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lest we forget 2018








イングリッシュ・ナショナル・バレエ、戦争三部作、”Lest We Forget” 「忘れてしまわないように」(「風化させないように」、のほうがいいかな?)

Liam Scarlett "No Man’s Land"
Russell Maliphant "Second Breath"
Akram Khan "Dust"

もう何度も見てるが、風化させてはいけないので今年も。


鑑賞中、考えたことがあった。
神々しい肉体を持つダンサーが、クーラーのかかった劇場で、作り物の汚れや傷を、オーケストラの奏でる美しい音楽に乗って表現するのでは、戦争というものを勘違いする人が出てくるのではないかと、もしそのように誰かに突っ込まれたらわたしはどのように説明するだろうか、と。

どんなに過酷な、想像を絶するような最低の状況においても、それでもわれわれには音楽や文学があり、祈りがあり、自分より弱い人を守りたいと感じ、恋に落ち、思い出を抱え、未来を想像し、ゆずったりゆずられたりし、誰かの言葉に救われ、朝が来て、風が吹いて、雨は止んで、花が咲いて、鳥が鳴くのが聞こえるだろう。

そういう人間性だけが、どのようなひどい環境でも人間を正気に保ち、憎しみと悲しみの淵からわれわれを救い、獣に堕ちるのを引き止めるのではないか。


(写真は"Dust"の最初のシーン。ENBから拝借しました)
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