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長子の権利を巡って

2024-07-14 13:01:32 | メッセージ
礼拝宣教     創世記25章27~34節 

聖書には「千日は一日のようで、一日は千日のよう」という御言葉がございますが、ほんとうに主にあって、二度と繰り返されることのない人生の一日一日を、悔いなく歩んでいくものでありたいと願います。
先週は創世記25章19-26節のところから「信じて祈る」と題し、御言葉に聞きました。アブラハムの子孫であったイサク、そのイサクの子孫としてエサウとヤコブの兄弟が生まれます。この双子の兄弟が母リベカの胎内に宿っていた時から押し合っていたため、彼女は「これでは、わたしはどうなるのでしょう」と不安になり、主のみ心を尋ねて祈ったのです。                                 そうすると主は御心を尋ね求める彼女にこう言われました。                      25章23節「二つの国民があなたの胎内に宿っており、二つの民があなたの腹の内で分かれ争っている。一つの民が他の民より強くなり、兄が弟に仕えるようになる。」これが主のご計画でありました。そうして先ほど本日の25章27-34節が読まれましたが。それは、アブラハム、イサクに続く、「長子の権利を巡る」やりとりです。       
長子の権利ということで思い浮かびますことは、家督や遺産の相続権でありますが。古今東西そこにはやっかいな問題が起こってくることが多々あります。                  イエスさまも群衆の1人から相続争いの調停をもちかけられましたが。その時唯一言、「どんな貪欲にも注意して、よく警戒しなさい。」ルカ福音書12章のところでこのように言われました。本日の話もそうですが、聖書は世間一般の「長子の権利云々」について語っているのではありません。今日のところの小見出しにありますとおり「特権」、単に財産を受けるということではなく、それは神の国に係わるお話なのです。今日はその問題の本質を聖書から聞いていきたいと思います。
私たちがこのエサウとヤコブの箇所を読みますと、ヤコブが、長子としての権利をエサウからだまし取ったと思うと、ヤコブが悪賢い悪人であるかのように感じるのではないでしょうか。な思いを持つのではないでしょうか。
 しかし、ヤコブがエサウから長子の権利をだまし取ったから、ヤコブが長子の権利を得たのではありません。先にありましたように、この兄弟が母の胎内にいる時からすでに、兄が弟に仕えるようになることが、主のご計画として約束されていたという事です。
さて、「二人の子供は成長して、エサウは巧みな狩人で野の人となったが、ヤコブは穏やかな人で天幕の周りで働くのを常とした」とあります。              
兄弟でも随分性格が異なるものです。同じような環境で生まれ育っても性質や性格、趣味嗜好はそれぞれです。まあ、えてして父親は活発で自分に利益をもたらしてくれそうな男子を目にかけることは多いかも知れません。           
信仰の人イサクであってもそうした肉的な思いは例外ではなかたようで、彼は「兄息子を愛したが、それは狩の獲物が好物だった」からであると、聖書は赤裸々に伝えます。                     
一方、「リベカは弟息子のヤコブを愛した」とあります。その理由については何も書かれていませんが。ただ先にも申しあげましたように、双子の兄弟が自分の胎内にいた時に、主なる神さまから示されたご計画とその約束を彼女は知っていたのです。リベカは天幕の周りで働くヤコブを愛していたのであります。

