連帯して闘おう!
名古屋ふれあいユニオンの闘いを紹介します。
有給で一時帰国すれば退職!?
――トヨタ系「アンデン」構内請負会社の就業規則――
http://imadegawa.exblog.jp/13705724/
■労組、撤廃求め団体交渉
トヨタ自動車子会社・
デンソーグループのアンデン岡崎工場で、
構内請負を行なっている
ブラジル人請負会社・
「トゥエンティファースト」(代表取締役:小泉一秀)が、
ブラジル人労働者が有給休暇を使って
母国に帰国した場合
自動的に退職扱いとする就業規則を
定めており、
労働組合が撤廃を求めて
団体交渉を行なっている。
団体交渉を行なっているのは
愛知県の個人加盟制労働組合・
名古屋ふれあいユニオン。
トゥエンティファーストを通じて
アンデン岡崎工場で働く
十数名の労働者が
「名古屋ふれあいユニオン
トゥエンティファースト分会」を
結成しており、
「母国の母親が病気になったので、
有給休暇を使って
一時帰国しようとしたが、
就業規則を理由に現場の管理者から
無理だと言われている」との訴えが
労働者から複数寄せられている。
組合が会社側に確認したところ
会社側は、
就業規則第64条にある退職規定・
「従業員が
次のいずれかに該当するときは、
退職とする」の第2項に、
「(2)日本国を離れるとき
(例:母国への帰国等)、
ただし会社が認めた場合は除く」
とあり、
ブラジル人労働者が一時帰国する場合は
原則として
退社してもらうことになっていると
説明した。
■トヨタ総行動でも撤廃求め発言
今年2月11日に
豊田市・山之手公園で開催された
「第31回トヨタ総行動」で、
名古屋ふれあいユニオンの
運営委員長を務める筆者は壇上に上がり、
アンデン岡崎工場における
請負会社就業規則の
非人道性を訴えた。
「アンデン岡崎工場内で
構内請負をしている
ブラジル人請負会社の就業規則には、
退職規定の中に
『日本国を離れるとき』という項目が
ある。
ブラジルに
完全に帰国するときだけでなく、
有給休暇で母国に一時帰国する際にも
この項目が適用されるとされている。
アンデンで働く日本人労働者は、
盆や正月になれば故郷に帰る。
なのに、
同じ職場で働くブラジル人は
母国に帰るだけでクビになる。
労働者を故郷にも帰さない、
こんな非人道的な就業規則は
撤廃しかない」。
「11兆円の内部留保を保有する
トヨタ自動車直系の企業で、
このような条件で働かされている
日系ブラジル人たちが
いるのだということを
知ってほしい。
名古屋ふれあいユニオンは今春闘で、
『帰国すれば退職』の就業規則を
撤廃させることを目指して
交渉を行なう。
非正規労働者も、
日系ブラジル人も、
自らの職場で団結し、
立ち上がろうとしている。
本日お集まりの労働者のみなさん、
中小企業のみなさんとともに、
『トヨタに攻め上る』闘いの一翼を
担いたい」。
筆者は、
トヨタ総行動に参加した
1000人の聴衆を前に
このように述べ、
トゥエンティファーストの
就業規則64条第2項撤廃に向けた
決意を語った。
■会社側「日本人とは事情が違う」
名古屋ふれあいユニオンは
3月25日、
月曜日と金曜日は
有給休暇を使用しないようにと
有給休暇の使用に
事実上制限が加えられている問題や、
10年以上夜勤専属で働いてきた
労働者が
昼夜二交替制に移行することにより
深夜勤収入が減るという問題と合わせ、
就業規則64条第2項の撤廃を求めて
会社側に春闘要求を行なった。
会社側と組合は
これまで2度この問題について
団体交渉を行なっている。
団体交渉の中で会社側は、
有給休暇の問題について、
「月曜日と金曜日は
突発欠勤が多いので
有給休暇を使用しないよう
『お願い』をして
理解をいただいていると
考えている」と回答。
昼夜二交替制への移行についても、
「アンデンとの間で合意した
請負部署の変更で、
これまで
深夜のみを受け持っていた部署が減り、
その代わり
昼間の生産を請け負ったので、
これまでのように
夜勤だけをやってもらうわけには
いかない」とした上で、
労働者らの所得の減少についても
「深夜勤は残業にあたり、
会社側は残業について
保障するものではない」として
所得保障を拒否している。
そして
就業規則64条第2項の
撤廃問題については、
「ブラジル人の一時帰国は
日本人の帰郷や海外旅行とは
事情が違う」と主張し、
その立場を崩していない。
トゥエンティファーストの
吉田厚正取締役は団体交渉の中で、
「もともと
ブラジルに帰国する労働者の多くは、
いったん退社して
頭を切り換えて
ブラジルでリフレッシュすることを
望んでいる。
当社の規定は
それを明文化したもの」とした上で、
「これまで有給休暇を使用して、
『また帰ってくる』と言いながら
実際には帰ってこなかった労働者が
いる。
当社の従業員の中には
会社の用意した寮に住んでいる者も
多数おり、
そうした場合、
その寮をどうするのかや、
寮に残った荷物を
