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逃亡の果てにたどり着いたのはパリ。
なぜって、そこは私が恋してやまない街、
そして、自分の原点を見いだした場所。
迷った時にはここに戻るんだ。
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美しい夜明けをエッフェル塔と一緒に迎えながら、
心をじっと澄ます。
曇る心の中で見つけた小さなひとかけらの思い、
この美しい夜明けを届けたい人。。
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お菓子のようにかわいいパリの街を歩き、
まずは大好きなオランジュリー美術館で
モネの睡蓮を堪能。
半分眠ったようにぼんやりと絵の世界に入る。
睡蓮の花を揺らす風が私の心の中にも吹く気がする。
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チュイルリー庭園の端っこで朝ごはん。
ここに来る途中で買ったもの。
バケットのおいしさはいつもながら、
何このアップルパイ、超おいしい~!
甘すぎず、りんごの爽やかな酸味が引き立つ
少しだけ残る果実のシャキッと感
パイ生地のバターの香り。
はぁ~~、なんておいしいの。。
ああ、パリ。だから好き!
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美しい冬の日。
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クリスマスの飾り付けがされた街をお散歩。
冷たい空気を切るように歩く。
心の中までチンと冷えきって、感覚がなくなり
辛かった事さえ辛くないように感じて来た。
目に飛び込むかわいい景色を映画を見ているように
実感もなくただただ追う。
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ようやくお昼ごはん、
老舗のビストロへ。
店は忙しさに殺気立っている。
私がおぼろげなフランス語で一人だけど席はある?と聞くと
ちょっと待ってて!と乱暴にあしらわれ、
それからかなりの時間待つ事になる。
イタリアでも忙しいとかなり雑な扱いを受けるが、
もうちょっと思いやりがある気がする。
とにもかくにも都会は冷たいのね。
待っているのもヒマなので観察していると、
殺気立っているのは給仕長のみで、
他の人は気の毒そうに待っててねと小さく声をかけてくれる。
給仕長、どうやら全部自分で仕切らなければ気が済まないらしい、
殺気立つ忙しさの原因は自分で作っているのではないか、ふむふむ。
みんなで分担して仕事すればいいのにね。
任せるってことが長の仕事なのではと思う。
そんな暇つぶしの人間観察の末、
ようやく席に通された。
もう座れてほっと一息である。
相変わらずビリビリと働く給仕長さん、
パタパタと私の席を用意し、またクルクルとフロアをまわったあと、
ようやく注文を取りに来てくれた。
また下手なフランス語で話すとイラつかれそうなので英語でオーダー。
私がしっかりランチセットとワインまで注文したからか、
ま、よし、みたいに下がっていった。
その後はパンを追加してくれたり、ワインを注いでくれたり
甲斐甲斐しくお世話してくれた。
ん~、きっと悪い人ではないのね。
さて、注文した野菜のココット。
お野菜をココットに入れてオーブンで焼いただけ、
そう思えば思うほど、なんじゃこりゃー!のおいしさ。
野菜のほんのりとした甘み、旨味、香りがふわふわと広がる。
バケットもとってもおいしくってパクパク食べちゃって、
ワインもおかわりしちゃいます。
シンプルだけど、ああ~、なんておいしいのパリ。
そして何よりもこの温かさが
凍り付いた私を内側から暖めていく。
立ちっぱなしで待ってたのは辛かったけど、
おいしかったから、結果よい思い出となってしまった。
おいしいって最強ね。
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たくさん待って、ゆっくり食べたせいで、
すっかり夕暮れ模様のまちをまた散歩。
今まで歩いた事ない道を選んで歩けば、
なんとそこは中古カメラ屋さんがたくさん。
妙なテンションになりつつショーウインドーを覗き込む。
ああ~、いいなぁ、こんなにたくさん中古レンズが売ってる。
フィレンツェは街が小さすぎて店も少ないし品薄。。
あ、コレ!と思いつつ、そんなお小遣いは持ち合わせてないので通り過ぎる。
いいもん、また買いにくるから。
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街に灯がともりはじめた。
黄昏時のパリは最高にロマンティック。
今までは一人旅だし、用心して一人で飲みに行くなんてしなかったけど、
パリをより満喫するために挑戦する事にした。
でも用心深い私は、できるだけ危なくなさそうで、
宿へもほど近いところを下調べして行った。
ホテルに併設されているとーってもおしゃれなバー。
ちょっとお高いのがつらいけど、
だから客層もへんじゃないし、お店の人もちゃんと親切。
でもこんな素敵なバーでひとりなんてさみしいかも。。
独り酒になれない私はぽつねんとしつつ、
ひたすら飲み、おつまみのチーズをほおばる。
あ、チーズ、うま!
ロゼワインにはできれば氷入れないでほしかったけど、
これが正しい飲み方なのかな?
さみしく心の中でひとり会話。
変なお客にならないようできるだけ行儀よく穏やかに過ごしつつ、
誰彼構わずこぞって話しちゃうイタリアを懐かしく思ったりした。
パリの夜はゆっくりと鈍色の帳を引きながら更けてゆくのでした。