夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

門脇重綾と和歌

2015-12-23 21:54:21 | 日記
先日、境港の古文書の会に参加した折、米子空港に近い渡町の日御(ひのみさき)神社にお参りしてきた。


日御神社の現在の社殿は、嘉永6年(1853)再建されたものだが、そのとき再建に当たったのが、同社の神官であった門脇重綾(しげあや)であった。重綾は幼少より学問に励み、国学と神道を修め、和歌にも秀でていた。
重綾は後に、鳥取藩に召し出されて活躍し、明治維新後は新政府に仕え、教部大丞にまで至る。境港の方々にとっては郷土の偉人というべき存在なのだが、重綾には優れた紀行文の『西遊紀事』や、没後に刊行された『蠖園集』(かくえんしゅう)という歌集がある。

私が活字化についての依頼を受けたというのはこの『蠖園集』で、明治11年の版本なのだが、一般にはほとんど知られていない。
重綾の和歌、特に長歌は優れたものが多く、埋もれたままではいけないと、代表の方が古文書の会で翻刻作業を開始するとともに、私に話を持ちかけてきてくださったのである。
江戸時代の和歌については、直接の専門ではないが、私自身、重綾の和歌に魅力を感じ、地域貢献にもつながるので、お引き受けすることにした。

来年は重綾生誕190年の記念すべき年でもあり、境港はじめ山陰の方々に、郷土の偉人がこんなに素晴らしい歌を詠んでいたということを知っていただきたいと願っている。

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