会で立憲民主の長妻昭議員が、昭和の戦争で国策をどういうタイミングで誤ったのか、戦後一度も検証していないと総理に質問した。
▼イシバ総理は、戦争をなぜ始めたのか。なぜ避けることができなかったのか。検証が大事だと思っている。田中角栄元総理が「あの戦争を行ったやつが、この国の中心からいなくなった時が怖いんだ。だからよく勉強してもらわなければ困る」と言ったと答弁した。
▼質問されれば他人事のように言うイシバ総理だ。にもかかわらず、自分は戦争する強い国を目指している。こんな総理が間もなくトランプ大統領と会談する。
▼米国最大の極東基地『軍事大国日本』への確約をしてくるに違いない。「訪米阻止闘争」を今夜の夢の中で展開してみたいものだ。
▼でっかい妄想を働かせるより、我が北海道に注視してみたい。『半導体を制するものは世界をも制す』というような、時代の流れになってきたようだ。
▼千歳市に半導体工場ラピダスが突然進出(侵略)し、北海道の未来にも何らかの影響を与える可能性を、道民は感じている。
▼何なのかは「ぼんやりとした希望」というより『ぼんやりとした不安』の方が多いような気がする。
▼政府も巨額な補助を出しているし、大手企業も率先して拠出しているようだ。まるで国策のような勢いだ。
▼だがラピダスには米IBMの数百人もの研究者が来るという。その内ラピダスはトランプ大統領に牛耳られ、その傘下にされてしまうような気がする。
▼工場の土地と建設費を負担させられ、経営は乗っ取られるというような不安を、抱いてしまう。
▼建設が急ピッチで進む。大量の水と大量の電気が使用されるという。水の供給は国の補助で苫小牧市が受け持つことになった。
▼苫小牧市は、ラピダスへの物資搬入の拠点としての整備(港湾事業)も含めての、『政府直轄都市』としての未来が、明確になっているようだ。
▼電力の供給はやはり北海道電力に依存する。そうであれば泊原発再稼働が必要となるので、再稼働に向けた整備が行われようとしている。
▼原子力規制委員会も、再稼働に向けた規制を緩和しようとしている。規制委員会ではなく『容認委員会』だ。
▼燃料や物資の搬入のための新港の建設、輸送道路の整備などでの予算も発表されている。この金額はもちろん電気料金に加算される。
▼「案全・安心なクリーンエネルギー」「原子力は電気料金が安い」などというのは真っ赤な嘘だ。受益者負担が電力会社を支えているからだ。
▼話は飛ぶが、先日埼玉県で道路陥没事故が発生した。さらに下水道管も破損したが、古くなった上水道の整備も指摘されている。この整備費も受益者負担だ。
▼戦後整備されたインフラの老朽化の対策で、公共料金は上昇し国民の生活を直撃する。『欲しがりません整備されるまでは』という、もの言えぬ状態に陥る危険性がある。
▼さらに言えば、人口減や国民生活が衰弱しているにも関わらず、なぜか防衛費が増大している。
▼先日或るタレントが、自衛隊の装備や実弾訓練を紹介する番組がある。自衛隊は最少限の戦力しか保持できないといわれるが、百発百中の戦力を目の当たりにして、この砲撃の向こうの敵やその家族を考えてしまう。
▼自衛隊員の過酷な訓練も、国民を守るためだという隊員たちの素直な覚悟に、胸に込み上げるものがある。
▼だが砲弾の向こうには、何万もの犠牲者があるということも想像しなければならない。外国の兵士が実戦で受けたPTSDも忘れてはならない。
▼国家・国民のため、人殺しはしてはならない。テレビを観て与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」の詩が浮かんでくる。
▼イシバ総理は真面目そうな人に見える。だがなぜ戦争をしようとするのだろうか。近頃の政治家には、憲法を尊重する意識が欠けているように思う。
▼憲法前文を思い出してほしい。【われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものである】と。
▼保守系の人々は憲法は「米国からの押し付け」だと言う。ならイシバ総理はこの前文を米国会でスピーチし、『米国第一主義』と矛盾することを‟丁寧”に説明してほしい。
▼不良との付き合いはやめるようにと先人たちに酸っぱく言われた。トランプは今や世界の『トランプ大不良』だ。
▼そんな米国に服従する『パシリ日本』ではならない。日本人としての気概を見せてほしいイシバ総理初の「トランプ大不良」への訪問だ。
▼その会談でイシバ総理の力量を、国民が知ることになろう。「フジテレビ問題」にかまっているばかりではダメだ。
▼ということで、今日のテーマの関東軍を忘れてしまった。結論は、今のラピダスの北海道侵略とそれに伴う泊原発再稼働などは、国民を無視する、関東軍的な国の侵略方針ではないかと感じる。
▼そんな結末は、負け戦になるのではないかと言う気がしてならないからだ。