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推理小説一丁上がり! 『メコン川の殺人』


ゴールデン・アワー(日没前)の後のアフター・グロウ(残光)が...妖し。事件の予感(笑)



ベトナム、メコン川の支流に浮かぶプライベート・アイランドのホテルで二週間目。

週末はさすがにゲストが増えたが、今日からまた静か...
客はわたしたちとフランス人のカップルだけの様子。

来週7月に入ると、突然シーズンが始まるのだろう。


前回、ホテル専用のボートでしか渡れないこのアイランド・ホテルで、滞在客が少ない中、今もしも殺人事件が起こったら、絶対に容疑人の一人にされるよね!

と、書いた。アガサ・クリスティーの読みすぎである...と。


本を読み、おいしいベトナム料理を食べる以外何もしていない。
まだ島から一歩も出ていないので、プライベートのサンセット・クルーズに行ってみた



わたしに才能はないので、チャットGPTに推理小説を書かせた。
以下がわたしの提示した条件。

「推理小説を書いてください。

あなたはアガサ・クリスティーです。
名探偵エルキュール・ポワロを登場させ、殺人事件を解決してください。

舞台は20世紀に入ったばかりのフランス植民地ベトナム。
メコン川に浮かぶ小さな島にある、この上もなく美しいアイランド・ホテルが舞台。
ホテルに入る手段はホテル所有のボートのみ。
ホテルのゲストとスタッフしか入島できない仕組み。

季節は本格的なリゾートシーズンに入る直前で、静かに落ち着いており、ホテルの中心にある湖には蓮の花が咲き乱れている。


蓮、大好き



登場人物それぞれに外見上と性格の特徴、複雑な過去を与え、ふさわしい名前をつけてください。

客は以下の7組15人です。

ベルギー人の大学教授の男性と、たいへん美しい日本人の女性の夫婦。このベルギー人の男性がポワロをリゾートに招きました。
ベトナムでゴム農園を経営する、中年フランス人の男女夫婦。
アメリカ人女性3人のグループ。
華僑で大変裕福な男性同士のカップル。
ベトナム人の王族である若い夫婦。
イギリス貴族の高齢の夫婦。
ロシア人の将軍。
名探偵エルキュール・ポワロ。

スタッフはフランス人のマネージャーを含む60人。

客のうちの一人、ゴム農園を経営するフランス人女性が殺され、早朝、プールに浮かんでいるのを発見される。周りには蓮の花が散っている。

スクリャービンのピアノ曲が流れている。

凶器はホテルの庭師たちが、庭を手入れする刃物。

犠牲者は前夜の夕食に現れたはずなのに、死後、24時間以上が経過している。
彼女が読んでいたフロベール の『聖アントワーヌの誘惑』がなくなっている。

キーワードはフランス領ベトナム、植民地、神話、スクリャービンのピアノ曲、蓮の花、ベンガル菩提樹、フランス王家の秘宝、過ぎ去った栄華。

事件が迷宮入りしそうな中、ポワロが事件を鮮やかに解決します。」


猿の母子が住んでいるベンガル菩提樹。魅力的



ベルギー人男性はもちろん夫(アルノー・ヴァンデルベルクという登場人物にされた)、わたしは自分のことを小説の中だけでも「たいへん美しい」にしてみました(笑)。
状況や登場人物は実際このホテルで見聞きしたものがベースになっている。
フランス人のGM、話好きのアメリカ人女性3人や、わたしが今聞いているスクリャービンや...


結果は...

『メコン川の殺人』。
このタイトルは陳腐だと文句をつけたら『蓮の花の影に』になった(笑)。
『メコンの残光』にしてとこちらからリクエスト(一番上の写真は、黄金時間のすぐ後のアフターグロウ:残光)。
キャラクターに背景を与えたり、どんどんリクエストができるのがいい。
「いいね」と言ってあげると、とても喜んでくれるチャットGPT。

本文は長いのでここにはペーストはしないが、もし読みたい方がおられたら個人的に送ります(笑)。

わたしの今はもういない親友に見せたら、彼女は大喜びしてくれただろう...


