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甘い小包




偶然同じ日にベルギーと日本の祖父母から孫の娘宛に甘い甘い小包が届いた。

ブルージュからはルーのビスケットなど。ブルージュ時代はルーなぞ意識したこともなかったが、今英国で平凡な甘さと歯にべっとりくっつく食感をしみじみ楽しむ。

他にはペイパー・クック(仏/パン・デピス、スパイスの強くきいたカステラを固くしたようなぼそぼそしたケーキ)、スペキュロース(シナモン味のビスケット)のペースト、ハリボウのキャンディ(ドイツ)、ブルージュ・ビスキュイ(これは旨い。ラスク)、ココア、そしてもちろんプラリネ...
このラインナップはベルギー土産のご参考になると思う。


神戸からはお雛様のお菓子。ひなあられ各種、菱餅、落雁、金平糖、飴細工、おまんじゅう...
お下がり、はやく頂戴したい。



外国から小包が届くと、心が躍る。

わたしが子供の頃は、一時期船医として世界中を旅していた大叔父が喜望峰やマルセイユから送ってくる小包や、駐在生活をしていた叔父叔母の家族がカナダから送ってくれる小包に毎度毎度狂喜乱舞していた。

厚紙の箱の上の乱暴に貼られた美しい切手、かすれた消印、アルファベットの宛名書き、麻のひも。箱を開けると外国の匂いがした。キャンディの包装紙まで大切にとっておいた。
外国は、今よりももっともっと遠く、「あたくしはね、そう思いますのよ」という兼高かおるさんのイントネーションを真似してごっご遊びに励んだ(笑)。

甘い思い出。

(ご質問を受けて。左上のスペキュロースのペーストはスーパーで買える類いのベルギー土産におすすめです。重いのが難ですが。)
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フローラが春を







フローラが春を連れて来た。

15、6本で1ポンドの水仙を夫が10束も買って来
(全部つぼみで「ネギ」みたいに細いので、
数はせめてそのくらい必要じゃないかと思ったらしい。
毎年見ているくせに...)、

堅いつぼみがあれよあれよと開いてゆくのがあまりにも派手で
花びらが解く音がばりばりと聞こえるかと思うほどだった。

家中あちこちが黄色、ナルキソスで満開。

おごりの春の美しきかな。
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薔薇色の街、神の国






murt 'n akush



年賀状のボツ写真。

と言うのは、ここを訪れたのがすでに年始で、思いつきで薔薇色の写真群を組み合わせた時はすでに松の内を過ぎていたのです...
今見るとそれほどいい写真でもなく、かえってよかったもしれない(かわりに家族写真を使った)。

去年9月ホテルを去り際に、年末年始にもう一度と予約しておいたのは、われながら要領がよかったと誉めてやりたい。

...


ジョージ・オーウェルが20世紀の初めにこう書いた「マラケシュ」。

”As the corpse went pass the flies left the restaurant table in a cloud and rushed after it, but they came back a few minutes later. 
レストランのテーブルにたかっていた蝿が、行き過ぎる葬列の方へ一団となって飛んで行った。しかし、奴らはすぐに戻って来た”

今でこそレストランで蝿は見ないが、蝿のたかる旧市街の路地は少なくない。


”It is only because of this that the starved countries of Asia and Africa are accepted as tourist resorts. No one would think of running cheap trips to the Distressed Areas. But where the human beings have brown skins their poverty is simply not noticed. What does Morocco mean to a Frenchman? An orange-grove or a job in government service. Or to an Englishman? Camels, castles, palm-trees, Foreign Legionnaires, brass trays and bandits. One could probably live here for years without noticing that for nine-tenths of the people the reality of life is an endless, back-breaking struggle to wring a little food out of an eroded soil."

