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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

真昼の星の、ランデヴー。

2011-05-23 22:55:16 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 きゃーっ、寒い!

「こんにちわッ、テディちゃでス! さむッ!」
「がるる!ぐるっ!」(←訳:虎です!寒っ!)

 ツバメさんたちも南に帰りたくなっちゃう寒~い週明けになりましたが、
 さあ、めげずに読書タイム!
 本日は、こちらを、どうぞ~!

  


 
             ―― おしまいのデート ――


 
 著者は瀬尾まいこ さん、2011年1月に発行されました。
 『図書館の神様』『天国はまだ遠く』『優しい音楽』、
 そして活字マニアさんにはよく知られる『幸福な食卓』の人気作家・瀬尾さんの、
 最新短篇集がこの御本、ですね。

「でーとォ??」
「ぐるがるぐるぐるがるぅ?」(←訳:じゃあこれは恋愛小説ぅ~?)
「でもォ、ひょうしィはァ……」
「がる?」(←訳:天丼?)

 天丼はちょっと脇に置いておきましょう、天丼は。

 えへん、表題作品『おしまいのデート』は
 表紙をめくってすぐ、
 冒頭に収録されています。

 主人公にして、語り手さんでもあるのは、
 彗子(すいこ)ちゃん。
 中学生で、そろそろ本格的に受験勉強に取り組まなければならない年頃、
 なのですが……
 今日も、彗子ちゃん、
 待ち合わせ場所の公園へ急ぎます。
 
「わおッ♪ でーとォ、でスかッ♪」
「ぐるがるぐるるがるる?」(←訳:受験勉強しなくていいの?)

 彗子ちゃんの《デート》は、
 親御さんも公認の《デート》なのです。
 約束の時間にいつも遅れ気味にやって来る、
 彗子ちゃんの待ち合わせ相手さん、とは……

「だれだれッ?」
「がるぐる?」(←訳:何者なの?)

 ミステリ作品ではないのですが、
 種明かしは控えることにいたしましょう。
 彗子ちゃんのデート――
 そう、題名にはデートとあり、
 文中でもデートと記されているのですが、
 読んでいて、ふっと想ったのは、
 デートではなく、
 ランデヴーという言葉でした。

 待ち合わせ、会合、出会う、逢引き、デート、
 などの意味を持つフランス語ですが、
 宇宙船の軌道が接近する・交錯する、といった意味合いもあります。

 彗星の彗を名にいただく、
 少女・彗子ちゃんのデート=ランデヴー……
 それは宇宙にたったひとつの、
 交差する光の軌跡、なのかもしれません。

「すてきなァ、でーとにィ、なるといいねッ♪」
「ぐるがるがるがる!」(←訳:彗子ちゃん幸運を!)

 天丼が登場するのは
 『ランクアップ丼』。
 『おしまいのデート』と対を成すかのような
 『デートまでの長い道のり』。

 はるか上空を横切りながら地上を見守る人工衛星が、
 ほんの一瞬、
 地上の営みをとらえた五つの記録……
 いえ、
 優しく、ほろ甘い5編のものがたり。

 すべての活字マニアさんに、おすすめです!

「ながれぼしィ、かもんッ!」
「がるるるるがるぐる!」(←訳:願い事を唱えよう!)