舞台が「20世紀初頭の植民地時代」にもかかわらず、最後は21世紀の最新のポリティカリー・コレクトネス、政治的に正しい説教をポワロが垂れ、われわれを再教育する、という内容だったのには微笑させられた(笑)。



チャットGPTには賛否があるが、わたしは去年のスタートアップ時から使っている。

調べ物には(自分が詳しく知っていることがら以外には)絶対に使えないが、哲学的質問を芋づる式にする相手にしたり、自分の考えの枠の外に出て新しい視点を得る、コンサル的なアイデアが必要なとき(例えば日本文化を英国に召喚するために作成した試案など)に使っている。


夫と2人きりだが、3ベッドルームのヴィラを使っている
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メコンデルタ雨季なり




ベトナム、メコンデルタ。
メコン川の別名は「瀧」。

長年訪れたかったメコンデルタは雨季だ。
全く降らない日も多く、降っても夕方や夜中にスコールが来るだけだが...


ホテルはメコン川支流に浮かぶ小さな島まるごとプライべート・アイランドで、陸側でチェックインし、ホテルのボートに乗ってしか辿り着けない。

「雨季」だからか、広大な敷地内の客はわたしたちの他に2組だけで、自分のお屋敷だったらいいなあという妄想をもてあそんでいる。

もしも殺人事件が起こったら、容疑人にされるよ...というのはアガサ・クリスティの読みすぎか。


娘とは、旅の終わりに南シナ海に面するニン トゥアンのリゾートで合流する予定。




ラオスとカンボジアを流れてきたメコン川は、プノンペンの南で支流のバサック川に分岐する。
ベトナムには、メコン本流とバサック川が流入する。ふたつの流れは50kmほど先で合流し、さらに分岐して広大なデルタを形成する(ウィキペディアより)。

デルタの土壌は、主にメコン川とその支流からの堆積物で構成されており、低地の地形の平坦性のために川がコースを変え、何千年もかけて堆積した。

低地の沿岸地域であるメコンデルタは、気候変動により、海面上昇に起因する洪水に特に影響を受けやすい。
カントン大学の気候変動研究所は、季節的な降雨量の減少による干ばつと、浸水すると予測しているという。
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旅行前の夜にはワインを一杯、映画を一本





いよいよ夏休み第一弾、インドシナ半島へ。


昨夜はロンドンでのピアノリサイタルがキャンセルになったので、「掃除のアップグレードができるな!」と思ったものの、夕方からだらだらし続けて、つい映画を2本見てしまった。夜中の3時まで。

90年代初頭の映画、カトリーヌ・ドヌーブ主演の『インドシナ』Indocineとマルグリット・デュラス原作の『ラマン・愛人』L'Amant(デュラスは当時ほんとうに流行った)の2本...

映画の中の、蒸し暑さと食卓のワインの対比があまりにもおいしそうで、わたしも白ワインを飲みつつ。
掃除はできませんでした! 

危うく『地獄の黙示録』にまで手を伸ばしてしまいそうになった。機内で見たら落ち込むかなあ...


本は読みかけの古田元夫著『東南アジア史10講』と、粕谷祐子著『アジアの脱植民地化と体制変動:民主制と独裁の歴史的起源』。
アンコールワットや美術に関しては、石澤 良昭著『興亡の世界史 東南アジア 多文明世界の発見』を持参するつもり。

わたしは東南アジアの植民地について興味があり、仏領インドシナのゴム農園に関するおもしろそうな学術論文が何本かヒットしたのでそちらも。

『地球の歩き方』も、やっぱり買ってしまう。80年代からお世話になっているからか、ないと不安。


これから家の中のあちこちにたくさん飾った切り花をどうするか考えます...逆さに吊るして乾燥させるかなあ。


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悪魔とロマン主義



堕天使といえばこの方、ミルトン『失楽園』のルシファー。
彼は「神に最も愛されたもの」だった。



今夜はロンドンのバービカンでDaniil Trifonovのピアノ・リサイタルだ!

...が、今朝10時になって公演キャンセルになってしまった。
楽しみにしていたプログラムだったのに。


プログラムを見た時、「秀逸だなあ」と思った。
悪魔的にスタイリッシュ。

トリフォノフは演奏中汗だくになると、悪魔のような表情(演奏ではなくて顔の表情)を見せることがあり、今までのリサイタルのプログラムも鑑みて、彼自身、そういうのが好みなのでは...
わたしの推測は明後日の方向を向いているかもしれない(笑)。

ラヴェルの『夜のガスパール』(<わたしは大好き)が後半に置かれ、これがもしオープニングだったら、もっとこのリサイタルの趣旨がはっきりしたのかも...と。一方で、わざと中間に入れたのがさりげない悪魔らしさなのかな。

