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まことに神々の神

2013-08-11 16:30:06 | メッセージ
宣教 ダニエル2章31~48節 

今週8月15日に68回目の終戦記念日を迎えようとしています。それは日本にとって敗戦の日でありますが。お隣の韓国ではこの日を解放の日、勝利の日として祝われています。日本は戦争による被害国であると同時に加害国であったことを忘れるわけにはまいりません。先の戦争のわだかまりが今なおその関係の火種となってくすぶっています。先週6日の広島原爆の日、9日長崎原爆の日、各市長から平和宣言がなされました。核兵器の廃絶を求め、核不拡散条約に日本政府が速やかに賛同するよう訴えておられました。それが世界で唯一の被爆国日本がなすべき責務だということであります。それは新聞マスコミが報じているような政府批判というよりは、恒久平和への切なる願いであり、二度とあのような惨事が繰り返されることがないように、との警告であります。

さて、本日はダニエル書2章から「まことの神々の神」と題し、御言葉を聞いていきます。
先程31~49節が読まれましたが。2章の初めの箇所から読みますと、バビロンのネブカドネツェル王はある強烈なインパクトをもった夢を見て悩み苦しみます。あらゆる世の権威と力を掌中に治めた鬨の王が、夢で悩み苦しんでいたというのですから、彼もまた一人の弱い人間に過ぎなかったということです。
そこで王は国中の賢者たちを呼び出して自分の見た夢を話させ説明を求めます。まあ見た夢を聞いてそれに解釈をつけるというのなら適当にこじつけて語る者もいたでしょうが。「どんな夢を見たか当ててみよ、説明せよ」という無茶な話でありますから、誰もその夢について話すこと、説明できる者がいなかったのは当然といえば当然でありましょう。
それで王は怒り、憤慨して、バビロンの知者たちを皆殺しにするという何とも無体な命令を出すのであります。それはダニエルやその同僚をも巻き込む一大事となり、その命が危うくされるのであります。

「対話していく心得」
さて、ダニエルは知者を殺そうと出て来た王の高官に「思慮深く賢明に対応した」とあります。剣を帯びている者に対面した時、人はどうするでしょう。ある人は身を守るために応戦するかも知れません。ある人は、大声で助けを呼ぶかも知れません。用心深ければ、剣を買って予め懐に持っている人もいるかも知れません。現在日本の政治の世界では、集団的自衛権等の審議が政府主導でなされていますが。憲法改正案はじめ様々な国際間の問題もございましょうが、願わくばダニエルのように、まずは思慮深く賢明に対応していくことを心がけて頂きたいものです。このバビロンの高官は、そのようなダニエルの対応に柔軟な姿勢を示し、「どうして王様はこのような厳しい命令を出されたのか」とのダニエルの質問にきちんと事情を説明したというのですね。さらにダニエルは王へのお目通りがかない、「しばらくの時がいただけますいなら、解釈いたします」と願いでます。それが聞き入れられたのも、「思慮深く賢明」なダニエルの誠実な人柄によるのでしょう。

「夢を解くための準備」
さて、ダニエルは家に帰るとユダヤの同胞のハナンヤ、ミヒャエル、アザルヤと共に「天の神に憐みを願い、その夢の秘密を求めて」祈りました。それは正に命懸けの祈りでした。
 すると、夜の幻によってその秘密がダニエルに明かされた、というのです。「秘密が明かされた」というのですから、やはりこの王の夢というのは、紛れもなく神からのものであり、神ご自身が「啓示」としてお与えになったものだったということです。
 ダニエルはその秘密が明かして下さった「天の神をたたえ」祈ります。彼は活ける神さまがこの世のすべてのものを治めておられる主であられ、王権や国々の行く末までも司っておられることを深く確信するのです。ダニエルの知恵の源はまさにここにありました。それはバビロンのどんな知者の持てる知識に勝るものとなりました。「主を畏れ敬うことは知恵のはじまり」と箴言にございますが。何事をなすにしても、この活ける神に祈りをもってなし、御言葉によって備えていくことは、私たちに生きる知恵と勇気を与えます。そうして行く時、私たちは活ける主のお働きを体験することができるのです。
「王の夢を解くダニエル」
本日の箇所の27節以降、ダニエルは王に夢の概要とその意味を解きあかしていくのでありますが。ダニエルは王に開口一番次のように伝えます。「王様がお求めになっている秘密の説明(夢とその意味)は、知者、祈祷師、占い師、星占い師にはできません。だが、秘密を明かす天の神がおられ、この神が将来何事が起こるのかをネブカドネツェル王に知らせてくださったのです」。王の見た夢は、バビロンのすべての呪術師たちが信じる偶像の神々とは違う真の神から来たものである、というのです。

