なちゅらる Hi !

かっぱの心をうるおす、山・川・岩・海などの小さな自然。主に北海道の話。

頭ならびに腹 2days

2024-09-30 | 
ルート名をそのままタイトルに使うのは、初めてな気がする。
同行者と2日ツアーで、記憶に残る名ルートを2人で順番にRPできた。

かっぱは、この日1発RPを決めていた。
ウオーミングアップなしで登り始めることが多い。
そして、ワクワク感を抑えられずに落ちることが多い。
だからこの日は、落ち着いて行動するために、きちんとウオーミングアップをする。

ウオーミングアップは、なぜか「らぶ衛門」10a。
少し大きめのクラックは好きだが、リードすると怖い。
しかも、2人ともカムの4番とか5番とか持っていないので、小さい番数で工夫して登る。
それがまた、怖い。

「頭ならびに腹」の取り付きに行くと、若者が取り付いていた。
懸垂でヌン掛けしようと思っていたので、ありがたく借りる。
6月からで5回目のトライ。
前回でムーブは固まっている。
ボルト3本目からは全て不安要素がある。
しかし、どのボルトからも動く前にレストできるようになっている。
各駅レストでしっかりホールドを見定め、迷いなく進んだ。
心の余裕はないのに、力的には余裕がある、という珍しい状態。
時間をかけてRP。
嬉しい一本だ。

その後、すぐ隣の「妊娠3か月」5.9を登り終えた頃、若者が戻ってきた。
彼は、恐らく2便目での「頭ならびに腹」RP。
若さに感激で、喜びに包まれる。

同行KGさんは夕方まで粘るが、この日は登れず。
幸せなテン場で、星空に包まれて翌日の晴天祈願を願う。

祈願が効いて、快適な秋晴れ。
木漏れ日が祝福してくれている。

2日目のウオーミングアップは「蛍」5.10。
優しいクラックと微妙なマントル返しがおもしろい。
これは2番までのカムで対応できる。

そして、KGさんの「頭ならびに腹」トライ。
クラック帯を抜けて、ボルトの始まりからかなりきつい様子。
いつ落ちてもおかしくなさそうなのに、粘り、落ちない。
剝がされるのを必死で抑えているのが、体全体から伝わる。
緊張のビレイは核心を越えても続いた。
そして完全に上に抜けきった。

「頭ならびに腹」は、手持ちのトポでは11dとなっている。
が、ロック&スノー59号での北海道ベスト10ルートでは12a表記となっている。
経緯は分からないが、自分たちの価値は十分12だった。

さて、2日間のクールダウン。
朝、「蛍」をやったときに、となりにあったワイドクラックが気になった。
上の登山道を歩いている時に、終了点を見付けておいた。
そして、何とかTRをかけた。
試登してみる。

チムニーサイズは支点が取れない。
だから、TRで終わろうと思ったが、登ると奥にエイリアンサイズが決まる箇所を発見した。
さらに上部の水平クラックに3番が決まると判明。
3つ取れれば何とかなると思い、リードにチャレンジ。
エイリアンから3番までの間はランナウトだが、時々足がべったり置ける棚があるので、落ちない。
とても、楽しく抜けれた。
後で「如意棒」というルートだと分かった。
聞けば、上部の3番のみで登る設定らしい。
エイリアンが決まる箇所が見つかったおかげで、情報なしで安心登攀ができた。

フェースからワイドまで楽しめた2日間。
両日ともよい秋晴れに恵まれた。
月曜休みだったで日月のお話。

名寄で宴会

2024-09-23 | 
大先輩S田さんと、タッシー&INさんとの宴会を名寄で設定。
ついでに、見晴岩で登るという贅沢企画。

寒いからテント内で飲むために久々登場ヨーレイカサンドームテント。
4人で煮炊きしながら、ゆったり飲んだ。

その日中は、S田さんにTRで遊んでもらうために、今まで見ていなかった簡単ルートの一撃通過遊び。
「ゲゲゲのクラック」を登ってもらうために「もう我慢できない」を登った。
ゲゲゲは楽しいが、もう…は、難解ルートだった。

「アスパ・ラブ」が楽しい。
登り心地のよい好ルート。

グレードが高いのはやらないと言っていたS田さんであったが、「私が好きだ」は、昔の思い出があるらしく、その気になってくれたのでついでに落とす。
「フェミニスト」は、見ただけでやっていなかったので、どさくさに紛れて落とす。
この日はこれでおしまい。

