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レンガづくりの城




エルストモンス城 Herstmonceux Castleは、イングランド南部のイースト・サセックス州 East Sussexにある15世紀に建てられた「レンガ造りの」城である。

先日、この近辺を通りかかり、フランス風の名前にひきよせられて立ち寄ったのだった。

イギリスで現存する最古のレンガ造りの建物のひとつだという。
しかもフランダース(現ベルギー北部)の建築業者によって、地元の土から焼き上げたレンガを使用して建てられたと。
残念ながら修復中で、ウィキペディアで見ると美しいファサードにはカバーがかけられ、内部も見学できなかったが。


名前がフランス風なのは、もちろんこのあたりがノルマン・コンクエスト(1066年)の舞台だったからであろう。

これ以降、防衛目的や領地支配の象徴としての城がバンバン建てられ、イングランドには、廃墟となった城も含めて今現在で1500以上も残っているそうだ。
英国全体では4000と聞いたことがある。

完全な廃墟あり、観光地あり、王室所有の城(いっぱいある)、大貴族の有名な城、女優が子供時代を過ごした小さな城(<賃貸に出ていて本気で内覧に行ったことがある)、ホテルや美術館に改装されたもの、維持費が間に合わず、パーティー会場として露命をつなぐもの...

しかしレンガ造りの城というのはあまり見ない。
「城」というよりも、「邸宅」に見えてしまう...




そういえば、「城」と「大邸宅」とか「宮殿」の違いは何なのであろう?


城(Castle)、宮殿(Palace)、大邸宅(Mansion)の主な違いはその目的、機能、建築様式にある。

城は、防衛と統治を目的として、中世(9世紀から16世紀ごろ)に建てられた。
年がら年中戦争ばかりやっていた時代、領主や王族が外敵から領土を守るための拠点として建てたものである。
厚い石壁、堀、塔、見張り台などの防衛設備を持ち、軍事と権力の象徴である。

であるからして、現代的な視点で見ると快適そうだとはとてもいえない。まず極寒で、不潔で、暗かったであろう。どれだけ権力を誇った王に比較しても、現代のわたしのほうが比較にならないほどいい生活をしてる(とほくそ笑む)。


一方、宮殿(Palace)は17世紀以降に発展し、王族や貴族の豪奢な居住、公的な儀式の執り行われる場として建てられた。
政治、外交、文化の中心であり、防衛機能はなく、権威と富を誇示するための象徴的な建物であるといえる。
外部も内部もとにかくゴテゴテと芸術や装飾で満たされ、豪華絢爛。
バロックやルネサンス様式が多く見られる。


大邸宅(Mansion)になると、17世紀以降、富裕層や貴族が、快適かる誇示的に住まうための豪華な私邸。居住の快適さや美観に重点を置いているといえよう。
住み心地の良さや豪華な室内装飾を備え、権力よりも、富と社会的地位を反映している。
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