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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 昔も今も、強く、儚く ~

2022-02-08 22:35:40 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 うむむむゥ! ぞくぞくゥ~しましたでスゥ!」

「がるる!ぐるっるる~!」(←訳:虎です!怖かったよ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 2月7日放送の『ミステリと言う勿れ』第5話、

 硬派なホラーミステリ的展開に戦慄いたしました……

 ならば、読書タイムは軟派で朗らかに!元気を回復!

 という訳で、

 本日はこちらの御本を、さあ、どうぞ~♪

  

 

 

     ―― 古典とケーキ ――

 

 

 著者は梶村啓二(かじむら・けいじ)さん、

 2021年12月に発行されました。

 『甘い再読 愉悦の読書案内』と副題が付されています。

 

「こてんとォ、けェーきィ?」

「ぐるがるるるる?」(←訳:どう結びつくの?)

 

 御本冒頭の『ことのはじまり』に於いて、

 著者・梶村さんは宣言します。

 

  《愛する古典と お茶と 焼き菓子さえあれば。

   あとはもう何もいらない》

 

 あ~分かるわ、それ!

 と大勢の活字マニアさんが頷くことでしょう。

 美味しいお菓子に、飲み物に、愛読書。

 これ以上ない完璧なトライアングル♪……ですが、

 では、梶村さんにとっての愛読書――

 古典作品とは?

 

「まずはァ、こちらッ!」

「がるぐ~る!」(←訳:漱石さ~ん!)

 

 先陣を切って登場する《古典》は、

 夏目漱石さんの『文鳥』(1908)。

 

 『こころ』『坊ちゃん』といった

 有名な長編に比べれば無名に近い、

 けれど梶村さんが最も好きな作品だという『文鳥』を、

 小さな鳥をめぐる狂おしい物語を、

 ゆっくり、丁寧に、

 ジャムをひと匙ずつ味わうように

 再読してゆけば……

 見えてくるものがある。

 

 分類不能。

 

 どんなジャンルにも整理できない、

 これは、そういう作品であると。

 自分にとっては

 恋愛小説の最高峰であると。

 

「あまくてェ~せつないィ?」

「ぐるるる!」(←訳:刹那の恋!)

 

 漱石さんは、ジャムが好き。

 いちごジャムに、お饅頭、羊羹も。

 胃病で入院したときは、

 病室にアイスクリームマシンを持ち込んだほど、

 甘いものが大好き、だったのでした。

 

 キッチンに立って、

 ジャムを煮ながら梶村さんは思います。

 

 漱石さんにとって、甘味とは――こころの避難所。

 

「……たぶんッ?」

「がるるるるぐっるる!」(←訳:ボクたちにとっても!)

 

 この御本には、

 シェイクスピアさんの『マクベス』とショートブレッド。

 近松門左衛門さんの『心中天の網島』とブランデーケーキ。

 ホメーロスさんの『オデュッセイア』とレモンドゥリズルケーキ。

 エミリー・ブロンテさんの『嵐が丘』とジンジャ―バーキン……

 と、12の《古典》と甘いお菓子をつなぐ文章が

 収録されています。

 

 私ネーさのおすすめは、

 菅原孝標女さんの『更級日記』とゆで小豆。

 

 “劇的なことは何も起こらない“

 と梶村さんが評する『更級日記』の、

 本当の顔、本当の姿とは……?

 

「これはァ、びッくりィでスよゥ!」

「ぐるがる!」(←訳:大胆かも!)

 

 《古典》の、しぶとさ、逞しさ。

 甘味の、儚さ、やわらかさ。

 

 軟派に見えて実は硬派な、

 全活字マニアさんに激推ししたい一冊です。

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