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湘南「昭和」ツアー



ボケていても気に入っています、この写真...!



湘南...

地元の方はやれやれと思われるかもしれないが、この名詞ほど想像をかき立てる遥かなる地名もあまりない。

明治の頃から文豪が東京からちょっと出かけて来てはこの辺りを散歩した。

まだ日本が全体的に貧しかった頃、瀟洒な家が立ち、ヨットに乗った青年や、綺麗な色の服を着たお嬢さんが歩いていた(春物のダスターコートを着た女性をクラスの象徴として登場させた小説はなんでしたっけ?)ところ...

ってもちろんわたしの個人的な妄想ですが。


海と山との間の地貌に、さっぱりした教会や、海岸線を走る車、クラブ、ヨットハーバー、珈琲店、窯のあるパン屋さん、古書店、住宅街にある西洋料理店、セレクトショップ、無伴奏チェロの音...

ええ、ものすごく昭和な、まるで少女漫画の扉絵のようなステレオタイプの「憧れ」ですね...

それに、あれ、これってわたしがわたしの地元神戸に抱いている妄想とほとんど同じじゃないか。
満たそうと思えば思うほど逃げていく、かつての「神戸」のイメージ。


そういわけで、湘南エリアはわたしがいつか訪れてみたい憧れの土地だった。
そこに行けば全ての「ロマン」の種明かしがされるのではないか、と。

ロマンとは「いま、ここ、ではない他のどこか」のことなのである。

しかもあの土地には「昭和の歌謡曲」という、道先案内人もいるではないか。
わたしは一度もファンだったことはないが、少し年上のお姉さん方が憧れてやまなかった松任谷由美やサザンオールスターズの世界!




前置きが長くなった。

横浜にお住まいのAさんが、わたしのたっての希望を聞き入れてくださり、胸踊る「湘南昭和ツアー」にご案内下さることになった。

彼女はまるで小津安二郎の映画に登場するような上品な、しかも長身の美女なんですわー、これがまた。


東京駅から9時発の横須賀線(<なんかもうこれだけでドラマですね)のグリーン車に乗り、逗子で降りるよう指令を受ける。

東京駅からすぐ近くの大手町タワーのホテルを早く出すぎ、東京駅でうろうろし、コーヒーを買い、切符の買い方が全くもって分からず、駅員さんを2名も困らせることしばし。


北鎌倉駅を過ぎた頃から、車窓の雰囲気ががらっと変わり、ついにかわいらしい逗子駅に到着。

駅のロータリーでAさんが拾ってくれ、湘南ドライブ...!!

湘南国際村から眺めた春霞の富士山、歌川広重の風景、蝶々のようにとまっているウィンド・サーファー、鶴見八幡のにぎわう参道、鎌倉高校前で失われた青春を思い出し、江ノ島が遠くに見える...

キラキラと輝く景色をあちこち見せていただいたのはもちろん良かったが、ランチをいただいたフレンチのサラマンジェ・ド・ヨシノさんもお料理も雰囲気もロケーションもサービズもすばらしかった! Aさんがおば様とよく行かれるお店だそう。
素敵すぎる、ああ、湘南!


最後に、ヨットハーバー脇に立つ海の見えるレストランでお茶をし、20時過ぎまでわたしのとりとめもない希望要望にお付き合いくださったのだった。





うっかり、車中でのBGMを選曲するのを失念していたのだが、どうぜおしゃべりでかき消えていただろう。

次回(もしあるとすれば)わたしの選曲一部は

「夜霧よ今夜もありがとう」(<サビしか知らないけど)「そして僕は途方に暮れる」、「夏をあきらめて」研ナオコバージョン、「白いパラソル」(Sailingに差し換えよう)、特捜最前線テーマ曲「私だけの十字架」、「飛んでイスタンブール」、ベートーヴェン「葬送ソナタ」、「亡き王女のためのパヴァーヌ」

「そして、神戸」や「異邦人」、Chris Reaの "On the Beach"も入れたい!
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英国隔離生活と『グランド・ブダペスト・ホテル』



わたしのロマンのみなもと、神戸、北野坂



英国で自宅隔離が始まってちょうど1週間。

日にちの感覚がなくなってきた...


親友の話。

敵が迫る街。
あるグランド・ホテルからは戦禍から逃げてきていた人々が再び散り散りに逃亡を始めるが、そのホテルで知り合った男女(おそらく許されない恋愛)は、運命を共に死ぬ覚悟で逃げようとしない...

