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7月29日(月): 地球の自転の変化を説明する/ミッション別ページ

2024年07月29日 06時00分00秒 | 天文・宇宙

NASAの資金提供を受けた研究が、気象が地球の自転をどのように変化させているかを説明する

研究者達が、120年以上のデータを使って、氷の融解、地下水の減少、海面の上昇が、地球の自転軸を動かし、日を延ばしている様子を解明した。

地球上の日数は、僅かに長くなり、その変化は加速している。その理由は、過去120年間に、惑星の地軸が約10メートル蛇行する原因となったのと同じメカニズムに関連している。この知見は、NASAが資金提供した最近の二つの研究から得られたものであり、気象に関連する氷と水の再分配が地球の自転にどのような影響を与えたかに焦点を当てている。

この再分配は、氷床や氷河が降雪によって成長するよりも溶けることが多くなり、帯水層が降水量によって補充されるよりも多くの地下水を失うときに生じる。これらの結果として生じる質量のシフトは、惑星が自転するにつれてぐらつき、その軸の位置をシフトさせる原因となる(極運動と呼ばれる現象)。また、地球の自転を遅くし、日が長くなることで測定される。何れも1900年以降に記録されている。 12年間にわたる極運動を分析した科学者達は、地軸の位置の周期的な振動のほぼ全てを、地下水、氷床、氷河、海面の変化に起因すると考えた。 Nature Geoscience 誌に最近掲載された論文によれば、20世紀の質量の変動は、ほとんどが自然の気象サイクルに起因しているという。

同じ研究者達がチームを組んで、日の長さに焦点を当てたその後の研究を行った。その結果、2000年以降、100年あたり約 1.33 ミリ秒日が長くなっており、これは前世紀のどの時点よりも速いペースであることがわかった。その原因は、人為的な温室効果ガスの排出による、氷河や南極・グリーンランドの氷床の融解の加速にある。この研究成果は、7月15日付けで米国科学アカデミー(Proceedings of the National Academy of Sciences)に掲載された。

右のアニメーション動画に示すように、地球の自転軸の位置は、1900年から2023年の間に約10メートル移動した。最近の研究では、極運動の周期的な振動の約90%が、氷床や氷河の融解、地下水の減少、海面の上昇によって説明できることが分かっている。

何十年かの極の動き。

初期の頃、科学者達は星の見かけの動きを測定することで極運動を追跡していた。その後、クエーサーからの電波信号を分析する超長基線干渉法や、衛星にレーザーを向ける衛星レーザー測距法に切り替えた。

研究者達は長い間、極運動は地球の内部と地表のプロセスの組み合わせから生じると推測してきた。それぞれのプロセスが軸をどの程度ずらし、それぞれがどのような効果を発揮するのか、数週間から数十年の周期で繰り返される周期的な動きなのか、それとも何世紀、何千年にもわたる持続的な漂流なのかはあまり明確ではなかった。

この論文では、研究者達は、機械学習アルゴリズムを使って、120年の記録を分析した。その結果、1900年から2018年の間に繰り返された変動の90%は、地下水、氷床、氷河、海面水位の変化によって説明できることが分かった。残りは、惑星の大部分に対する内核の傾きのぐらつきなど、主に地球内部のダイナミクスに起因している。

地表の質量移動に関連する極運動のパターンは、20世紀中には約25年ごとに数回繰り返されており、研究者達は、それらが主に自然の気候変動によるものであることを示唆している。過去の論文では、最近の極運動と人間活動との関連性が指摘されており、ある論文では、2000年頃から始まった地軸の突然の東方移動は、グリーンランドと南極の氷床の融解とユーラシア大陸の地下水の枯渇の加速に起因している。

この研究は過去20年間に焦点をあてたもので、その間、地下水と氷の質量の減少、海面の上昇(人工衛星の測定による)は、人間が引き起こした気候変動と強い関係があった。

--- 以下略(この記事は更に詳細が続きます)。

<ひとこと>: 右上のイメージのリンク先は動画 .mov です。やや古い動画形式です。左下のイメージのリンク先は動画 .mp4 です。

<出典>: Jet Propulsion Laboratory

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