外苑茶房

神宮外苑エリアの空気を共有し、早稲田スポーツを勝手に応援するブログです。

「学生野球憲章とはなにか」

2011-05-06 18:44:51 | 大学野球
青弓社から出版されている「学生野球憲章とはなにか~自治から見る日本野球史」(中村哲也、1600円+税)を読みました。

戦前の過熱する学生野球の弊害、
早大野球部の連盟脱退をきっかけとした学生自治の確立
戦時下の学生野球への弾圧
戦後の野球復興における「自治」の重視

佐伯会長時代の高校野球処分問題
私立学校の台頭と特待生問題

若い研究者の方の著書なので、ご年配の読者には素直に受けとめることのできない部分があるかも知れません。

ともあれ、アマチュア野球ファンにとっては、色々と考えてさせられる項目がずらりと並んでいます。
また、学生が様々な役割を果たしている東京六大学野球連盟の運営についても、理解が深まったような気がします。

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ところで、この本の序文は、西武ライオンズによるアマ選手への栄養費支給の事件に触れることから始まります。

多くの早稲田ファンの皆さんがご記憶されているとおり、この事件は、早稲田の四年生部員であった清水勝仁くん(専大北上)に波及し、彼は退部を余儀なくされる結果に終わりました。
一方、その事件で引責辞任した西武球団のスカウトは、すぐに別の球団に採用されました。

そのことからも、栄養費事件に対するプロ球団側の問題意識の希薄さを私は感じますし、その結果、一方的に重いペナルティを背負うのは常にアマチュア野球サイドです。

有望アマ選手に群がるプロ球団関係者の中には、「結局は、獲得した者勝ち。手段は問わない。」という、とんでもない人がいたりします。
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退部したものの、清水くんは早慶戦などでは神宮球場にやってきて、同期の田中幸長くんらの活躍に一所懸命に声援を送っていました。

そして大学卒業後は、信濃グランセローズで2年間プレーして現役を引退。
現在は東京で働いています。

先日、「震災もぐら救援隊」が物資を搬出した際、私たちの呼びかけに応えて、清水くんは早朝から作業に参加してくれました。
彼の名前は野球部OB名簿には載っていませんが、愛すべき早稲田の後輩の1人だと私は心底から思っています。
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