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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 野を往く、《怖さ》 ~

2018-06-26 22:15:49 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ううゥ~むッ! けいかいィしなくちゃッ!」
「がるる!ぐるがる!」(←訳:虎です!水分水分!)

 こんにちは、ネーさです。
 昨日25日の暑さで早くも熱中症になりかけました……
 なので、今日は朝から積極的に水分補給しながらの、
 さあ、読書タイムを、どうぞ~♫
 
  



           ―― おいぬさま ――



 原作者は柳田国男さん、文は京極夏彦さん、絵は中野真典さん、
 2018年4月に発行されました。
 岩手県遠野出身の佐々木喜善が収集した民話を
 民俗学者・柳田国男さんが世に送り出した『遠野物語』――

 その『遠野物語』を、
 作家・京極夏彦さんが新たに語り起こし、
 現代の絵本作家さんが画を描くと……こうなりました!

「こッ、こここッ、これッ」
「ぐる~!」(←訳:怖い~!)

 まあ、そうですね、
 一応“怪談の原点”ということになっているのが、
 『遠野物語』です。

 絵本になっても、
 怖さは保証付き!とも申せましょうか。

 ただし、この作品の怖さは、
 幽霊や妖怪の怖さ、ではありません。

 ぼんやりして目に捉えにくい怪異とは正反対の、
 あまりにリアルすぎる恐怖。

 そんな怖さを運んでくるのは……

「おいぬさまッ??」
「がる!」(←訳:狼だ!)

    遠野のあたりの山野にはその昔、
    お犬様がたくさん棲んでいた。

    お犬様とは、狼のことである。

 という文章から幕を開ける物語は、
 佐々木喜善さん自身が体験したエピソードも
 下地になっているせいか、
 限りなくノンフィクションに近い……?

「だからァ、こわさもォ~…」
「ぐるるる!」(←訳:ひとしお!)

 学校から、家へ。
 帰宅途中の小学生が、
 通り道にある岩山を見やれば。

    何かがいた。

    よく見ると、
    岩山のあちこちにお犬様がうずくまっていた。

「ちッ、ちかいィ~!」
「がるるる!」(←訳:来ないで!)

 身を隠すのが上手なお犬様。

 見かけるだけならまだいいけれど、
 もしも、
 挑発などしようものなら。

「わわゥ! きけんでス!」
「ぐるるるがる!」(←訳:止めようそれ!)

 けれど、ある時。
 小友村(おともむら)に住む老人がやってしまいました。

 酒に酔い、
 上機嫌だった老人はふざけて、
 お犬様の遠吠えの真似をしてしまったのです。

 すると、たちまち。

「ひいいィ~!」
「がるっ!」(←訳:来たっ!)

 老人を襲った恐怖とは……?

 原作の36話~41話をベースにしていると思われる、
 京極さん版《絵本・遠野物語》シリーズ、
 この『おいぬさま』をはじめ、
 キレが良すぎて本当に怖い!
 でもオススメ!という、
 ややこしい作品が揃っています。
 ミステリ&サスペンス好きさんも、
 歴史モノがお好きな活字マニアさんも、
 どうかぜひ、一読を♪