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Brugge Style
「突然死」という名のビール
昨日の記事の最後に、「チェリー・ビールの美しい色」「その名も突然死」と書いて写真を貼らなかったが、やはり載せよう...
このベルギー・ビール、Mort Subite「突然死」という、人の悪い名前のチェリー・ビールである。
4.5パーセントで、アルコール分が高いとは言えないが(例えば悪名高いDuvelデュヴァル「悪魔」は8.8パーセント)、キリキリに冷やして夏に飲むには香りがよく、甘すぎず多少の酸味と苦味のバランスがよく、喉越しがよく、何杯もいってしまい...
気がつけば泥酔してぶっ倒れるという感じなのだろうか。
ちなみに、ベルギーでは道など公の場で潰れたり、酩酊して動けなくなっている人を見かけることはない。
英国では見かけます...この文化による違い、研究したらおもしろいと思う。
わたしは、大丈夫。おかわりする前にお腹がいっぱいになってしまうタイプのビールだから。
夏のブルージュのテラス席で飲むのにぴったり...
できることなら、いつもご覧くださっている方々に、ご馳走したいです。
BGM: Ahmed Jamal Poinciana
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version2 ブルージュ・スケッチ
街にはそれぞれ色がある...と。
ブルージュは北海に近く、雨も多く、運河も多く、街はグレーに光る。
だからだろうか、鮮やかな色が映える。
こんなお天気がいい7月の終わりはほんとうに最高だ。
さくらんぼのビールの色(この時、わたしが飲んでいたのは「突然死」という名前のさくらんぼのビール!)、クロワッサンの色、眼鏡のフレームの色、ボートの色...
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ブルージュ・スケッチ
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アガメムノーンの黄金のマスク
トロイア戦争はギリシャ神話に属するが、科学的な年代的にはミケーネ文明のころ...
と昨日書いたので、ミケーネの遺跡を訪れた話などを。
上の写真の黄金のマスク、歴史の教科書で見覚えがありませんか?
一般に「アガメムノーンの黄金のマスク」と呼び方は定着している。
アガメムノーンは、ギリシア神話の英雄、ミケーネ王にして、トロイア遠征軍のギリシャ軍総帥であった。
トロイア遠征軍は、絶世の美女スパルタの女王ヘレネーを奪還するために編成されたのでしたね...(前回の記事)。
ちなみにアガメムノーンの妻は、ヘレネーの姉妹クリュタイムネーストラー。もちろん、もちろん彼女も美貌であったという。
このマスクは、1876年にシュリーマン(トロイアを発掘したあの人)が、ミケーネ遺跡の王墓から発見したマスクだ。
彼はこれを「アガメムノーンのマスク」だと散文的に呼称。しかし現代の研究によると、マスクの製作年代(紀元前16世紀ごろ)は、アガメムノンが活躍したとされるトロイア戦争(紀元前12世紀ごろ)の時期よりも古いと判っている。
とはいえ、王のデスマスクに相応しい優雅さで、文学的、ロマン的な観点から「アガメムノーンの黄金のマスク」で膾炙している。
上の写真はアテネの考古学博物館で撮影した本物。
ミケーネの考古学博物館にはレプリカが展示されている。
こちらはミケーネの要塞化された宮殿入り口の、あまりにも有名なあまりにも美しいライオンの門。
ミケーネ文明が存在した紀元前1600年から紀元前1100年頃は、ギリシャ本土で頻繁に戦争や侵略が発生した。
このため、ミケーネの都市は防衛を重視、城壁や要塞を築き、外敵からの攻撃に備えたという。
ちなみに、社会が好戦化すると、戦士階級が支配階層になる。当たり前だ。
これがさらに発展すると、家父長的な主神(男神)を頂点にした宗教体系が生まれるのだろう(実際のちのギリシャ神話の素地ができた)...
ミケーネ文明が影響を受けたクレタ島のミノア文明とは対照的なのがおもしろい。
ミノア文明は、天然の要塞である島に発展したというのもあるが、都市は開放的なつくりで、宗教は自然崇拝や女性の神々の崇拝だった。
巨石を用いた要塞化した宮殿...
こちらは、アガメムノーンの妻であり、スパルタの女王ヘレネーの姉妹であった「クリュタイムネストラーの墓」。
ミケーネの王族や有力貴族の墓は、トロス墓(蜂巣形墓)、地下に円形の部屋を掘り、上部をドーム状に積み上げたものである。
「アガメムノーンの黄金のマスク」と同じように、「クリュタイムネストラーの墓」と証明されているわけではなく、ミケーネ文明と『イリアス』などの登場人物を関連づける一環で名付けられたという。
まあ、クリュタイムネストラーが実在していたならばこのような王族のお墓に埋葬され、アガメムノーンが実在していたらこのような黄金のデスマスクを埋葬品にしただろうと。
永遠の命、再生を願って...