どうするのかといった問題が
出てくる」、
「また、
ブラジルに帰るということになると
1週間や2週間というわけには
いかない。
1ヶ月や2ヶ月有給休暇を使われると、
新たな人員を配属せねばならず、
ブラジルから帰ってきても
仕事がないということが
起こりうる」、
「当社としては
業務の円滑な運営が前提であり、
公平性の観点からも
一時帰国する際は
退社という規定にしている」と、
就業規則64条第2項の必要性を
強調。
同社の有野徹取締役営業担当も、
「就業規則64条第2項は
そうした過去の経緯から
出来たものであり、
ブラジル人を差別する意思は
全くない。
就業規則の表現の仕方が不適切なら、
表現を変えることは
検討できるかもしれない」と
発言した。
また有野取締役は、
名古屋ふれあいユニオン側が、
「有給を申請して
母国ブラジルなど外国に出ると
解雇になるという就業規則を
撤廃することを要求します」と
要求書に記載した点をとらえ、
「解雇ではなく退職です」と反発。
組合側が
「有給休暇で母国へ一時帰国すれば
解雇扱いではなく
自己都合扱いなのか」と尋ねると
吉田取締役は
「自己都合扱いになります」と答え、
組合側は
「解雇よりもっと悪いではないか。
解雇扱いなら、
日本に帰ってくれば
雇用保険もすぐにもらえるし、
その受給期間も長い。
本人の意思でなく、
会社の事情で退職扱いにされたのに、
自己都合扱いになるとはひどい」と
反論した。
名古屋ふれあいユニオンを代表して
筆者は、
「会社なりの事情があることを
理解しないわけではないが、
だからといって
『帰国すれば退職』などという規定を
就業規則に設けても
いいという理由にはならない。
昼夜二交替制への交替は
やむを得ないと言い、
月・金に有給休暇を
使えない現状については
組合との合意を締結する意思が
ないといい、
就業規則64条第2項を
撤廃しないというのであれば
会社側の回答はゼロ回答だ。
そのような回答を続けるならば、
就業規則64条第2項の是非について、
人権擁護機関への申し立てを
行なわざるを得ない」と迫り、
会社側が次回交渉までに
就業規則64条第2項の撤廃・改正は
可能か、
可能であるならば
どのようなものかを
具体的に示すことで合意。
組合側は
人権擁護機関への申し立てを
一時留保することを約束した。
「有給休暇で一時帰国すれば退職」
という、
トゥエンティファースト就業規則
64条第2項をめぐる攻防は
なお続いている。
名古屋ふれあいユニオンの闘いを紹介します。
有給で一時帰国すれば退職!?
――トヨタ系「アンデン」構内請負会社の就業規則――
http://imadegawa.exblog.jp/13705724/
■労組、撤廃求め団体交渉
トヨタ自動車子会社・
デンソーグループのアンデン岡崎工場で、
構内請負を行なっている
ブラジル人請負会社・
「トゥエンティファースト」(代表取締役:小泉一秀)が、
ブラジル人労働者が有給休暇を使って
母国に帰国した場合
自動的に退職扱いとする就業規則を
定めており、
労働組合が撤廃を求めて
団体交渉を行なっている。
団体交渉を行なっているのは
愛知県の個人加盟制労働組合・
名古屋ふれあいユニオン。
トゥエンティファーストを通じて
アンデン岡崎工場で働く
十数名の労働者が
「名古屋ふれあいユニオン
トゥエンティファースト分会」を
結成しており、
「母国の母親が病気になったので、
有給休暇を使って
一時帰国しようとしたが、
就業規則を理由に現場の管理者から
無理だと言われている」との訴えが
労働者から複数寄せられている。
組合が会社側に確認したところ
会社側は、
就業規則第64条にある退職規定・
「従業員が
次のいずれかに該当するときは、
退職とする」の第2項に、
「(2)日本国を離れるとき
(例:母国への帰国等)、
ただし会社が認めた場合は除く」
とあり、
ブラジル人労働者が一時帰国する場合は
原則として
退社してもらうことになっていると
説明した。
■トヨタ総行動でも撤廃求め発言
今年2月11日に
豊田市・山之手公園で開催された
「第31回トヨタ総行動」で、
名古屋ふれあいユニオンの
運営委員長を務める筆者は壇上に上がり、
アンデン岡崎工場における
請負会社就業規則の
非人道性を訴えた。
「アンデン岡崎工場内で
構内請負をしている
ブラジル人請負会社の就業規則には、
退職規定の中に
『日本国を離れるとき』という項目が
ある。
ブラジルに
完全に帰国するときだけでなく、
有給休暇で母国に一時帰国する際にも
この項目が適用されるとされている。
アンデンで働く日本人労働者は、
盆や正月になれば故郷に帰る。
なのに、
同じ職場で働くブラジル人は
母国に帰るだけでクビになる。
労働者を故郷にも帰さない、
こんな非人道的な就業規則は
撤廃しかない」。
「11兆円の内部留保を保有する
トヨタ自動車直系の企業で、
このような条件で働かされている
日系ブラジル人たちが
