テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 《黒》は語る ~

2024-08-08 22:03:37 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 きょうはァ、すえひろがりィ~?」

「がるる!ぐるる!」(←訳:虎です!8に8!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 末広がりな今日8月8日は……『世界猫の日』。

 国際動物福祉基金(IFAW)が定めた『INTERNATIONAL CAT DAY』は、

 猫に安全な生活を提供することを誓う日、だそうですよ。

 世界中の全ニャンズの幸福を祈りながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― NOIR 色の物語 黒 ――

 

 

 著者はヘイリー・エドワーズ=デュジャルダンさん、

 原著は2020年に、画像の日本語版は2024年6月に発行されました。

 仏語原題は『NOIR - Des Grottes De Lascaux À Pierre Soulages』、

 『ラスコーの壁画からピエール・スーラ―ジュまで』

 と日本語副題が付されています。

 

 《アートにおける黒とは?》

 をテーマとするこの御本に収録されているのは、

 古今の画家さんたちが描いた

 ¨黒の絵画¨――

 ラスコーの壁に刻まれた黒の線、

 カラヴァッジョさんの¨絶望¨の黒、

 レンブラントさんの黒いドレス、

 ド・ラ・トゥールさんの温もりある黒、

 キース・へリングさんの黒……と、

 《黒色》が強い印象をもたらす作品たちです。

 

「むむゥ! おもたいィ~!」

「ぐっるるがるるる!」(←訳:ズッシリしてるね!)

 

 ええ、そうなんですよね、

 紹介されている作品の黒はどれも、

 使用されている画材のせいでしょうか、

 濃密な黒色、なんです。

 

 本文71ページには、

 17世紀の中国の山水画が掲載されていますが、

 これもけっこう墨の色が濃くて、

 私たち日本人がイメージする

 ¨濃淡自在¨な水墨画の幽玄世界とは

 ちょっと違うような。

 

 西欧のアーティストさんが常識とする黒と、

 日本の画家さんが基本にしてきた黒は、

 ずいぶん隔たりがあるんだなぁ、と

 寂しくなったりしました……。

 

 だってもう、

 ゴヤさんの『マドリード、1808年5月3日』の

 背景になっている夜空の、

 星ひとつないド深い闇色なんて

 日本美術にはない虚無の色に見えて。

 

「まだまだァ、ありまスゥ!」

「がるるる!」(←訳:西洋の黒!)

 

 ピカソさんの『ゲルニカ』(1937年制作)は、

 黒を支えるかのように

 グレーが多用されていて、

 意外なことに水墨画に近いものを感じます。

 

 ただ、『ゲルニカ』は保存状態が良くない、

 と聞いたことがあるので、

 ピカソさんが意図した絵の具の発色が

 どれほど保たれているのか、

 考えずにはいられません。

 完成当時の『ゲルニカ』は、

 もっと暗く、黒かったのか?

 それとも、コントラスト鮮やかな、

 黒と白の絵画だったのか?

 

「れきしてきィ~さくひんッ!」

「ぐるるがるぐる……」(←訳:悲劇の黒色だね……)

 

 オーギュスト・ルノアールさんいわく、

 『黒は色彩の女王である』。

 

 古代の黒と現代の黒、

 美術史を彩る黒の物語を、

 アート好きな活字マニアさんは、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね♪

  

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