夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

N・ヒル『仕事の流儀』(その23)

2013-03-27 22:31:42 | N・ヒル『仕事の流儀』
第19章には、ちょっと怖い話も出てくる。

Gin parties are very exciting. To some, they are very interesting. To all, they are destructive! If you have not the willpower to resist the temptation to join your friends in parties of this kind, you had better look for new friends whose habits will tempt you in a more profitable direction. These parties, so popular in this age, collect a heavy toll in two ways from all who indulge in them: Their victims pay in loss of efficiency, which means loss of earning capacity, and they pay sooner or later in loss of health.
Young people can, because of the endurance of youth, make tremendous inroads upon their vitality without apparent effects. There comes a time, however, when these debts against one's health must be paid. Nature attends to this! She keeps a set of books in which every item is recorded. Moreover, she forces the individual to become his or her own bookkeeper. The charges compiled through the indiscretions of youth are collected through the infirmities of old age.
(“How to sell your way through life”‘19 How to Budget Your Time’)

ジン・パーティー(辞書に出てこないが、カクテル・パーティーのようなものだろうか。小宴会の意味に理解しておく)は、とても刺激的なものだ。ある人にとっては、それらはとても面白いものだが、すべての人にとっては有害なものだ。あなたがもし、この種のパーティに友人と参加する誘惑に抵抗する意志の力がないなら、あなたをもっと有益な方向に引っ張ってくれる習慣を持つ、新しい友人を探しなさい。こうしたパーティーは若い年代にはありがちなものだけれども、それにふけるすべての者から、二つの方面で重い税金を徴収することになる。その虜になった者は、能率の損失、つまり稼ぐ能力の損失という対価を支払うことになり、彼らは遅かれ早かれ健康の損失という対価も支払うことになる。

 若い人は、若さという持ちこたえる力があるため、明らかな影響もなしに、自分の旺盛な生命力にものすごく害を与えることもやれる。しかしながら、時が来れば、それらのツケが回って健康を損なうという代償を支払わされる。自然の結果として、このことが生じるのである!自然は、(あなたが自分の健康に対して行った)全ての項目を記録した帳簿一式を保管しており、さらに、自分自身の帳簿の簿記係になるよう強制してくる。若い頃の無分別を通して積み上げられたツケの請求は、老年になっての疾患を通して回収される。

ヒル博士は、この後にある話を紹介している。かつての学友を病院に見舞いに行くよう頼まれたヒル博士は、そこに変わり果てた友人の姿を見る。彼はまだ老年になってもいないのに、若い頃の無茶がたたって中風を患い、脳に部分的な麻痺があって、いずれは精神障害になろうとしているというのだ。十代の頃から過度な飲食やセックスを重ね、八時間の気晴らしだけでは済まず、他の二つの八時間(睡眠と仕事)からも過剰に時間を引き出した結果、彼は健康を損なうだけでなく、経済的にも苦境に陥っていたという。

悲しいことだが、似たようなケースを、私は同じ業界の人で何人か見たことがある。やりがいのある職業に就いたはずなのに、まだ五十代で亡くなったり、あるいは破産してしまったりという人は、ほぼ例外なく酒かギャンブル(あるいはその両方)に依存した結果だった。ヒル博士が説いている効率的な時間配分を知っていれば、本人だけでなくご家族にとっても痛ましい、このような結果は防げたのではないかと思う。ヒル博士が挙げているのはやや極端な例と言うべきなのだろうが、職業を通じて社会に奉仕し、家族を養い、自己実現していこうとする人にとって、一日二十四時間しかない時間を、どう使うのがeffective(効率的)なのかは常に考えておかなければならない問題だ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。