企業経営は様々なリスクを抱えている。
市場リスク
信用リスク
オペレーショナルリスク・・・・・
つい最近、レピテーショナルリスク(風評リスク)が顕在化した某テレビ局があったが、金融機関にとっては、市場リスクの一つである金利リスクが、最近の市場金利の上昇で顕在化している。
某金融機関では、今期の決算で1兆5000億円を超える巨額赤字決算が予想されているそうだ。
前期の決算で、すでに債券の含み損が2兆円を超えていたことから、損切りをよぎなくされたようだ。(売却損の発生)
このため岩盤組織である各地の共同組合へ増資を要請し、信用リスクの上昇を回避した。(かく言う私もステークホルダーの一員だ)
結果から見れば某金融機関のリスク管理には問題があったということになろう。
本来金利が上昇することは、金融機関の経営にとって良好な経営環境が戻りつつあることで、緩やかな金利上昇であればプラス要因の方が大きい。(長短の金利差が発生することで利ザヤを確保しやすくなる)
ただし、短期的には逆ザヤの発生や、債券の評価損の拡大といった負の要素も伴うことになる。これは債券の多くが長期の固定金利であるためで、融資についても住宅ローンなどは、長期の固定金利商品が多く存在する。
これらの金融商品は市場金利が上ったからといって契約金利を上げることが出来ないからだ。
一方の預金については金利上昇の反応が早い。
普通預金などは近年まで、0.001%などと、ほぼ金利が無い状態だったが、このところの市場金利の上昇で0.2%まで引き上げる金融機関も出てきている。
元々のベースとなる預金金利が低いため、たとえ0.2%の金利でも、ほぼ金利なしの状態から0.2%の上昇になるので、元々の金利が1%だった時代に0.2%引き上げるのとでは、金利上昇の意味合いが違う。
上昇率が異なるのである。
根本的な問題点は、ベースとなる市場金利が長期に渡って低すぎたためだ。
現在、金融機関の保有する債券のほぼすべてが低利回りであることから、保有している債券に関しては軒並み評価損が発生している。
10年前に買った債券が0金利政策中の発行で、7、8年前からはさらにマイナス金利政策中に発行の債券となっているからだ。
米国債券についても同じような傾向で、日本よりも急激な金利上昇で、長期よりも短期金利の方が高いという逆イールドが発生した。
このため債券運用の比重の大きかった米国の大手新興金融機関のいくつかが信用不安で破綻した。
株式投資についてはおおむね順調で配当率も上昇傾向にあるが、いかんせん株式は市場での価格変動リスクが大きいため、投資の比率を高めることには躊躇を伴なう。
このため金融機関にとっては、収益源の多角化が経営課題であったが、人的資源の配布や管理コストの上昇とのバランスで、大手行以外はなかなか思うように進展していないのが実情だ。某金融機関の赤字決算は、そんな事情から発生したものと思われる。
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