「こんにちわッ、テディちゃでス!
じゃぱァ~~んッ、しょうりィ!」
「がるる!ぐるがるぅっるぅ!」(←訳:虎です!逆転しちゃったぁ!)
こんにちは、ネーさです。
バスケW杯のJAPANがスゴイことになって、
はあぁ……もう言葉もありません。
おめでとう!この勢いを次も!と心から願いつつ、
さあ、9月1回目の読書タイムは
こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 此の世の果ての殺人 ――
著者は荒木あかね(あらき・あかね)さん、
2022年8月に発行されました。
第68回江戸川乱歩賞を受賞した長編ミステリ作品です。
著者・荒木さんは福岡県のお生まれだそうですが、
そんな“故郷“の地を舞台に描かれるのは……
この世の終わり?
「いんせきがァ、くるのでスゥ!」
「ぐるるがるっるるるる!」(←訳:地球へ向かってるんだ!)
小惑星2021NQ2、通称『テロス』が発見されたのは、
1年と5ヶ月前。
そして、
『テロス』が地球に衝突するという事実が公表されたのは、
4ヶ月前、でした。
直径7.7キロメートルの物体が天から降ってきたら、
どうなるのかというと、
約6600万年前、白亜紀後期の大災害が思い起こされますね。
現在のメキシコ、ユカタン半島付近に衝突したのは、
直径10キロメートルほどの隕石であっただろうと
推測されています。
恐竜たちを絶滅させた大変動が、
今回も起きてしまう……?
「どどどッ、どうしようゥ??」
「がるるぐるる?」(←訳:どこに避難を?)
そもそも、避難は可能でしょうか。
頑丈なシェルターに逃げ込んで、
隕石衝突時の衝撃をかわしたとしても、
衝突の影響はその後も何十何百年も続く、と予想されています。
どこに逃げても、どんなに上手に身を隠しても、
安全で平和な未来など、人類には許されない――
「ええッ、それじゃァ??」
「ぐるるがるぐるる??」(←訳:人類は絶滅するの??)
誰の上にも、等しく降ってくる死。
しかも、衝突予想地点は、
日本の熊本県、阿蘇郡。
そうと知って、日本の、とりわけ九州の人々は、
パニック状態に陥ります。
ある者は他国へ逃亡し、
ある者は自死を選び、
と、瞬く間に都市や町村からヒトの姿は消え、
ゴーストタウンになってしまった
……はずなんですけれど。
「うッ? あそこにィ?」
「がるぐる!」(←訳:誰かいる!)
大宰府自動車学校の教習車に乗り、
ハンドルを握っているのは、
22歳の小春(こはる)さんことハルちゃん。
世界が滅びるっていうのに
自動車の実技教習?と驚かされますが、
それだけじゃありません。
朝方、教習車のトランクを開けたハルちゃんは
見つけてしまったのです。
遺体――ひとりの女性の、他殺体を。
「うわあああッ!」
「ぐるるぅ!」
ハルちゃんと、
自動車学校の教官・イサガワ先生は、
調査に取り掛かります。
この女性は何者なのか。
なぜ、ここに。
誰が、どんな理由があって彼女の生命を奪ったのか。
「こッ、こんなァときィでもッ?」
「がるる!」(←訳:捜査を!)
どこもかしこも無法地帯と化していて、
警察署もほぼ無人、
電気も水道も止まり、
法律も秩序もとうに形骸化していて、
通報や調査などしなくても
罪に問われることはなく。
それでも、ハルちゃんは、イサガワ先生は、
“知る“ために動き出します。
「なぜッ?」
「ぐるるる?」(←訳:どうして?)
小惑星が衝突するまで、あと2ヶ月。
すべてが終わりゆく《此の世の果て》へ、
歩み続けるハルちゃんのこころの裡(うち)は。
ディストピア物語とも、
SFに近いミステリ、とも受け取れる
大胆かつ精緻な物語は
エンタ作品好きな活字マニアさんに激おすすめですよ。
本屋さんで、図書館で、ぜひ、探してみてくださいね~♪