おまけ。
タコ柄、惹かれるぅ!
ミケーネは内陸の山間にあるが、タコの柄の壺が多い。
そのこころは、海に囲まれたミノア文明の影響、交易が盛んであったこと、タコは再生のシンボル(腕がちぎれても生えてくる)など...
渦巻モチーフ、数字の「8」の形、タコ、蛇...「再生」「永遠」がキーワード。
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「千隻の船を進水させた顔」スパルタの女王ヘレネー
こちらに祀られているのは...
トロイア戦争は、ギリシャ連合軍とトロイアの間で戦われた、古代ギリシャ神話時代の大戦争である。
戦争の原因は、スパルタの女王ヘレネーの美貌。
彼女の美貌は、古代ギリシャ世界最高の「千隻の船を進水させた顔」だ。
父親は主神ゼウス。彼女は卵から生まれたという。
単位として、1ミリヘレネーは、一隻の船を進水させるために必要な美しさである...という度量衡があるほど。
ヘレネーが最大の1000ミリヘレネー、わたしの顔は0ミリヘレネー、であろう。
もちろんこの度量衡はアシモフの冗談だが、なるほど。
こちらはミケーネの考古学博物館に展示されている、ミケーネで出土した当時の女性の化粧周りの道具
この絶世の美女、スパルタ女王ヘレネーが、トロイアの王子パリスにさらわれた。
彼女の夫、スパルタ王メネラオスは、他のギリシャの諸王の協力を求め、トロイアに攻め入る。
トロイア戦争は多くのヒーローやヒロインを産み、10年間続き、最終的にギリシャ軍が「トロイアの木馬」を使って勝利をおさめた。
この物語は、特にホメロスの叙事詩『イーリアス』で有名で、多くの文学作品や映画の題材となっている。
渦巻は多くの文化において、生命のサイクルや無限性、再生の象徴。
こちらはアテネの考古学博物館の展示
時はたち、19世紀。
シュリーマンが、当時は単なる「神話」と考えられていたトロイアを執念で発掘した。
それには遠く及ばないものの、わたしは「ヘレネー」とはいったい何者なのか、ということに非常に興味を持っている。
彼女の行動には、神話の登場人物とはいえ、整合性も一貫性も、悲劇性も喜劇性もないのだもの...
いったい、この美女は何者なのか。
傾国の女王は、実在したヒロインなのか、女神なのか?
美しすぎる...
アテネ考古学博物館展示
古代スパルタの近くのメネライオンには、ヘレネーとその夫メネラオスを祀る神殿の遺跡が残っている。
それが1枚目の写真と、このすぐ下の写真だ。
ヘレネー、少なくとも、吟遊詩人が吟じた叙事詩の中にだけ登場する人物ではなさそうだ。
今回、観光客はほとんど訪れないこの神殿跡を訪れるのは、わたしにとっては外せなかった。
途中までSUVで登ったが、途中からはそれでも進めず、オリーブ畑の中に車を捨てて、坂を上った。
結構大変だった。
神殿跡は、すでに基礎を残すのみ。
19世紀には発掘作業も行なわれたようだが、「千隻の船を進水させた」世界一美しい女王を忍ばせるものは何も残ってはいなかった。
いや、それは違う。
この基礎のみが残る神殿の立つ丘の背後には神々しい連峰。
日本人なら霊峰と呼ぶだろう。
山頂付近は銀色に光り、暑さゆえか、霞んで見える。
緑は季節には頂上まで這いあがるのだろう。
右手には古代スパルタが望める。
ここは確実に神聖で特別な場所だ。
彼女は偶像を残さないことで、その美貌を永遠に刻んだ...
とはいえ、古くからへレネの美貌は古代ギリシャの壺の柄、絵画の主題、映画...とさまざまに取り上げられ、ネット上にもたくさんイメージはある。
しかし「美貌」とは文化的なものでもあるので、ここには彼女のイメージは載せないことにした。
一番近いのは、古代ギリシャ彫刻の美の女神アフロディーテあたりでしょうか。
......
美女が略奪され、取り戻す、という類似の物語はインド・ヨーロッパ各地の神話と共通の要素を持つ。
ギリシャ神話の別の登場人物ペルセポネーとヘレネーの間には共通点もあり、彼女らは植物神、豊穣の女神、さらには「太陽の娘」としても解釈され(ヘレネーの双子の兄弟は「光と生命を取り戻す」役割を持つ)、自然のサイクルや再生を象徴する女神であった可能性があるという。
彼女が「卵」から生まれたというのも、現代の復活祭でも見られる「復活のシンボル」の卵、と同根だと...
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