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ブルージュの夢のあとさき20時





まだ娘が小さかったころ、例えば夫が出張中で

夏の夕暮れ
まだまだ昼間のように明るいが、光と影は濃くなり

ちょっと早い時間、18時ごろ
娘をコンセルバトワール(音楽学校)に迎えに行くと
人影はないのに
古い建物の間からさまざまな楽器の音がもれ聞こえ
妙に立ち去りがたい気持ち


夕食後20時前ごろ、犬の散歩の途中
アイスクリームを買ってぶらぶら歩きながら食べつつ
ではそろそろ帰ろうか、というときのあの気持ち


ブルージュの街角には、わたしの故郷神戸とはまた別に
いろいろな思い出や感情をあちこちに置いたままになっていて

濃い光と影の中でそういう気持ちに突然出くわすことが多く

センチメンタルになってしまうのだ

......


娘の幼馴染も一緒に英国へ戻ってきた。
日焼けしたとても綺麗な彼女と、うちの娘
19歳ってまぶしい!! 夏の陽のよう!
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ブルージュの夢のあとさき7時





朝のブルージュもいいんですよ

夏の夜は日が暮れるのも22時と相当遅いが、
日が昇るのも早く4時ごろで、分厚いカーテンの間から白っぽい光が侵入してくる
天蓋付きのベッドで目覚めるのがこれほど似つかわしい街もない

まず聞こえてくるのが鳥の鳴き声

そして誰かが自転車で石畳を走る音
ベルが揺られてチリチリと鳴る

それでも今はブルージュの街角は夏休みとあって静かだ

早起きの観光客が散歩を始めるころになると
運河の白鳥もご出勤か

中には頭を胴体に埋めたまま、流れに身を任せて漂っていく個体もあっておもしろい

朝のブルージュもとてもすてきだ

美味しいコーヒーと美味しいパンで1日を始めよう
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ブルージュの夢のあとさき22時半





22時半、夕食を終えてぶらぶら歩き

暑くもなく、寒くもなく、

実際の空の色は上の写真なんかよりもっと美しく、
少し緑がかった海のような色だった

この季節のブルージュは24時間のどのフェーズも深い味わいがある


ブルグ広場ではロックのコンサートをしていて

飲みに行くほどでもないが、なんとなく帰りたくもなく、
音の方へ足が向いた...ものの、それも一瞬で
人混みを抜けられそうになかったので迂回した
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gruuthusemuseum, brugge





義理の両親の結婚記念日を祝うため、ブルージュに来ている。

彼らの結婚記念日は義理母の誕生日でもあり、結構なお祝いになる。
彼女自身は毎年「ロマンティックだけど、誕生日に結婚するんじゃなかったわ」と言う。もちろん2回お花をもらいたいためである。

......


長い間リノベーションのために閉館していたGruuthusemuseum(グルートゥス博物館)がついに5月末に再オープンした。
結局、8年くらいは閉まっていたかも...気の長い話だ。

写真右手のモダンな建物は今回新しく作られたものでチケットブースのようだ。


この建物は、13世紀ごろ、ビールの風味づけに使うハーブ類Gruit(昔はホップが高価だったため)独占販売権を得た裕福な家族が建てた倉庫を、15世紀になって貴族が邸宅に改造(故事にちなんで「グルートの家」と名付けたそう)、その後もさまざまな貴族によって改装されてきた。
その贅沢さは例えば隣の聖母教会とつながっている点などが挙げられる。

以前から、ブルージュが欧州一の都市と謳われた時代の貴族の生活博物館としておなじみで、この度の改装では展示が大きく3部に分けられ、ブルージュの中世、15世紀から17世紀、そしてあまり知られていない19世紀、と整理された。

毎回ブルージュに帰省するたびに行きたいと思いつつ、まだ中を見学していない...


わたくしどもの結婚式の写真は写真家の希望でこちらグルトゥスでたくさん撮影させてもらった。思い出の場所でもある。
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マノロ・ブラニクとロココの貴婦人




 

個人の蒐集が元になったロンドンのすてきな美術館、ウォレス・コレクションではマノロ・ブラニク展を開催中。

An Enquiring Mind: Manolo Blahník at the Wallace Collection

レイノルズやゲインズバラの描く貴婦人方には、わたしは面白みを感じられずあまり興味を持っていない。
でもまあ、肖像画を注文するのならば、自己愛と虚栄心がこのように美化して描いてくれる画家を選ぶであろう...だから彼女らの気持ちもよくわかる。

ロマンあふれるマノロ・ブラニクの絹の靴の展示と相まって、英国ロココの肖像画をとても楽しく鑑賞することができた。
優雅に理想化された女性たちは、実際にこのような愛らしくもセンシャルな靴をお召しだったのだろう。


真打はフラゴナールの展示だ。
『ぶらんこ』に乗った若い貴婦人は、木漏れ日が宝石を反射するかのように輝くなか、世にも美しいオレンジがかったピンクのドレスをまとい、ふわふわした裾から大きく足を蹴り上げる。ピンク色のミュールが脱げて空中を舞う。足元には愛人と、背後にぶらんこをゆする彼女の夫。くちびるに指を当てるキューピッドの像。

この官能的で背徳的で卑俗ですらある内容は、フラゴナールによってあくまでも明るく陽気で優雅な雰囲気に仕立て上げられている。しかもユーモアすら漂う。
「フラゴナールが描けば優雅に、ブーシェが描けば卑猥に」とは有名な言葉だ。

この絵のそばにもマノロのピンクのミュールが...ミュールは脱げやすいことから、性的に奔放(つまり尻軽)という意味を秘めている。なんという楽しげなエロス。


マノロ・ブラニクは現代の女性の靴を芸術に高め、同時に、少々皮肉ではあるが、女性がどんなに派手で浮ついた靴を選ぼうが自由なのだ! と謳った第一人者だったとわたしは考えている。

ビバ・マノロ!


最近、再び大人気を盛り返しているようだ。
わたしも大きいビジューがついているハイヒールを最近買った。次回はこの靴を履いてウォレス・コレクションへ出向いてみようと思う。
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