夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

源氏論議

2016-12-27 16:29:21 | 日記
先日の源氏物語講座の後、教室に残っていた受講者の方数人と、源氏物語の当初の構想について話題になった。
「源氏物語を書き始めた頃、紫式部はどのくらい先まで話を考えていたのでしょうか?」
「よく言われることではありますが、「藤裏葉」の巻あたりまでは構想していたと思います。」

帝の皇子として生まれ、類い稀な美貌と才能を持ちながら臣籍に降下した光源氏が、恋愛遍歴を重ね、一時は政争に敗れ須磨・明石を流離することは、作者は当初から考えていただろうと思う。また源氏が、許されて都に帰ってからは順調に昇進を重ね、後宮政策も功を奏し、六条に広大な邸宅を構えて妻妾を住まわせ、不義の子・冷泉帝の配慮で准太上天皇に至り栄華を極める、という大団円までも、あるいは初めから構想に入っていたのかも知れない、という話をした。

「少なくとも、今日、図に書いてご説明したような人物関係や、大体の事件はあらかじめ決めていたでしょうし、そしておそらく年表も作っていたと思います。じゃないと…」
「話のつじつまが合わなくなる。」
「そうですね。それから、光源氏が何歳でどう出世していくかという、官位・官職の昇進のことも…。」


こんな感じで、受講者の方々と源氏物語について語り合うのは楽しく、学生時代にやっていた源氏物語の読書会の雰囲気を懐かしく思い出す。

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