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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 幽玄のゴーストタウン ~

2023-09-01 22:08:13 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 じゃぱァ~~んッ、しょうりィ!」

「がるる!ぐるがるぅっるぅ!」(←訳:虎です!逆転しちゃったぁ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 バスケW杯のJAPANがスゴイことになって、

 はあぁ……もう言葉もありません。

 おめでとう!この勢いを次も!と心から願いつつ、

 さあ、9月1回目の読書タイムは

 こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 此の世の果ての殺人 ――

 

 

 著者は荒木あかね(あらき・あかね)さん、

 2022年8月に発行されました。

 第68回江戸川乱歩賞を受賞した長編ミステリ作品です。

 

 著者・荒木さんは福岡県のお生まれだそうですが、

 そんな“故郷“の地を舞台に描かれるのは……

 

 この世の終わり?

 

「いんせきがァ、くるのでスゥ!」

「ぐるるがるっるるるる!」(←訳:地球へ向かってるんだ!)

 

 小惑星2021NQ2、通称『テロス』が発見されたのは、

 1年と5ヶ月前。

 そして、

 『テロス』が地球に衝突するという事実が公表されたのは、

 4ヶ月前、でした。

 

 直径7.7キロメートルの物体が天から降ってきたら、

 どうなるのかというと、

 約6600万年前、白亜紀後期の大災害が思い起こされますね。

 現在のメキシコ、ユカタン半島付近に衝突したのは、

 直径10キロメートルほどの隕石であっただろうと

 推測されています。

 

 恐竜たちを絶滅させた大変動が、

 今回も起きてしまう……?

 

「どどどッ、どうしようゥ??」

「がるるぐるる?」(←訳:どこに避難を?)

 

 そもそも、避難は可能でしょうか。

 頑丈なシェルターに逃げ込んで、

 隕石衝突時の衝撃をかわしたとしても、

 衝突の影響はその後も何十何百年も続く、と予想されています。

 

 どこに逃げても、どんなに上手に身を隠しても、

 安全で平和な未来など、人類には許されない――

 

「ええッ、それじゃァ??」

「ぐるるがるぐるる??」(←訳:人類は絶滅するの??)

 

 誰の上にも、等しく降ってくる死。

 

 しかも、衝突予想地点は、

 日本の熊本県、阿蘇郡。

 

 そうと知って、日本の、とりわけ九州の人々は、

 パニック状態に陥ります。

 ある者は他国へ逃亡し、

 ある者は自死を選び、

 と、瞬く間に都市や町村からヒトの姿は消え、

 ゴーストタウンになってしまった

 ……はずなんですけれど。

 

「うッ? あそこにィ?」

「がるぐる!」(←訳:誰かいる!)

 

 大宰府自動車学校の教習車に乗り、

 ハンドルを握っているのは、

 22歳の小春(こはる)さんことハルちゃん。

 

 世界が滅びるっていうのに

 自動車の実技教習?と驚かされますが、

 それだけじゃありません。

 

 朝方、教習車のトランクを開けたハルちゃんは

 見つけてしまったのです。

 遺体――ひとりの女性の、他殺体を。

 

「うわあああッ!」

「ぐるるぅ!」

 

 ハルちゃんと、

 自動車学校の教官・イサガワ先生は、

 調査に取り掛かります。

 

 この女性は何者なのか。

 なぜ、ここに。

 誰が、どんな理由があって彼女の生命を奪ったのか。

 

「こッ、こんなァときィでもッ?」

「がるる!」(←訳:捜査を!)

 

 どこもかしこも無法地帯と化していて、

 警察署もほぼ無人、

 電気も水道も止まり、

 法律も秩序もとうに形骸化していて、

 通報や調査などしなくても

 罪に問われることはなく。

 

 それでも、ハルちゃんは、イサガワ先生は、

 “知る“ために動き出します。

 

「なぜッ?」

「ぐるるる?」(←訳:どうして?)

 

 小惑星が衝突するまで、あと2ヶ月。

 すべてが終わりゆく《此の世の果て》へ、

 歩み続けるハルちゃんのこころの裡(うち)は。

 

 ディストピア物語とも、

 SFに近いミステリ、とも受け取れる

 大胆かつ精緻な物語は

 エンタ作品好きな活字マニアさんに激おすすめですよ。

 本屋さんで、図書館で、ぜひ、探してみてくださいね~♪