さらに王が見た夢の概要について、ダニエルはまず一つの巨像を明らかにしていきます。この巨像は種々の材料によって出来あがっており、頭の部分は純金、胸と腕が銀、腹と腿が青銅、すねが鉄、足は一部が鉄、一部が陶土で出来ていました。そこへ、一つの人手によらず切り出された石が、その像の足の鉄と陶土の部分を打つと、他の金属で出来ていた腹や腿、胸や腕さら頭もろとも巨像全体を跡形もないまでに砕け散った。そしてその像を打った石は大きな山になって、全地に広がったというのです。これが王の見た夢の概要でありました。何だかSF映画に出て来そうなかなり迫力のある描写ですし、これを何度も夢に見たなら、さすがのバビロンの王も不安になったというのもうなずけます。ダニエルは先々の事を思い巡らしていた王に、活ける神が夢をもって秘密を明かし、将来起こるべきことを知らせようとなさった、と言っています。

37節以降、ダニエルは王が見た夢を解き、その意味が明かされていきます。
はじめの金の頭の部分はバビロンを指し、ダニエルは王に対しては「王様、あなたはすべての王の王です。天の神はあなたに、国と権威と威力と威光を授け、人間の野の獣も空の鳥も、どこに住んでいようとみなあなたの手にゆだね、このすべてを治めさせられました」と、特別な敬意を表します。そして「後に他の国が興こるが、それはバビロンと王に劣るものだ」と告げます。その第二の銀の胸と腕の部分はメディア、後に興る第三の青銅の腹と腿の部分はペルシャ、第四の鉄のすねや足の部分はマケドニア、すなわちギリシャを表しておりますが。強い鉄のようにギリシャは破壊を重ねるということが語られ、実にそれらの国々がバビロン以降の時代において世を統治するということです。しかしそのギリシャにおいて足指の一部が鉄と陶土でなっていたように、それは一国でありながら争いと分裂が起こり、婚姻政策が取られるも一つの国となることはできなかった、という内容でした。
問題はここからですが。そういった世の権力争いと分裂の中で、天の神は一つの国を興され、その国は他の国々と違い、44節「永遠に滅びることがない」と言うのです。
王は、一つの石が人手によらず切り出されて、先の陶土と鉄、青銅、銀、金を打つのを夢に見ました。巨大な像、つまり一大帝国を築いたあらゆる権力がその石によって砕け、夏の脱穀場のもみ殻のようになり、風に吹き払われ跡形もなくなった、というのですから。まさにおごれる者もひさしからずであります。この石が何を表しているのかについてダニエルは何も言っていません。様々な解釈があるでしょうが。それが人による権威ではなく、活ける神によるものであることは明らかです。

「主を畏れ敬う者に臨む知恵と平安」
ダニエルの夢解きの内容を聞いたバビロンの王は、「ひれ伏してダニエルを拝し、献げ物と香を彼に供えさせた」とあります。王は次のように宣言します。「あなたたちの神はまことに神々の神、すべての王の主。」
国と権威、力と栄光は、全世界をすべ治めておられる神さまのものであり、その神さまの御心に従って治めていくことが託されていることを、バビロン王は知ったのであります。聖書には「主を畏れれば頼るべき砦を得。子らのためには避けどころを得る。」(箴言14:26)とあります。夢を見て悩み苦しんでいたバビロンの王はその真理に畏敬の思いを持ち、同時に心落ち着ける安らぎを得たのでしょう。

王はダニエルを高い位につけ、、、バビロンの全州を治めさせ、バビロンの知者すべての上に長官として立てました。ダニエルは王に願って、同じく神を畏れ敬う3人の同僚をバビロン州の行政官に任命してもらった、と記されています。
ダニエルはじめ3人の同僚は、バビロンという異教の地においていわば主のスポークスマンとしての役割を負いながら、世の政治的指導者としてその働きを担う者とされたのです。神ならざるものを神とし、偶像に依り頼んで生きる者の行く末は滅びに通じます。
「まことに神々の神、すべての王の主」を畏れ敬って生きる者には、神さまの平安と祝福が伴うのです。王の見た夢の35節には、「その像を打ち砕いた石は大きな山とまり、全地に広がった」とあります。まことの神、すべての王の主、その主権は今や世界中で告げ広められています。
権力や経済を神のように崇拝し、すべてに優先させていくようなこの時代にあって、なおまことの神、すべての王の主を告げ知らせていく働きはまことに重要であります。

今日は特に、政治を職務とする方々、権力と地位にある人たちが、世々に亘って人知を超えた絶対的権威を持つお方の存在を知り、畏れの思いをもってその職務を遂行されるよう、祈り執り成したいと思います。日本におられるあらゆる一人ひとりの命と人権が守られ、諸外国との良好な関係が築かれてゆくことができますように、心から願います。
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