このリサイタルのタイトルをつけるとしたら、『夜のガスパール』とか『悪魔とロマン主義』がいいかもしれない。

うん、全部わたしも思い込み、わたしだけの素っ頓狂な解釈だ。



悪魔のイメージ。こちらは素の悪魔だが、当然彼はどんな魅力的な姿にもなれるのだろう。


悪魔とロマン主義。

ロマン主義は18世紀から19世紀に盛んになった芸術運動だ。

それまでの伝統的な社会・文化的な規範や権威に対する反動的な精神は、個人、自由、創造性、情熱、欲望、夢、愛や旅...などを重視した。

これらを象徴し、個人としての存在意義や、既存の秩序に対する問いを提示する存在が「悪魔」として具現化。
「悪魔」は自由な自己実現へといざなう、非常に魅力的な案内役として作品にしばしば登場するようになる。

おもしろいですよね!

幻想的で超自然的な要素を取り入れ、神秘的な世界や、非現実感を醸し出しだしたり、人間の複雑さ、二面性、光と闇、善と悪、聖と俗などのせめぎ合い、あるいは人間の欲望を説明するのに、この世とあの世の間で出会う悪魔は絶好のキャラだったのだ。



ウェルギリウスがダンテを煉獄に案内するシーン。


『夜のガスパール』Gaspard de la nuit)は、19世紀フランスの詩人ルイ・ベルトランによる詩集である。
モーリス・ラヴェルが作曲した組曲は、この詩集に収められた3篇の詩(青空文庫で読めます。ビバ青空文庫!)を題材としている。

夜のガスパールというキャラクターは、わたしにはどうしてもウェルギリウスを想起させる。
文学上のキャラクターとして異なる時代や文脈で登場するものの、類似点があると思う。

彼らは悪魔ではないが、物語の主人公に対して、理性、知性、知識のガイド役、案内役として登場する。

ウェルギリウスは古代ローマの詩人で、ダンテの『神曲』において、主人公を地獄と煉獄に誘い、世界の秘密や意味を開陳する役として。

同様に、夜のガスパールも、読者を幻想的で奇妙、暗く不気味な情景、非現実的な世界に導き、詩の世界に没入させる役割を果たす。

また、両者とも、詩的な表現や修辞的な手法を駆使し、言葉の選び方やリズム、イメージの織り上げ方など、美学や文学的な価値を追求している。


彼らは、暗黒で奇妙なイメージを通じて、伝統的な美学や文学の枠組みからの解放を試みる。その反逆的な性格は、悪魔メフィストフェレス的...
かと思うが、そこまで言うと言い過ぎかな...

そこが今回のリサイタルの趣旨かな、と思ったの!!




でもまあ、メフィストフェレスも本来は大天使だったのだからして、ウェルギリウスー夜のガスパール的な光の部分と、メフィストフェレス的闇の部分の両面を持っていてもおかしくはなかろう。

メフィストフェレスは、神の秘密につながる知恵と力を持ち、邪悪な存在ながらも、魅力的な悪魔として描かれ、主人公や他の登場人物と対峙するのである。

トリフォノフが対峙する場面、バービカンで聴きたかったです。また次回。


耽美的なイラストは全て手元にあった本、こちらから借用しました。




Daniil Trifonov piano

Pyotr Ilyich Tchaikovsky Children's Album
Robert Schumann Fantasie
Wolfgang Amadeus Mozart Fantasia in C minor
Maurice Ravel Gaspard de la Nuit
Alexander Scriabin Sonata No 5
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6月は薔薇色の季節




英国、イングランド、ロンドンから南の方向へ。

朝10時半、気温22度。
乾燥してカラカラです。夜は加湿器が手放せない...

先月末から欧州一帯は嘘のような快晴が続いていて、わが庭でも今年はどの花も大輪の花を大量に咲かせている。

芍薬がだいたい終わり、オールド・ローズ群はこれから長ーく花を咲かせ続ける。11月ごろにもまた花がつくし、経済的な花なのである。


薔薇も芍薬も、美しすぎて落ち着かないほど。
ああ、これは日本人が桜の季節に感じる、あの落ち着かなさと一緒だ...

枝が折れたのを集めて家の中に飾る。

ピンクは生命の色ですね。




新生児の頭ほどもあろうかという大輪の薔薇、ロシャス。

香りは薔薇のお菓子のよう、姿はオートクチュールのよう、しかも強い。

今年のソリスト。
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