11時まで飲んで、翌日は9時過ぎからクライミング。
朝一番で前日混んでた「ロバの耳」

これはそんなに楽しくないな…。

S田さんは、「もうやらない。」というので、体いじめdayとして頑張ることにする。
なので、「サンピラー」。
前日からSNさんが粘っていたのでヌンチャクあり。
またもや核心部で力尽きるが、先週と違い、核心処理のヒントを得たことと、最後の2ピン分はノーテンで抜けたことに満足感。

そしてお散歩タイムに突入。
見晴山ピークへ向かう。
岩々しくてよいピーク。
「紙風船」の上がピークなのね。

「紫頭巾ちゃん」が、とても気になったが、タッシーがやっていた「山田のタマル」がとても気になり、やることにする。

写真のクライマーはタッシー。
この登りをじっと見ていたので、核心処理はなんとかなり、一発通過。
このルートはおもしろい。
★がついていなくてよくわからないルート名の課題だが、気に入った。
傾斜バラエティーが多い好ルートだと思う。
そのまま立て続けに「森のカバさん」をやる。

東京から来ていたお2人がいて、2日続けて2人とも「アンジェラ」をRPした。

よく北海道までクライミングに来られるらしい。
うれしい限り。

酒はうまいし、クライミングは楽しいし、人の笑顔に包まれるし…で、素敵な2日間。

12というグレードを考えるために…

2024-09-16 | 
グレードは、ムーブを対象としているのか、持久力耐性か、それとも怖さを乗り越える心へのメッセージか、いや、その全てか…、
などと、無責任に考えを巡らせるのが楽しい。
そこで、なかなか見かけない12aというグレードが定着している「ヘルフィンガー」をやりに、旭川奥立岩に行く。
前日から朝方まで残った雨の影響か、水滴が滴る奥立岩であったが、「ヘルフィンガー」のみ影響が少ない。
とはいえ、いきなり12クラスに取り付くと最近ろくなことがないので、多少滴りはあっても、軽いグレードでアップする。
「フロンティアスピリッツ」5.9。
終了点近くまでは、楽しく登った。
しかし、終了間際はかなりの濡れ&滴り。
ヌルっといかないように探っているうちに、シャツもズボンも滴り濡れ。

「もう少し待ちますか。」
ということで、のんびりしていると上空から気配が…。
エゾリスが食事をしながら、こちらを見つめていた。
どうやら、食べ物めあてだったらしく、この後岩に取り付いているときに、車近くをウロウロしていた。

さて、本題の「ヘルフィンガー」。
短い中にムーブは多彩。
核心部分は粘っても解決できず。
苦手なアンダーからのカチ取り、その途中でサイドうまく使うのか…、しばし頑張るが解決できずTR練習に逃げる。
同行KGさんも解決ならず。
短い12aの、ムーブとパワーの両立に打ちのめされた。

最後に成果を求めて「銀盤」10cをOS。
これは素直に10cだな、と感じた。

2人で登っているので疲労が早い。
街の銭湯によって、テン場へ向かう。
何とも風情のある蛇行した穏やかな川のそばでテント泊。
焼き鳥とアヒージョで舌鼓。

朝、起きるとガスか小雨かわからないような天気。
外で調理できず、テント内と車下でのんびり朝食をとり、この日は名寄見晴らし岩へ向かう。

KGさんは初めての見晴岩。
混んでくる前に有名どころを抑えたいと、「モグラの穴」11aを順番にこなす。
この時から、後ろに見える「サンピラー」12b/cの壮麗さが頭から離れない。

KGさんは「アンジェラ」11cを始める。

2人で登った小樽赤岩「フリーランサー」11a/bの方が難しく感じる、と主張するかっぱに、半信半疑のKGさん。
3便目には、力を振り絞った登りでRP。

かっぱは合間に「サンピラー」初挑戦。
ガバの連続で楽しいが、核心部分だけの指先ムーブに難儀。
抜けたには抜けたが、解決したとは言い切れず。
その核心で力を奪われてしまい、その後は各駅停車×2ぐらいで何とかトップアウト。
「これが12だよ。」と、ここでも気持ちよく打ちのめされた。

ヘロヘロになってもスラブはできると思い、何かと話題の多い「恐竜戦車」10c/d。
行きつ戻りつを繰り返したが、何とかOS。
これは一筋縄ではいかない名ルートです。
とても満足。

あちらこちらで、RPやFSを称えあう声が響く1日。
それぞれの満足が、青空にはじけていた。

クラックとフェイスを楽しめる好ルート

2024-09-08 | 
タイトルは「頭ならびに腹」のこと。
1989年初登の名ルート。
今期取組を始め、3日目。
ムーブは大体ばらし終わっているので、RP気分満載でやってきた。
アプローチに漂う秋の気配を感じながら集ったのは4人。
クラックと「頭ならびに腹」を堪能したい方ばかり。
そんな仲間がタイミングよく揃うのが本当にありがたい。

