「こんにちわッ、テディちゃでス!
さつまいもゥ! かぼちゃッ!」
「がるる!ぐるがるる!」(←訳:虎です!栗にリンゴ!)
こんにちは、ネーさです。
気温は夏のようですけれど、
秋の味覚がお店に並び始めましたね。
食欲の秋……いえ、やっぱりここは文化の秋ということにして、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 蝶の墓標 ――
著者は弥生小夜子(やよい・さよこ)さん、
2023年5月に発行されました。
『Le Tombeau du Papillon』と仏語題名が付されています。
第30回鮎川哲也賞優秀賞を受賞した著者さんの
受賞第一作、という記念すべき作品の幕が開くのは――
「ぽろろォ~んッ♪」
「ぐるっ?がるるぐるる?」(←訳:あれっ?着信のお報せ?)
塾講師のお仕事をしている
八木里花(やぎ・りか)さんは、
混雑する電車を降りた後、
スマートフォンの着信履歴に気付きました。
それは見知らぬ電話番号で、
伝言を聞いてみると、
弁護士の大森(おおもり)と名乗る男性の声が
こう告げます。
―― 相続のことでお話ししたいことがあります ――
「えッ? そうぞくゥ??」
「がる?」(←訳:はあ?)
まさに、えっ?で、はあ?です。
シングルマザーで、
小学校二年生の洋平(ようへい)くんを育てている里花さん、
既に父も母も、祖父母も亡くしています。
間違い電話だろうか、
別れた元夫に何かあったのだろうか、
などと考えていると、
再び電話が。
「まちはいィじゃないィ~でス!」
「ぐるるがる!」(←訳:本当に相続!)
弁護士さんの事務所を訪ねた里花さんは、
話を聞くうちに思い出しました。
父が、私の母と結婚するより前に、
別の女性と結婚していたこと。
そして、先頃その女性――
藤田由子(ふじた・よしこ)さんが
73歳で病没したこと、
亡くなる間際、
財産を里花さんに遺贈するよう指示したことを
弁護士さんたちから知らされます。
「ふううゥ! しんじィられないィ~…!」
「がるぐるがるる!」(←訳:でも事実なんだ!)
多額の預貯金。
晩年の由子さんが住んでいたマンション。
都内の土地。
財産の目録を手に里花さんは啞然愕然としますが、
そこへ、さらなる驚きの一言が。
相続されるにあたって、
実は条件があります。
それは……
里花さんの異母姉・夏野(かや)さん。
夏野さんのお墓を守り、
彼女が亡くなった折りの事情を
調べ直すこと。
「ふァ?」
「ぐるるゥ??」
異母姉・夏野さんが亡くなったと耳にしたのは、
もう20年以上も昔でしょうか。
夏野さんの母・由子さんは、
そこに“何か“があったと見ていた……?
スクラップブック、卒業アルバム、日記など、
記録をもとに過去への旅をする里花さんは、
由子さんの遺志に応えられるのか。
最後の1ページまで
きりりとした緊張感に満ちた長編作品は、
ミステリ好きな活字マニアさんに
おすすめの一冊ですよ。
ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪
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