...アジアやアフリカのような飢える国は「飢える国」としてではなく、「ツーリスト・リゾート」ととして受け入れられているからだ。誰も困窮した地域で格安旅行をしているなどとは思ってはいないのだ。茶色の肌をした人間の国では、貧困は完全に忘れられてしまう。フランス人にとってのモロッコとは何だ? オレンジの木立や政府の仕事。英国人にとっては? らくだ、椰子の木、仏外国人部隊、真鍮製のトレイや盗賊。痩せた土地からわずかな食料を奪い取るために、9割方の人々が終わりのない骨の折れる苦闘を続けなければならないことを、ツーリストは何年も気づかず暮らすことだってできるだろう” (訳はモエ)


「優雅で成熟した英国」(フィガロ・ジャポンの旅行特集や英国ミステリや、オースティン姉妹やら)で焚き付けられ、英国旅へといざなわれている人々の話を聞いて、「ピーターラビットで有名な湖水地方の近隣には住人9割がアル中か薬中かシングルマザーで生活保護を受けている街がある」とか、「階層と階層の間にハシゴのない社会で、自分が下の階級に生まれることを想定できないのはなぜ」などと鼻息が荒くなったりするのだが、なに、わたしだってモロッコが、ドバイが、アブダビが、エキゾティックだ、ロマンティックだ、文化が、伝説が、詩が、食が素晴らしいと賞賛している。
人間は片目をつむった状態でないと旅行すらできないのかもしれない。

だからこそオーウェルのような(遠く及ばないにしても)クールな目を常に持っていたい...


「クールな目を持っていたい」というのすら、「反省はもう済ませたからいいよね」という意味合いがあって、なんとなくいやだなあ。
「子供が飢えているのはもう分かったから、今日は食べ放題に行こう」みたいな感じで。
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ネットで買い物、騙されたら?




わたしはオンラインでためらいなくどんどん買い物するタイプだ。

初めてオンラインで買い物をしたのは、ごく初期のneiman marcusのサイトでだった。
その後、ebayで生半可なドイツ語を駆使してデッドストック品を手に入れたこともある。net-a-porterは黎明期からずっと愛用している。Etsyで個人から手作り品を買うこともあれば、amazonは地元の商店を応援するためにできるだけ使いたくないとは思いながらも、やはり定期的に利用せずにいられない。楽天は画面がうるさいが、日本から送ってもらう日用品等を探すには便利だ。

このような大手だけでなく、家内工業状態の小さな企業や、外国の聞いたこともないような街角にある小さなブティックも利用する。
完売してしまった洋服を探し、絶版になった本を求め、工芸品をカスタマイズしてもらい、どこにいつどんな出会いが突然巡ってくるか、その可能性を検索するだけでも楽しい。

石橋を叩いて渡るって、どういう意味?
買い物で逡巡/後悔しない

そういうわたしの性格は、オンライン・ショッピングをするのに合っているのだと思う。
まあ、浅はかで思慮に乏しいという意味なんですが。

このようにオンライン・ショッピングはわたしの生活の一部、かつお楽しみになっている。
そして今まで、最大手から個人のお店まで、インドからイスラエルまで、様々な店を利用したが、支払いや品物や返品でトラブルになったことは一度もなかったのだ。


しかし。
もちろん今日はオンライン・ショッピングの落とし穴の話だ。
落とし穴はネット上にぼこぼこ空いているのだ。


わたしにしては珍しく購入が先延ばしになっている品物Aがあった。
ずっと欲しいものリストの上の方に入っていたのだが、なんとなくためらいがあった。そのモデルは数年前のモデルで、本店ではすでに買うことができず、時々ebayに出てくるのをチェックしたり、専門店に在庫復活しているのに気がついたり、という具合で一年近くが経過した。

先日、イタリアの皿を急ぎで8枚追加注文しなくてはならなくなった。
いつもの店がずいぶんおまけしてくれ予算よりもかなり安く上がったので、その差額で品物Aを買うかという考えが、アイロン掛け中のわたしの頭にふと浮かんだ。

Aでブックマークをしてあったお店では在庫が再びゼロになっている。
検索してみたら、別の馴染みのある在英店で在庫ありと出て来た。気が変わる前に、在庫がなくなる前に、急いで注文。


ええ、もうお分かりですね。
カード決済完了時に一瞬中国語、次にまた一瞬ハングルの画面が出て来て「やられた」と思った時はもう遅かった。

少しよく見たら、その店は、馴染みの在英の店と店名と画面デザインは同じでも全く違うURIだとすぐに気づいた。そこを見落としたのは自分でも不思議だ。なぜだろう。分からない。人のわずか一瞬の判断力を惑わすこういうタイミングを「魔が差す」と言うのか。


中国の店を見たら泥棒と思えと言うつもりはない。メールをしてもなしのつぶて、電話も通じず、品物を送って来ず、送って来てもあきらかな偽物、返品にも返金にも応じないことが多いと言うつもりもない。
事実、香港の Lane Crawford のセールには何度もお世話になっている。