懸垂でヌン掛けする。
小さいホールドに遠目のピン間隔なので、マスターで取り付く気にならない。
フィストサイズのクラックを6m程度登ってからフェイスに入る。
フェイス部分のピンは5本しかない。
下部クラックにキャメロット2番、3番と、上部に安心のためのカムを一つ決める。

すぐ隣に「妊娠3か月」というクラックラインがある。
Fくんがリードする。
まだクラック慣れしていないというFくんだが、時間をかけてRP。
秋の青空に喜びが満ちあふれる。

「頭ならびに腹」1便目。
落ちたことのないクラック部分でのうっかりテンション。
脳内に暗雲が立ち込める。
それでも、一度も通して行けていない上部核心までノーテンで行った。
だから、RPする気で登ったが、核心ムーブに戸惑いフォール。
下りてしばらく呼吸を整えるだけの時間を過ごすくらい、全精力を傾けた。

KGさんがTRで初石垣山を楽しむ。
ルートは「ナルコレプシー」
ジャム決めに戸惑いつつもトップアウト。
修正力と対応力はさすがだ。

かっぱも楽しみたかったが、「頭ならびに腹」に向き合うために我慢。
2便目、今度は核心の一つ前で落ちる。

向き不向きで言えば、自分に向いていると思う。
最近不意落ちはしていないので、不意落ちさせられるこのルートに親しみを感じ、ゆっくり向き合う覚悟を決める。

集ったみなさんも、みな「頭ならびに腹」を触った。
ONさんはTRで3トライ。
一人でルートに向き合うのも楽しいが、数人で具体的な話ができるのも楽しい。

青空も三日月もとてもきれいな初秋の1日。

セバチバナの使い方

2024-09-01 | 
今夏は、日本語と英語が標準語と化したセバチバナ。

国際的なばかりではなく、クライミング素養を高めるのに重要な要素を多々含んでいることが明らかになりつつある。
その秘密を、隠された名ルートとともに紹介していく。

「ビックママ」11b。
ガバをつなぎカンテ沿いを右上していく好ルート。
傾斜の強いガバ地帯で、パワーを出し尽くさないための小さなムーブの工夫を試される。
攻略のカギは持久力向上なのか、ガバの捉え方なのか、足運びなのか…。
きっと、あなたの課題を明らかにしてくれるはず!

「トビー」11c。
この岩場では11cにしないと辻褄が合わないので、敢えてきっぱり。
「ビックママ」とスタートを共通にするものの、まったく違うムーブセンスと力の保持を試される一品。
自力でムーブを解決できるあなたには、ムーブセンスとランナウト耐久力が、既に次のステップに進んでいる、という自信を与えてくれるはず!

閑話休題。
夏に快適なこの場所は、好事家クライマーと西洋の大らかさに包まれて、フリーな雰囲気を醸している。
誰も聞いていないセッションを楽しみ、(誰も聞いていないので、だれもうるさいとは言わない…)
飯を炊いて、眺めのよいランチを楽しむことが可能だ。

話をルートに戻そう。
見栄えがいいラインと言えば、このルート。
「Knockin' on heaven's door」12a。
眺めもホールドも素直で気持ちがいい痛快ライン。
ランナウトを感じる垂壁を効きのいいカチでこなし、ハング帯で明確な核心をダイナミックに処理して越えるこのラインは、見る者を惹きつける。


最後は、「陽水3部作」から「ありがとう」12a。
第一部は、傾斜はあるが、ダイナミックにはなかなか処理しにくいパート。
第二部は、垂壁をランナウトに耐えつつ「次のカチは止まるはず。」と信じて越えるパート。
第三部は、「陽水3部作」共通の最終核心。
深いハングからガバを強気で攻め、上部に乗り込んでから恐る恐る最終クリップホールドへ進んでいく玄人向けのパート。
多彩な内容はチャレンジャーの力を確実に高めるはず!

どれもこれも楽にこなすためには、巧みな足さばきが要求される。
加えてセバチ特有のぬめり、じゃりじゃり、すなすな、ボロボロなどの要素が、自然のスポーツであることを再認識させてくれる。

持久力や足さばき、そしてハートを鍛えるため、夏の暑さを少しでも逃れるため、英語やスペイン語を使ってみたい…などなど、多様な使い方が考えられるセバチバナ。

夏はセバチが待っています!