全トヨタ労働組合(ATU)

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AKK吉田裁判を終えて

2015年05月01日 06時43分48秒 | Weblog


アイシン機工・吉田さん裁判 和解で解決
会社は労災の責任を実質上認め解決金を支払う


労災を認めさせたことは大きな成果
アイシン機工の吉田祐二さんは業務上で両手首を負傷したにもかかわらず、この負傷は労災として認定されず、かつ会社からは「休職期間満了」を理由に闇に葬られるようとして解雇されました。これに対して吉田さんは、国に対する「労災認定」裁判と会社に対する「地位確認・損害賠償請求」裁判の、二つの裁判を4年近くにわたって闘ってきました。このうち名古屋地裁で係争中の「地位確認・損害賠償請求」裁判は4月15日に会社との間で和解が成立しました。この和解をもって会社と国は「労災認定」裁判での高裁への控訴を取り下げ、労災を認定した地裁判決で確定しました。

吉田さん側の要求をほぼ認める
この和解では、吉田さんが求めていた職場復帰は残念ながら実現できませんでしたが、その他の点で原告側の要求を全面的に貫きました。主要な点は以下の通りです。
①告側が要求した水準で解決金の支払い。②会社に「より一層の従業員の安全対策に努める」ことを約束させたこと。③会社が最後まで抵抗した「口外禁止条項」を「解決金の額」以外には全く入れさせなかったこと。これらの項目は、労災の発生とその認定を徹底して否認し妨害してきた会社の誤りと責任を実質上認めさせたことを意味します。
この和解という選択はATUと吉田さんにとって苦渋の選択でした。会社は彼に業務上で負傷を負わせたにもかかわらず、この負傷の「労災認定」を徹底して妨害し、なおかつ「休職期間満了」を理由に彼を解雇した会社の行為に一辺の正当性もないからです。それゆえ、彼は労災を会社に認めさせるとともに、「絶対に復職する」という決意で裁判を闘っていたからです。しかし徹底して抗戦した場合には裁判はさらに長期化します。なぜなら会社は「絶対に吉田さんを会社に戻したくない」というただこの一点で必死に抵抗していたからです。これらのことを考慮して吉田さんは、自身の将来の生活を立て直すためにも、「退職」を容認した上で、会社が労災に対する責任を明確にする形において和解する道を選びました。

会社を追い詰めた全トヨタ労働組合の闘い
振り返れば、吉田さんが被災してからすでに8年。当初は個人で始めた労基署への労災申請。闘いは全トヨタ労働組合に参加しての組合による会社との団体交渉に引き継がれ、そして裁判提訴に踏み切ってから4年。この闘いは永きにわたる苦難に満ちた厳しい闘いでした。しかし、この闘いを「苦しかったけれども楽しんで闘った」と言いました。吉田さんを先頭に私たちはアイシン機工従業員への働きかけをはじめ、会社への度重なる情宣、そしてネット上での情報発信、支援の仲間の拡大など、重層的に闘いを組んできました。
その結果、たとえば全トヨタ労働組合のブログには記事の度ごとに、吉田さんを応援し会社を非難する声が会社内外から数多く寄せられます。「ブラック企業」で検索するとアイシン機工が上位でヒットし、「従業員を募集しても人が集まらない」という嘆きが出るところまで会社を追い詰めてきたのです。それゆえ会社は原告側の要求を丸呑みする形でも裁判の終結を焦らざるを得なかったのです。

トヨタ系企業から労災と泣き寝入りの一掃をめざして
アイシン機工では吉田さんと同一のケガで数名が負傷しています。他の労災事故も多発しています。また健康を害するような工場内のひどい労働環境も放置されたままです。会社の責任を実質上認めさせたこの和解は、仕事で災害に遭ったり身体を壊したりしたにもかかわらず、会社の有形無形の圧力で声を上げられずにいる多くの労働者に勇気を与え、「闘えば道は開ける」という大きなメッセージを与えるものになったと思います。もとよりこの裁判の意義を持続した運動抜きには「和解文書」は空文句に終わってしまいます。私たちはこの「和解」を大きな武器にしてアイシン機工とトヨタ系諸企業から労災事故をなくし、また労災事故を泣き寝入りさせないための闘いをより一層強力に取り組んで行きます。
永きにわたるご支援本当にありがとうございました。

コメント (31)
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