という映画があったそうだ。

彼女とは妄想友達で、思いつく限りのロマンティックな妄想を繰り広げて成長したのだった。

グランド・ホテルで隔離生活中、さまざまな境遇の人と出会う...そういう筋書きはわたしたちの大好物だ。

『グランド・ホテル』ならそのまま、アガサ・クリスティ風なら殺人事件が起き、『ヴェニスに死す』風で最大限のロマンを追い、『去年マリエンバードで』風に非現実感を助長、『犬を連れた奥さん』風の「ありそうな感じ」もいいかもしれない。
最近見た『グランド・ブタペスト・ホテル』風ナンセンスも入れよう。わたしはこういう映画が一番好きだ。

...

最初に話を戻す。
自己隔離が始まってこのところの日課は

朝5時半から6時半に起床。
しかし昨日サマータイムが始まった(まだやってるの)ので自然と7時ごろ起床になった。
夫が朝ごはんの用意。

寝坊の娘が起きてくるまで、ネットでニュースを見たり、メールに返信をしたりする。
このブログもこの時間に書いている。

娘が降りてきたら、YouTubeを見ながらストレッチとバレエのバーレッスンをする。
毎日、40分以上、たとえ5分でもやることに決めた。外出できないので、これ以上体を固まらせないためだ。
バレエダンサーら美しい人を見ていると気分もよくなれる。


ランチの用意。
ベルギー流でほとんど毎日スープを作る。用意はものの10分ほどでコンロにかけておくだけなので簡単だ。
基本は玉ねぎと長ネギとセロリ、これにブロッコリー、あるいはトマト、えんどう豆、にんじん、カリフラワー、マッシュルーム...最後にバーミックスでクリーム状にするだけ。クリームを入れたり入れなかったり、バリエーションは無限。

もう少し暖かくなれば庭で食事ができる。


娘がピアノを練習するのを鑑賞。
自分自身の課題もあるのだが、聞いている方がずっと楽しい。
娘はリストのソナタとスクリャービンのエチュード、前にもやったショパンのバラードを復活させる練習、昨日は友達に頼まれてドビュッシーの月の光を録画していた。


読書。
honto.comで電子図書を大量に購入した。
このところ読んだ本でおもしろかったのを一冊あげるとしたらカルロ・ロベッリ『時間は存在しない』。
昨日は新刊のお知らせが来た勢いで、池上英洋『仁義なき聖書美術』の旧約編と新訳編を購入。1日で読めそう!

読書しながら普段は面倒なスキンケアも試している。
過激なピーリングなどのコスメをぜひ試したく、アメリカのDrunk Elephantをシリーズを。


書道。
というほどでもないが、練習。楽しい。
王鐸。


夕食は普段と同じ。

夕食後は映画。
こちらも最近見たものをひとつだけあげるとしたら、上にも書いた『グランド・ブタペスト・ホテル』! 娘が見ていなかったので家族そろってまた見た。3回目を見たいくらいおもしろい。おすすすめです。

日本映画『新聞記者』は機内で見たのだったが、主演の二人の演技が上手くてびっくりした。シム・ウンギョンさん、好き。
娘に見せたいのだが、英語版がないのが残念。
日本アカデミー作品賞を含む三冠達成、最優秀主演女優賞にシム・ウンギョンさん、最優秀主演男優賞に松坂桃李さん。監督は藤井道人さん、プロデューサーは河村光庸さん。

バレエのDVDも毎夜見ている。
昨夜はロイヤル・バレエの『マイヤーリンク』を鑑賞。


そして早寝。

夫と娘に、自分が興味のあるトピックで独自に勉強、週一でひとりずつプレゼンするのはどうかと提案したら却下された(笑)。
おもしろいと思うんだけど...


わたしは断然出好きだが、家にいるのも結構好きだ。
今は何よりネットがあるし!
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あおによし












奈良国立博物館の特別展『毘沙門天』を楽しみにしていたのだが。

無人の興福寺の国宝館で阿修羅像や阿吽の金剛力士像などを拝観。

人間はどのように世界を解釈し、どのようにあれと願うか。
また、神々の系譜からは、土着の神や他宗教の神を体系に取り込んでいくプロセスが見え、人間が世界と他者と折り合いをつける仕方が知れて面白い。


薬師寺君子著『日本の仏像 写真・図解 すべてがわかる!』西束社がツーリストには非常に役に立ち、おもしろかった。今honto.comで電子図書版がなんと300円...
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シャネルのカメリア




イングランドの春 外出禁止令 見る人なくとも美しく咲く シャネルの白椿




英国では3月23日夜に暫定3週間の外出禁止令が出た。

ボリス・ジョンソン首相の感動的なヴィデオ・メッセージ! 
やればできるとか見直したとかそういうのではなく、やはりサイコパス的な人物なのだなと思った。それにしてもあのヴィデオはよかったが。