いるのだということを
知ってほしい。
名古屋ふれあいユニオンは今春闘で、
『帰国すれば退職』の就業規則を
撤廃させることを目指して
交渉を行なう。
非正規労働者も、
日系ブラジル人も、
自らの職場で団結し、
立ち上がろうとしている。
本日お集まりの労働者のみなさん、
中小企業のみなさんとともに、
『トヨタに攻め上る』闘いの一翼を
担いたい」。
筆者は、
トヨタ総行動に参加した
1000人の聴衆を前に
このように述べ、
トゥエンティファーストの
就業規則64条第2項撤廃に向けた
決意を語った。
■会社側「日本人とは事情が違う」
名古屋ふれあいユニオンは
3月25日、
月曜日と金曜日は
有給休暇を使用しないようにと
有給休暇の使用に
事実上制限が加えられている問題や、
10年以上夜勤専属で働いてきた
労働者が
昼夜二交替制に移行することにより
深夜勤収入が減るという問題と合わせ、
就業規則64条第2項の撤廃を求めて
会社側に春闘要求を行なった。
会社側と組合は
これまで2度この問題について
団体交渉を行なっている。
団体交渉の中で会社側は、
有給休暇の問題について、
「月曜日と金曜日は
突発欠勤が多いので
有給休暇を使用しないよう
『お願い』をして
理解をいただいていると
考えている」と回答。
昼夜二交替制への移行についても、
「アンデンとの間で合意した
請負部署の変更で、
これまで
深夜のみを受け持っていた部署が減り、
その代わり
昼間の生産を請け負ったので、
これまでのように
夜勤だけをやってもらうわけには
いかない」とした上で、
労働者らの所得の減少についても
「深夜勤は残業にあたり、
会社側は残業について
保障するものではない」として
所得保障を拒否している。
そして
就業規則64条第2項の
撤廃問題については、
「ブラジル人の一時帰国は
日本人の帰郷や海外旅行とは
事情が違う」と主張し、
その立場を崩していない。
トゥエンティファーストの
吉田厚正取締役は団体交渉の中で、
「もともと
ブラジルに帰国する労働者の多くは、
いったん退社して
頭を切り換えて
ブラジルでリフレッシュすることを
望んでいる。
当社の規定は
それを明文化したもの」とした上で、
「これまで有給休暇を使用して、
『また帰ってくる』と言いながら
実際には帰ってこなかった労働者が
いる。
当社の従業員の中には
会社の用意した寮に住んでいる者も
多数おり、
そうした場合、
その寮をどうするのかや、
寮に残った荷物を
どうするのかといった問題が
出てくる」、
「また、
ブラジルに帰るということになると
1週間や2週間というわけには
いかない。
1ヶ月や2ヶ月有給休暇を使われると、
新たな人員を配属せねばならず、
ブラジルから帰ってきても
仕事がないということが
起こりうる」、
「当社としては
業務の円滑な運営が前提であり、
公平性の観点からも
一時帰国する際は
退社という規定にしている」と、
就業規則64条第2項の必要性を
強調。
同社の有野徹取締役営業担当も、
「就業規則64条第2項は
そうした過去の経緯から
出来たものであり、
ブラジル人を差別する意思は
全くない。
就業規則の表現の仕方が不適切なら、
表現を変えることは
検討できるかもしれない」と
発言した。
また有野取締役は、
名古屋ふれあいユニオン側が、
「有給を申請して
母国ブラジルなど外国に出ると
解雇になるという就業規則を
撤廃することを要求します」と
要求書に記載した点をとらえ、
「解雇ではなく退職です」と反発。
組合側が
「有給休暇で母国へ一時帰国すれば
解雇扱いではなく
自己都合扱いなのか」と尋ねると
吉田取締役は
「自己都合扱いになります」と答え、
組合側は
「解雇よりもっと悪いではないか。
解雇扱いなら、
日本に帰ってくれば
雇用保険もすぐにもらえるし、
その受給期間も長い。
本人の意思でなく、
会社の事情で退職扱いにされたのに、
自己都合扱いになるとはひどい」と
反論した。
名古屋ふれあいユニオンを代表して
筆者は、
「会社なりの事情があることを
理解しないわけではないが、
だからといって
『帰国すれば退職』などという規定を
就業規則に設けても
いいという理由にはならない。
昼夜二交替制への交替は
やむを得ないと言い、
月・金に有給休暇を
使えない現状については
組合との合意を締結する意思が
ないといい、
就業規則64条第2項を
撤廃しないというのであれば
会社側の回答はゼロ回答だ。
そのような回答を続けるならば、
就業規則64条第2項の是非について、
人権擁護機関への申し立てを
行なわざるを得ない」と迫り、
会社側が次回交渉までに
就業規則64条第2項の撤廃・改正は
可能か、
可能であるならば
どのようなものかを
具体的に示すことで合意。
組合側は
人権擁護機関への申し立てを
一時留保することを約束した。
「有給休暇で一時帰国すれば退職」
という、
トゥエンティファースト就業規則
64条第2項をめぐる攻防は
なお続いている。