まあ、その穏やかな人、原語では「無垢な人」であるはずのヤコブが、兄から長子の権利を奪った、悪く言えばくすね取ったのは意外に思えます。「なぜ、兄を立ててあげないのか。」「兄のエサウが可哀そう。」「兄が空腹であるならば、なぜただ気前よく煮物を食べさせてあげないのか。」ヤコブは兄弟愛を軽んじた、と彼の人間性が問題視されるかもしれません。
しかし確かなのは、ヤコブが長子の権利に伴う特権の重大さを認識し、重んじていたということです。それはヤコブが良い人だとか、どういう人だということを超えて、彼は本来自分が最も大切にすべき宝が何かを知っていたということです。
ですから、彼は兄エサウに対して、その長子の権利への思いとその求めの強さが際立っていたのです。
32節でエサウが、「ああ、もう死にそうだ。長子の権利などどうでもよい」とイサクにいっているわけですが。そりゃあ、狩りをして疲れ切ってお腹をすかせ帰ってきたところに、美味しそうな赤いレンズ豆の煮物がフツフツと煮えているのが目に映り、いい匂いが鼻に入ってきたなら、もうたまらないでしょう。料理をしていたヤコブに、「その赤いものを食べさせて欲しい」と頼み込んだのは無理なからぬことです。
しかし、その後がまずかった・・・。長子の権利を求めるヤコブに対して、エサウは本能の向くままに、「ああ、もう死にそうだ。長子の権利などもうどうでもよい」と、何も考えることなしに答えてしまうのです。
エサウに自分に与えられていた特権をいとも簡単に手放して、ただ目の前のこと、お腹を満たすことだけを最優先したのです。
それが、アブラハム、イサクに与えられた神の祝福と約束という驚くべき特権であるということを軽んじてしまっていたのです。それは、彼が長子として託されるであろう財産、豊作、そして土地を相続するという権利に勝る、継承されるべく権利と祝福の約束を自ら手放すことを意味していたのです。
それは、エサウが心から神に信頼し、期待していなかったということです。      聖書はそれをして、エサウは「長子の権利」を軽んじた、といっているのです。エサウの取った態度を見るとき、生まれたままの性質、それを聖書で肉といいますが。肉は、神、霊のことに価値を認めません。その肉の性質は、神を知らない、又知ろうとしないゆえに、神の約束は曖昧で、価値のない、力のないものでしかないのです。
エサウをしてこの肉の思いは、ただ今のこと、現在のことが自分の中で最も大きな比重を占め、強い影響力をもっているのです。                    
そのような肉の思いによって生きる人は、信仰によらず、ただ目に見えるものによって支配されていますから、今の目に映るモノ、見えているモノだけを重んじます。その人にとって今がすべてであり、神の導きによる将来や未来は不確実なものでしかないのです。不安と恐れに日々振り回されて生きる外ないのです。
エサウが、ただ1食たべたいために、「ああ、もう死にそうだ。長子の権利などどうでもよい」との投げやりともとれる言葉を発した中に、それらのことを読みとることができます。

一方のヤコブは、目に見えるものによらず、神の計画とその約束に自分をかけ、そこに人生の価値を見出そうとしていた。つまり霊的な目をもっていた。そのことに聖書は着眼しているのです。それはアブラハム、イサクが受け継いできた「信仰」でした。
ヘブライ人への手紙11章1節には、「信仰とは、望んでいる事柄を確信し、見えない事実を確認することです。昔の人たちは、この信仰のゆえに神に認められました。」とあります。エサウは見えているものに心奪われ貪欲になりましたが、ヤコブはまだ見ていない神の祝福を待ち望んだのです。

アブラハム、イサク、そして本日のヤコブと、彼らは偉大な信仰の父祖、族長となりましたが。しかし彼らが完全無欠であったかというと、決してそうとはいえない一面もありました。聖書はそれを包み隠さず記します。
如何に偉大な信仰の先達にも人生の悩みがあった。又、弱さや欠点をもっていたし、過ちともとられるような事があったのです。そういう生身の人間としての営みの中で、主の大いなる恵みと憐れみを受け、神との関係性を築いて生きた。唯、信仰によって、彼らは神の祝福を求め、望み、受け取っていったのです。

今日のメッセージは、この「神への信仰」を私たちも敬承していくように、キリストを通して受け継いでいくようにと、聖書は私たちに語りかけているのであります。
確かに、目に見えることがらに日々翻弄され、不安や恐れを感じて生きているような私たちでもあります。
そうした中ですぐに答えを欲しがり、スマホを手に取ってその場限りの必要を満たしたり、目に見えるモノを頼みとし、安っぽい安心感でその場をしのいでいないだろうか?聖書は問いかけています。
ローマ8章28節以降にはこう記されています。口語訳聖書でお読みします。
「神は、神を愛する者たち、すなわち、ご計画に従って召された者たちと共に働いて、万事を益となさるようにして下さることを、わたしたちは知っている。」
そうです、唯、私たちが依り頼むべきお方は、この神です。
キリストにより、神が約束された祝福を受け継ぐ者となるよう招かれています。

最後にⅡコリント4章16~18節のお言葉をお読みして本日の宣教をとじます。
「だから、わたしたちは落胆しません。たとえわたしたちの「外なる人」は衰えていくとしても、わたしたちの「内なる人」は日々新たにされていきます。わたしたちの一時の軽い艱難は、比べものにならないほどの重みのある永遠の栄光をもたらしてくれます。わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです。」
さあ、ここから新たな週の歩みを踏み出してまいりましょう。いかなる時も、「主への信仰」をもって、来たるべき日を待ち望みつつ、歩んでまいりましょう。
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