食料品、薬品など生活必需品以外の店はすべて閉鎖
市民は食料品・薬等の買い物、1日1度の運動のためのみ外出可
ごくごく一部の特殊な例を除き自宅勤務
公共の場での二人以上のいかなる集会も禁止
結婚式・宗教集会などいかなるイベントも、葬式以外禁止
警察による罰金・介入あり
とにかくNHS(国民保険サービス。つまり病院)が崩壊しないよう家にいろ


今日は5日目28日土曜日の朝。

素人の街の印象なんか意味がない、科学者の記事を読むべきだと思っているので何も書いていなかったが、カミュの『ペスト』のことを思うと、後で自分で読んだらおもしろいかもしれないと思い、メモする。特に昨日あたりでまた潮目が変わった印象を受けたので。


23日以来、夫も娘もわたしも外出していないので、周りの様子は細切れに伝わってくるばかりでよく分からない。

わたしの住むロンドンより南部のサリー州の村(街の規模だが村と呼ぶ)は一軒一軒が比較的離れて建っているためか、毎日が元旦のように静かである。


25日に食料調達のために近所のスーパーマーケットに行ったら、ものは普段よりは少なく、選択肢も少なく、同一商品3個まで購入可能ではあったものの、この状態ならばこのエリアに限っては3週間の隔離生活くらいは大丈夫だろうという印象を受けた。
2メートルおきに他人と距離を置くルール、入店人数に制限もあった。

実店舗は閉まったが、ネット上のお店はまだしばらく大丈夫だろうと思っていたら、わたしがよく買い物をするネット上限定の衣料品サイト、Net-A-Porterグループが昨日(27日)閉鎖を宣言。
また閉鎖されていない他のサイトや、実店舗のある百貨店(ロンドンのリバティではほとんどのものが半額セール)でもかなり値引きやセールをやっている。


数日前、娘(医学部2年生)にもボランティアのお願いが来た。ただ、医療行為に参加できるのは3年生からで、2年生は電話での対応など事務仕事関係に就くらしい。ボランティアは募集をはるかに超える数が瞬く間に集まったそうで、現在さらなる連絡待ち。

最も気の毒なのは看護学部の学生で、彼らは学生の研修の名目で、当初からずっと「過酷な」「タダ働き」をしているとのこと。待遇改善が求められている。



昨日(27日)はジョンソン首相、ハンコック健康相がコロナウイルス感染を公表。
フィッティ主任医務官も7日間の自宅隔離。コロナ政策の疫学モデル作成のファーガソン教授も症状ありで隔離。
対コロナウイルス戦略の主要人物が軒並み感染、ホワイトホール(英国の永田町)で流行している模様。

前日はチャールズ皇太子も感染発表。


旧オリンピック会場に「NHSナイチンゲール」仮設病院建設。
バーミンガム空港に遺体収容所を建設予定。
1500体分の仮設遺体収容所を用意。のちに12000体まで拡張可能との報道あり。


収入は8割を国が保証。一昨日(26日)は、自営業者にも8割保証すると発表あり(上限あり。2500ポンド日本円で30万円)。


昨日の時点で一番おもしろいと思ったのは、英国では新型コロナウイルス感染を調べる検査ではなく、免疫があるかどうかを調べる検査にシフトする予定であり、まだまだ感染しているかどうかを調べることさえ怠っているように見える国があるなかで、これは先んじている。
この検査は家庭で指先のわずかな血で検査可能。

免疫の状況を調べることによって、医療体制をより機能的に組むことができ、また免疫を持っている人から社会復帰が可能。
つまり世界経済再スタートにおいても最も有利な地点に立てると。

さすが英国である。アングロ=サクソン型社会モデルというのはたぶんこういう「先読み」で成り立っているのだと思う。
あるいはゲームのボードを変えるのに長けているといえばいいのか。
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京都大原三千院







宸殿のご本尊は薬師如来(普段は非公開)。

往生極楽院には来迎印を結ぶ2メートルを超える阿弥陀如来がおわす。
左脇侍(向かって右)には往生者を蓮台に乗せる観音菩薩。
右脇侍(向かって左)には合掌する勢至菩薩。

両菩薩の坐法は前かがみにひざまずく「大和坐り」であるのが特徴。
すべての人間を救わんとすぐに動ける態勢でおられ、しかも優雅である。

天井には極楽浄土に舞う天女や菩薩の姿が極彩色で描かれており、庭園ではわらべ地蔵が人を優しく迎える。

......

昔の真人は、生を喜ぶということをせず、死を憎むということもしなかった。悠然として去り、悠然として来るだけである。なぜ生まれてきたのかその始まりを知らず、死後どうなるのかその終わりを知ろうともしない。生命を受けてはそれを楽しみ、万事を忘れてそれをもとに返上する。 『荘子』「大宗師」
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