テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ あの昔日の、足跡、足音 ~

2023-09-05 22:05:41 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 さつまいもゥ! かぼちゃッ!」

「がるる!ぐるがるる!」(←訳:虎です!栗にリンゴ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 気温は夏のようですけれど、

 秋の味覚がお店に並び始めましたね。

 食欲の秋……いえ、やっぱりここは文化の秋ということにして、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

             ―― 蝶の墓標 ――

 

 

 著者は弥生小夜子(やよい・さよこ)さん、

 2023年5月に発行されました。

 『Le Tombeau du Papillon』と仏語題名が付されています。

 第30回鮎川哲也賞優秀賞を受賞した著者さんの

 受賞第一作、という記念すべき作品の幕が開くのは――

 

「ぽろろォ~んッ♪」

「ぐるっ?がるるぐるる?」(←訳:あれっ?着信のお報せ?)

 

 塾講師のお仕事をしている

 八木里花(やぎ・りか)さんは、

 混雑する電車を降りた後、

 スマートフォンの着信履歴に気付きました。

 

 それは見知らぬ電話番号で、

 伝言を聞いてみると、

 弁護士の大森(おおもり)と名乗る男性の声が

 こう告げます。

 

  ―― 相続のことでお話ししたいことがあります ――

 

「えッ? そうぞくゥ??」

「がる?」(←訳:はあ?)

 

 まさに、えっ?で、はあ?です。

 シングルマザーで、

 小学校二年生の洋平(ようへい)くんを育てている里花さん、

 既に父も母も、祖父母も亡くしています。

 

 間違い電話だろうか、

 別れた元夫に何かあったのだろうか、

 などと考えていると、

 再び電話が。

 

「まちはいィじゃないィ~でス!」

「ぐるるがる!」(←訳:本当に相続!)

 

 弁護士さんの事務所を訪ねた里花さんは、

 話を聞くうちに思い出しました。

 

 父が、私の母と結婚するより前に、

 別の女性と結婚していたこと。

 

 そして、先頃その女性――

 藤田由子(ふじた・よしこ)さんが

 73歳で病没したこと、

 亡くなる間際、

 財産を里花さんに遺贈するよう指示したことを

 弁護士さんたちから知らされます。

 

「ふううゥ! しんじィられないィ~…!」

「がるぐるがるる!」(←訳:でも事実なんだ!)

 

 多額の預貯金。

 晩年の由子さんが住んでいたマンション。

 都内の土地。

 

 財産の目録を手に里花さんは啞然愕然としますが、

 そこへ、さらなる驚きの一言が。

 

   相続されるにあたって、

   実は条件があります。

   それは……

 

   里花さんの異母姉・夏野(かや)さん。

   夏野さんのお墓を守り、

   彼女が亡くなった折りの事情を

   調べ直すこと。

 

「ふァ?」

「ぐるるゥ??」

 

 異母姉・夏野さんが亡くなったと耳にしたのは、

 もう20年以上も昔でしょうか。

 夏野さんの母・由子さんは、

 そこに“何か“があったと見ていた……?

 

 スクラップブック、卒業アルバム、日記など、

 記録をもとに過去への旅をする里花さんは、

 由子さんの遺志に応えられるのか。

 

 最後の1ページまで

 きりりとした緊張感に満ちた長編作品は、

 ミステリ好きな活字マニアさんに

 おすすめの一冊ですよ。

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

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