カメラといっしょ★

地元福岡~イタリア留学からワーキングビザ取得しての海外生活を写真で綴るつれづれ日記

Moret-sur-Loingへ

2011-03-27 23:59:14 |  └・フランス
夜の明けない薄暗闇のパリでひとり目を覚まし
果てない闇の地下鉄に体を潜らせ、パリ・リヨン駅へ。

その先に見える暁の薄紫の美しさに
旅立つ事の意味を知る。

こんなに早朝にひとりここに来たのは
パリ郊外の田舎村「Moret-sur-Loing」へ行くため。
なぜ花の都パリを捨て置いてこの村に行くかというと、
前回のパリ旅行の時にもアドバイスいただいた
パリ駐在経験のある友人から、ここはいい!とお勧めいただいたから。
滞在中、その美しさに何度もご家族と足を運んだとか。
それから私も村の事、行き方など調べた。
モレ・シュル・ロワンは画家のシスレーが愛し、描いた村。
とても小さなでとりたてた観光名所があるわけでないらしく
むしろその手前のフォンテーヌブローのほうが観光的には有名。
でも印象派の画家がこぞって描いた場所だそう。
私は印象派の絵画が大好きだ。
ようやく物心ついた頃、母に連れられて行った印象派の絵画展の
その絵の中の光が今でも心に焼き付いている。
ぜひ、ぜひ行ってみたい。

行き方を調べたといっても結局時刻表等は詳細は分からなかった。
インターネット上にはたくさんの情報はあるが
すでに化石化したもの、不確かな物、ありとあらゆるものがあって
それは川から砂金を探すような作業。
ま、行ってみて誰かに聞いてみよ、ってなのんきな性格が
それ以上の情報収集を断念させてしまった。
そして実際行って聞いてみたらあっさり分かった。
みんな親切に教えてくれた。

電車の出発時刻まで
その焼きたての香ばしいかおりにつられて買ったクロワッサンをかじりつつ待つ。

初めて乗る電車の冷たい席に背を丸めて腰を下ろす。
車窓には春を遠ざけた寂しげな景色がうなだれ、
ようやく差し始めた朝日はこころもとなく
新しい今日を不安げに照らす。

電車で約40分「Moret-Veneux les Sablons」駅で下車。
地図を持たない私は「とりあえず道を左に」というネットの書き込みで進もうとした。
でも駅を降りて、どうみてもまっすぐ正面にしか道がない。
他に道があるのだろうか、他に出口があるのだろうか。。
少し不安になって駅の切符売りのおばちゃんに聞いてみた。
英語が話せないらしい彼女は困っている風の私の顔を見て
とりあえず観光案内のパンフレットをくれた。
でもそこには地図はない。
覚えたてのフランス語で聞いてみた。
通じたかは分からないけど、分かる単語があったのだろう
「go」と言って、大きく手振りで真っ直ぐ指し示してくれた。
必死だった私は「grazie」となぜかイタリア語でお礼を言って
1本しかない道をただまっすぐに歩いて行った。
しかしあの記事を書いた人は何を基準に左手へ進むと言ったのだろうか。。
1本しかない道はまっすぐ進むしかないだろうに。

光のない薄曇りの道をとぼとぼと行く手も見えないままに歩き進めると
そのまっすぐな道の向こうにうっすらと古い門らしきものが見えてきた。
ああ、きっとあれだ。
 
目指す地が見えれば人の歩みは俄然力強くなる。
人気のない静かな町を朝日の射す古い門むけてまっすぐに歩き続ける。
 
遠くから見てすぐにそれと分かる存在感を放っていた門は
とても小さなものだった。
すごく古くに置き去られ、でもそのまま絶えず時を刻んでいる。
それはまるで時空を隔てる関所みたいな不思議な存在感に包まれている。

門をくぐるとその先の道は朝日に溢れていた。
ああ、神様。写真の神様、私に光を与えてくれるの?
ありがとう!
私ってなんて、なんて最強の晴れ女(笑)
だってせっかく写真を撮りにきたのに光がなくては
この世の光に美しさに心惹かれて私はシャッターを切り続けてるのだから。

斜にさす朝日にようやく目覚めたばかりの村
  
 
  
とても静かに穏やかに朝の時が流れる。
 

まだほとんどの店がシャッターを下ろすの中
あたたかな湯気をたて、いち早く営業しているパン屋。
 
村の人々が朝食用のバケットを買いに買い物かごを下げて集う。
ああ!!そのバゲットおいしそぉおおお!と
さっきクロワッサンを食べたにも関わらず
村人に混じって焼きたてのバケットを買う。
 
バゲットをとりあえず革のカバンに突き刺して
めざす風景を探して
ひとり小さなおとぎの村を彷徨っているのでした。

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