夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

N・ヒル『仕事の流儀』(その22)

2013-03-24 21:57:02 | N・ヒル『仕事の流儀』
第19章の続き。

前回ヒル博士は、自分の働きを効果的に売り込みたいと思う人は、効率的な時間配分に従うべきだと主張していた。すなわち、一日二十四時間のうち、八時間を睡眠、八時間を仕事に正しく割り当て、残りの八時間を自分の再生のための時間に充てるべきだと。そして最後の八時間のうち、四時間はレクリエーションと健康、二時間は勉強と準備、二時間は他人の利益のために、無報酬で奉仕する時間に充てなさい、と説いていた。

The third eight-hour period holds the key to one's future because the manner in which it is used affects for weal or for woe the other two eight-hour periods. It is the period that requires the closest attention because the freedom it provides often serves as an invitation to indulge in the attractions being indulged in by others. We are all more or less the victims of habit.
The two eight-hour periods allotted to work and sleep by their very nature more or less force one to acquire sane habits. If a person chooses to steal time from the eight-hour sleep period, Nature steps in sooner or later and stops the practice temporarily by sending him to the hospital. If a person misappropriates a part of the eight-hour work period, the law of economic necessity in and calls a halt, as one must have food and clothing and a place to sleep.
(“How to sell your way through life”‘19 How to Budget Your Time’)


ヒル博士は、この最後の八時間が、その人の将来の成否の鍵を握っているという。なぜなら、その使われ方は、残りの二つの八時間の幸福、もしくは不幸に影響するからである。だから、我々はこの最後の八時間に最も周到な配慮をしなければならない。なぜなら、自由に使えるこの時間が、しばしば我々を甘やかす誘惑に引き込む招待状となるからである。我々はすべて、多かれ少なかれ、習慣の生け贄なのだ。
我々のまさに「自然」によって、労働と睡眠に割り当てられた二つの八時間は、多かれ少なかれ、個人に健全な習慣を獲得するよう強制してくれる。もし、八時間の睡眠から時間を盗もうとすれば、自然が遅かれ早かれ介入してきて、その人を病院送りにすることで、一時的に実行をやめさせようとしてくるだろう。八時間の労働の一部を悪用しようとすれば、経済的な必要性の原則が介入してきて、その人が持つべき衣食住のために中止を求めてくるだろう。

第三の八時間は結局、その人の使い方次第で、浪費される自由時間にもなりうるし、より大きな効果を生み出し、より多く稼ぐことのできる能力を養うための自由時間にもなりうる。だから、自分がこの八時間をどのような習慣で過ごしているか観察し、分析しなさいとヒル博士は言う。

この本が出版されたのは今から70年以上昔のことだが、ヒル博士が“an age of wasteful, destructive habits”(無駄の多い、破壊的な習慣の時代)と言っているのは、改善されるどころか、ますます拍車がかかっているように思われる。私自身も、これまで睡眠時間を削ってまで働いたり、勉強したり、適度な範囲を超えて趣味に時間を費やしたり、気張らししたりしていた。その一方で、純粋な興味や動機から勉強し、他人や社会のために働くのではなく、そうすることが自己目的化していたり、利己的な動機からそうしていたこともあったと思う。これからしばらくは、この第19章を熟読し、自分の習慣を見つめ直し、自分の時間の適切な配分ということを真面目に考えていく。

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
爽快感 (風の靴)
2013-03-26 11:55:02
こんにちは

数回に渡るヒル博士の「仕事の流儀」は毎回大変勉強になります。

ヒル博士の考察は大変鋭く、そして実に明解でございます(笑)

言ってみれば、これまで輪郭がぼやけて曖昧・・・
不明瞭でスッキリとしなかったものが・・・

突然鮮明にその実体が浮かび上がると言った様な・・・
そんな目の覚めるような・・・気分に包まれる。

「目から鱗・・・」状態でございます(笑)

「心地の良い生き方」へのヒントも数多く散りばめられておりますね

ちかさださんありがとうございました。(笑)
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