しかし、結果から言えば、「やられた」と感じた通り、わたしはその中国の店(店名も画面も英国の店を装っている)に騙された。


以下、役に立つかどうかは分からないが、解決のためにわたしが取った方法。
結果15日後に銀行が全額(日本円で約2万円)を補償してくれた。

まず、オーダーをキャンセルしたい旨をメールで店側に伝えた(電話は常に話し中だった)。その間、銀行に電話して事情を話し、デビットカードでのこの支払いをペンディングするよう連絡。しかしすでに引き落としは執行されていた。店側から「すでに送りましたのでキャンセルはできません」という返事。オーダーを入れてからここまででたぶん15分も経っていない。まだコンファメーションも届いていない時点。これが先方から即返事が来た唯一のメールだった。

銀行には改めてこのサイトが怪しいと思う諸々の理由を伝える(わたしが好きなのは http://www.scamadviser.com/check-website 。店のアドレスを入れるだけでその店の信頼度を教えてくれる。過信は禁物、又質の良いプラットホームを借りているだけの悪質店もあるので要注意)。

銀行側は15日経過後でないとアクションを起こせない(相手が正直者の可能性がまだあるから)とのこと。

「送ったのは送ったけど、EMSが休暇中(!)で2週間後にしか追跡ナンバーを渡せない」から始まり、意味不明の言い訳を続ける不誠実な相手に返事が来るまでしつこくメールを送り続け、内容ゼロの返信が返ってくるや、矛盾を突っ込み、被害届を出すがよろしいかと書き、とにかく解決のために自分でも努力をしたという実績を作った。
かなり責めたので、「もしロンドンの中華マフィアがうちに攻めて来たらどうしよう...」とまで妄想(笑)。

15日が経過し、銀行に再び報告。
銀行からは「最近、クレームのメールをしたのはいつか」「どの頻度でクレームしたか」「最後に相手から返信が来たのはいつか」などと質問を受ける。相手側に返金の意思があるか等確認のため、結果が出るまでさらに15日間かかると言う。
にもかかわらず手数料も含め、同日全額が振り込まれた。よい授業料になったとあきらめる覚悟ができていたのでかなり驚いた。
万が一、品物が届いた場合は銀行の物になるのではないかと確認したら「保管しておいて下さい」とのこと。
書類の記入やメールの提出の必要もなく、あまりにもあっさりしていたので、銀行は怪しい店のチェック機能を持っているのではないかと思うのだがどうだろう。


カードでの支払いにもペイパルでの支払いにも補償がある。現金での支払いの場合は被害届を出すしかないだろうが。
オンラインで買い物する前には信用度の確認、問い合わせにすぐ返事が来るか、電話が通じるか等チェックは必須だが、誰にでも魔が差すことはある。騙されたと感じ、怪しいと思う場合はとにかく迷わずあきらめず銀行(カード会社)に連絡すべきだ、というのがわたしの得た教訓。2度とこの教訓の世話になりたくないが。

騙して偽物を売りつけたり、はなから品物を送ってくる気がないようなサイトがすぐになくなることはないだろうし、警察も動いてはくれないだろうが、報告が溜れば銀行やカード会社はどうにかするはず...


楽しいオンライン・ショッピングを!
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書き割りの女




ロンドンはファッション・ウィーク開催中。

ファッション関係者でもセレブリティでもないので、端のほうで小さくなって見せてもらう。



雨上がりの街、ふと見上げると、ファサード(建物正面)だけ残して解体された建物が...(ファサードを残した建物の解体については「書き割りの街」で)

わたしみたい。

ショウのデザイナーの服だけ着て(馬子にも衣装)見かけ倒しだから...
いや、見かけ倒しですらないかな。
わたしはファサードすらも単なる書き割りなのだ。
だからもちろんそのうしろに内容はない。

せめて、あの会場にたくさんおられた、ファサードだけでも超絶豪華な女になってみたかった。
欲を言えばもちろん外見内容充実両方充実した女。マリア・カラスのような。

まあ何回生まれ変わっても無理でしょう。


綺麗なものを見て活力が湧いてくるはずだったのに、反対の極の方に針がふれたまま戻らなくなってしまった。
こういう日もありますわな。

それでも生き延びるのだ。
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