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7月31日(水): 60年前:レンジャー7号が月を撮影/ミッション別ページ

2024年07月31日 06時00分00秒 | 天文・宇宙

60年前:レンジャー7号が月を撮影

アポロの宇宙飛行士達が月に足を踏み入れる以前、月面については多くのことが知られていなかった。ほとんどの科学者達は、月は宇宙飛行士とその着陸船を支える堅い表面を持っていると信じていたが、一部の科学者達は、訪問者を飲み込むほど深いダストの層が月を覆っていると信じていた。1964年まで、月面のクローズアップ写真は存在せず、地球ベースの望遠鏡で撮影されたものと、1959年にソビエトのルナ3号ロボット宇宙船によって撮影された月の裏側の粗い、低解像度の画像のみが存在していた。1964年7月28日、レンジャー7号が月に向けて打上げられ、その3日後にはアメリカの宇宙船が撮影した最初の月の写真であるとともに、月面の高解像度クローズアップ写真を送り返した。このミッションは、アメリカの月探査計画のターニングポイントとなり、人類の月面着陸に一歩近づいた。

1960年に始まり、ジェット推進研究所によって管理されていたレンジャー計画は、月面の高解像度クローズアップ画像を初めてとることを目指していた。この計画では、複雑さを増す三つのフェーズで構成されていた。「ブロックⅠ」と名付けられたこの計画の第1段階は、レンジャー宇宙船を楕円の地球軌道に配置し、その機器をテストすることによって、ロケットをテストすることを目的としていた。第2の「ブロックⅡ」フェーズは、ブロックⅠの教訓に基づいて構築され、3機の宇宙船を月に送り、イメージとデータを収集して地球に送り返すというものだった。各ブロックⅡレンジャーは、画像収集用のテレビカメラ、月の岩石や土壌中の鉱物を研究するためのガンマ線分光計、月の地形を調査するためのレーダー高度計を搭載していた。これらの宇宙船は、着陸の衝撃から保護するためにバルサ材で覆われたカプセルを搭載し、月面に投下されてから最大30日間動作できる地震計と送信機が含まれていた。最後の「ブロックⅢ」フェーズは、4機の宇宙船で構成され、それぞれが広角と狭角の機能を備えた6台のテレビカメラで構成される高解像度イメージングシステムを搭載していた。それらは毎分300枚の写真を撮ることができた。

左のイメージのリンク先は解説動画 Youtube です。

1964年7月28日、レンジャー7号はケープカナベラルから打上げられた。アトラス・アジェナ・ロケットは、宇宙船を月軌道に送る前に、まず宇宙船を地球軌道に乗せた。翌日、探査機はコースの途中での修正に成功し、7月31日、レンジャー7号は月に到着した。今回は、探査機のカメラが予定通りオンになった。

飛行の最後の17分間で、探査機は月面の画像 4,308 枚を送り返した。レンジャー7号が秒速 2.6 キロメートルで衝突する 2.3 秒前に撮影された最後のイメージは、解像度が僅か38センチだった。科学者達は、その墜落した海域(Mare Nubium と Oceanus Procellarum の間)を、ラテン語で「既知の海」を意味する Mare Cognitum と改名し、月面で最初にクローズアップされたスポットとして記念している。

<図>: 高度 2,098 キロメートルからのレンジャー7号の最初のイメージ(中央右の大きなクレータは幅107キロメートルのアルフォンサス(Alphonsus)。中央:高度563キロメートルからのイメージ。右:高度 488 メートルで撮影されたレンジャー7号の最終イメージ、なお大判は左端のイメージのみ。

<ひとこと>: その後、1969年7月に、アポロ11号の3名の宇宙飛行士達が、人類初の月面着陸に成功した。アポロの成果があまりに輝かしく報じられ、それ以前の努力は隠れがちですが、米国とソ連との宇宙競争の中とは言え、この状態から僅か5年で実際に人間を送り込むとは、かなり危険を冒していることが分かる。なお、同一著者のアポロ11号の記事は こちら(英語)から。

<出典>: John Uri(著者名です)

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