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チャイ・コレクション








夏の終わりに出かけたエーゲ海の旅では、トルコ沿岸でも多くの時間を過ごした。

トルコ料理は大好き。
そしてわたしが朝から晩まで飲むのがチャイ、猫舌には飲めないくらい熱々の砂糖抜きのチャイ。
昼間の気温30度越えの中で熱々の飲み物をいただくのは乙なものなのだ。

真面目な顔をしたトルコ人のウエイター氏に「トルコ風のチャイをください!」と言うと、誰もが破顔する。
トルコ人は1日何杯くらい飲むんだろう...(話によると男性で20杯、30杯とか)

お店で買い物をすると魔法のようにどこからともなく出てきたりする。
ホテル、アマンユラではハーブの入ったアイスのチャイを出してくれた。


80年代にトルコに旅行したとき、人に出会うたびに出てくる茶の習慣に感動して、イスタンブールのエジプシャン・バザールかグラン・バザールか忘れてしまったが、迷わずチャイのセットを購入した。お盆の周辺ずらりとチャイグラスが載っているやつ。

その後、わたしは中東へ遊学し、ベドウィンが多く住んでいるエリアで、施設に電話をかけにきているベドウィン少女2人に出会った。
彼女らにお茶を飲みに来るよう誘われて砂漠の先へ行った。
その素敵な話を大人にしたら「それはいい経験をしたね。でも2度目は絶対に行くな。襲いに来たと思われるから」と言われた。
ベドウィンは異邦人にとても友好的で手厚くもてなすが、2度目の訪問は、1度目の訪問で家財をチェックして襲いに来たと考えるのだ、と。本当かどうかは分からない。昔はそういう習慣があったのかもしれない。現代ではベドウィンの習慣も変わってしまっているだろう。われわれはしばしば、異民族の習慣を奇矯で、しかもそれが不変であると思いがちなのだ。

わたしはまたおいでと言われていたのに行けなくなり、スティングの歌ったTea in the Sahara「砂漠でお茶を」(ボウルズの「シェルタリング・スカイ」の挿入話から)をひたすら思ったのだった。



トルコで喫茶の習慣が広まったのは意外や意外に新しく、オスマントルコが崩壊してコーヒーが高価な輸入品になって以来、20世紀になってからのことだそうだ。トルコのチャイの使用される茶葉はトルコ国内で産するとか。
エジプトのチャイや、モロッコのミントティーなどの歴史も調べたらおもしろいかも...

角山栄著「茶の世界史」というとても面白い本がある。ヨーロッパの近代は茶の生産と流通によってはじまったという、世界システム論でも扱えそうな内容。
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